ホーム>WEB版協議会だより>2014年4月号〜2015年3月号協議会だより
2015年1月15日、学童保育関係の国の補助金の2015年度予算案が示されました。2015年4月から施行される子ども・子育て支援新制度(以下、新制度)にむけ、国の学童保育予算案も大きく変更されました。国の学童保育の補助金は、これまで厚生労働省で予算化されていましたが、新制度の推進は内閣府が行うため、今後は内閣府が予算化する「子ども・子育て支援交付金」などから出されることになります。なお、指導員の認定資格研修や資質向上のための研修費への補助金は、厚生労働省の予算から出されます。2014年7月末に文部科学省と厚生労働省が共同で策定した「放課後子ども総合プラン」にもとづき、2019年度末までに、学童保育について約30万人の受け皿を新たに整備することをめざしています。今回の予算案は、2016年度までに約17万人の子どもの受け皿を整備するための予算を示したものであリ、新制度によって、学童保育の「『量的拡充』及び『質の改善』に必要な経費を計上し、市町村における子ども・子育て支援事業計画に基づく取組を支援」としています。
◆「量的拡充」に関わっては、つぎのような内容が示されています。
・児童数が10人夫満の学童保育も補助対象とされることになった(編集部注 省令では児童数10人未満の学童保育にも複数指導員の配置が定められている)。
・補助単価の設定を、クラブ単位から「支援の単位」に見直した(編集部注 省令で支援の単位は「おおむね40人以下」と定められた)。
・小学校の余裕教室など既存施設の改修、設備の整備・修繕及び備品の購入の経費の補助は、新たに学童保育を実施する場合に加え、既存の学童保育も補助対象とする。
・施設整備費の補助単価を引き上げる。
◆「質の改善」に関わっては、つぎのような内容が示されています
・18時半を超えて開所し、家庭・学校等との連絡・情報交換等業務に主担当として従事する者を配置するクラブに非常勤職員1名分の処遇改善経費を153万9000円上乗せる。
・18時半を超えて開所し、地域の中核的な放課後児童クラブに非常勤職員1名分を常勤職員とするための処遇改善経費を283万1000円上乗せる。
・障害児を5人以上受け入れる場合は、加配職員1名に追加してさらに1名を配置するために必要な経費を171万2000円補助する。
・19人以下の学童保育にも複数の職員が配置できるよう、必要な経費を53万2000円補助する。
厚生労働省予算では、「放課後児童支援員認定資格研修事業」「放課後児童支援員等資質向上研修事業」が計上されました。くわしい内容はPDFファイル参照。
子ども・子育て支援新制度によって学童保育の制度も大きく変わります。2015年4月以降の財源の確保も大きな課題です。また、来年度から「放課後子ども総合プラン」を推進することになっています。2014年11月26日、全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は学童保育制度の拡充と来年度予算の大幅な増額等を求めて厚生労働省、文部科学省、内閣府、財務省に要請行動を行いました。質の改善を図リながら量的拡充を図ること、「放課後子供教室」との「一体化」ではなく、私たちが求める学童保育の拡充となるよう要望しました。厚生労働省からの回答・説明はつぎのとおりです。
「消費税の10%への引きあげは先送リとなったが、子ども・子育て支援新制度は2015年4月施行で進めていくのが政府の方針。放課後児童クラブは『地域子ども・子育て支援事業』の13事業の一つとして市町村が実施主体となって進めていく。来年度から内閣府が所管する予算措置は交付金に移行する。補助率は三分の一市町村が実施主体となって行うよう財政支援をしていく」
「来年度から『放課後子ども総合プラン』を進めていく。文部科学省が進める『放課後子供教室』と放課後児童クラブの『一体型』は、両事業を同じ小学校内で実施し、放課後児童クラブの子どもも『放課後子供教室』に参加するというもの。放課後児童クラブは基準にもとづき生活の場として実施していく。『一体型』と『一体化』は違う」
「国の省令にもとづき、多くの市町村で条例が秋の議会で制定されている。国としても、市町村の基準を省令の基準の水準にもっていくための努力をしていきたい。量的拡充は市町村の事業計画の数字を集計している。確保方策の見込みはそれよりも少なかった(約8万人分)。市町村に必要量の確保にしっかりと取り組んでもらいたい」
「2014年度、内閣府が保育緊急確保事業で154億円を確保した。2014年度は市町村から2割程度しか申請がなかった。示した時期が遅かったことと、実施要綱がわかりづらかったこと、来年度からも予算がつくのかが不安だったことが大きな理由だった。もっと使い勝手のよいものにしたい。国の補助単価でば、常勤的非常勤を想定した額だったが、常勤配置をめざしていきたい。来年度は多くの市町村に活用してもらえるよう方策を考えていきたい」
「ガイドラインの見直しをはじめている。運営指針に近いものにしていきたい。全国学童保育連絡協議会の要望も参考にさせてもらう。局長通知として、来年の3月には市町村に示していきたい」
「市町村に対して『放課後子ども総合プラン』のQ&Aを考えているが、省令基準に関するQ&Aも含めて検討していきたい」
「2014年9月30日に放課後児童支援員の認定資格研修のガイドライン(案)を都道府県に事務連絡した。16科目24時間「指導員の資質向上のための現任研修とは趣旨・目的が異なる。新しいガイドラインとあわせて、放課後児童クラブ、放課後児童支援員のアイデンテイテイーを確保していくためのもので、全指導員に受講を課している。受講料は徴収しない方向で検討している」
「基本的には放課後児童クラブには有資格の支援員を配置することが必要。すべての指導貝に認定資格研修を受講してもらいたい。そのための予算要求もしている。講師養成の研修も考えている。省令の『経過措置』は認定資格研修を受けることを指していて、2015年4月から、基準第10条第3項の各号のいずれかを満たす支援員が配置される必要がある」
「省令で示した基準には、事業者が守るべき事項も書かれているが、市町村には放課後児童クラブの実施主体として、基準を定めて実施していく責任がある」
全国連協は、国の制度の拡充と予算措置をひきつづき求めていきます。
2014年11月21日、厚生労働省が設置した「放課後児童クラブの質の向上のための研修企画検討会」では、研修体系における都道府県と市町村の役割、事業者の役割、望ましい研修体系などがまとめられました。なお、国、都道府県、市区町村と事業者の研修における役割を明確にするための「放課後児童クラブに従事する者の研修体系(案)」は、「基準に基づき新たに策定する『放課後児童クラブガイドライン』の見直しをふまえて整理する予定」として宿題とされました。
今後は、@認定資格研修の科目についてのシラバス(講義の内容の概略、講義の計画と内容を解説したもの。ガイドラインの見直しと絡む)、A子育て支援員専門研修(放課後児童コース)の実施方法のガイドライン、B「放課後児童クラブに従事する者の研修体系(案)」の検討を行います。来年度予算と関連する事項もあるので、来年度予算案がまとまった後の三月末をめどにまとめたいとのことで、次回の検討会は2015年3月下旬の開催を予定しています。
厚生労働省は、省令で学童保育の基準を制定したことをふまえて、2007年10月に策定した「放課後児童クラブガイドライン」を運営指針のようなガイドラインにつくり直すこととしており、2015年3月末までに改定し、市町村に周知するとしています。この新しいガイドラインをふまえて、認定資格研修のシラバスや現任研修体系案もつくられます。
全国連協は、提言「私たちが求める学童保育の設置・運営基準(改訂版)」と「学童保育の保育指針(案)〔改訂版〕」を参考にしてガイドラインや研修体系を作成してほしいと、ひきつづき要望していきます。
厚生労働省が設置した「放課後児童クラブの質の向上のための研修企画検討会」では、指導員の認定資格研修の内容や実施方法などの検討に加え、指導員の資質向上のために行う新たな研修体系と、子育て支援関係の施設や業務に主に補助的に勤務する「子育て支援員(仮称)」の養成研修である「放課後児童コース」の内容の検討も行っています。
指導員の資質向上のための新たな研修体系の検討は、2013年12月にまとめられた社会保障審議会児童部会「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」報告書において、子ども・子育て支援新制度の施行までに整理する必要がある事項として、「職員の資質の向上のための体系的な研修制度の在リ方、実施体制」があげられたことを受けたものです。
2014年10月21日に開催された第6回検討会では「放課後児童コース」の研修内容は14科目17時間とすることでまとまりました。
2014年11月17日に開かれた第7回検討会では、指導員の資質向上のための研修体系について厚生労働省から、これまで都道府県と政令市・中核市を対象に出されていた指導員研修費の補助金の対象をすべての市町村にも広げることが提案され、都道府県と市町村の役割と関係を整理して、どのような体系で指導員の研修を実施していくことが望ましいかについて検討が行われました。
2015年4月からこの研修を実施できるよう、次回の第8回検討会でまとめていく予定とのことです。
厚生労働省は、新たに省令で学童保育の基準を制定したことをふまえて、2007年7月に策定した「放課後児童クラブガイドライン」を運営指針のような内容に改定し、2015年3月末以降に市町村に周知するとしています。
社会保障審議会児童部会「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」が2013年12月にまとめた報告書においても、「新たに作成するガイドライン等で示すべき事項、今後取リ組んでいくことが期待される事項について、放課後児童クラブの基準に関連する内容について取りまとめた」「厚生労働省には、本報告を踏まえた省令の立案や運用面の改善など必要な対応を取ることによリ、放課後児童クラブの質の確保と事業内容の向上を求めるものである」と記されています。
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は厚生労働省に対して、私たちがまとめた提言「私たちが求める学童保育の設置・運営基準(改訂版)」「学童保育の保育指針(案)(改訂版)」を参考にして、よりよいガイドラインが作成されるよう要望しています。
2014年11月7日、厚生労働省が2014年5月1日現在の放課後児童クラブ(学童保育)の実施状況調査結果を発表しました。主な調査結果はつぎのとおりです。
放課後児童クラブ数 | 2万2,084か所 (前年比602か所増) |
登録児童数 | 93万6,452人 (前年比4万7,247人増) |
利用できなかった児童数 | 9,945人 (前年比1,256人増) |
障害児入所クラブ数 | 1万1,951か所 (前年比901か所増) |
障害児登録児童数 | 2万7,776人 (前年比2,438人増) |
指導員数 | 9万4,293人 (前年比4,807人増) |
2014年年7月に発表した全国連協の実施状況調査の結果と比べると、学重保育数は12か所少なく、入所児童数は2917人多い結果となっています。
厚生労働省は2007年に「放課後児童クラプガイドライン」を策定し、その後の2008年度調査から、ガイドラインの項目に沿った内容で調査を行っています。
省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」において、一施設(単位)あたりの児童数は「おおむね40人以下」と定められましたが、45人以上の学童保育数は8420か所で、約4割にのぼります。「71人以上」は1681か所あり、昨年よりも219か所増えています。また、省令で定めた施設の広さの基準である「児童一人当たりおおむね1.65u以上」を満たしている学童保育は73.3%、静養スペースがある学童保育が65.7%と、いずれも昨年よりわずかに増えています。
2014年8月に政府が策定した「放課後子ども総合プラン」では、同一小学校内に学童保育と放課後子供教室の両方を実施し、連携を図る「一体型」を1万か所に増やすことが目標の一つとされています。今回の調査では、「小学校内で実施する放課後児童クラブのうち、同一小学校内に放課後子供教室があるか所数」を初めて調べました。その数は4392か所、学校施設内の学童保育の37.7%でした。
調査項目はこのほかに、「新一年生の受入開始の状況」「クラブ専用部屋・専用スペースの有無」「一クラブあたりの放課後児童指導員数の状況」「放課後児童指導員の資格の状況」「保護者支援・連携の実施状況」「学校等との連携の実施状況」「関係機関・地域との連携の実施状況」「安全対策の実施状況」「研修受講機会の提供の実施状況」「事業内容の定期的な自己点検の実施状況」「運営状況等の情報提供の実施状況」「要望・苦情対応の実施状況」「放課後児童クラブガイドラインの市町村における策定状況」「放課後児童クラプガイドラインに基づく運営内容の点検・確認状況」などがあります。
*調査結果は、厘生労働省のホームページで全文を見ることができます。
2014年10月10日、岩手県花巻市内で、全国学童保育連絡協議会の2014年度(2014年9月から2015年8月まで)の定期総会を開催しました。
総会では、2013年度の活動報告、決算報告、会計監査報告が承認され、2014年度の活動方針、予算が討議の後、決定されました。
活動方針では、つぎの点を今年度の重点課題として取リ組むことを確認しました。
○学童保育の量的・質的な拡充を求める。
○「子ども・子育て支援新制度」本格実施を前に条例制定、事業計画案策定において学童保育のあるべき姿の実現を働きかける。
○学童保育の役割と指導員の仕事を明確にし、労働条件の抜本的改善を求める。
○連絡協議会の組織強化に取リ組み、父母会(保護者会)活動の活性化の道を切リ開く。
○『日本の学童ほいく』の普及拡大を進める。
○東日本大震災で被災した学童保育への支援を進める。
また、第50回全国学童保育研究集会を、2015年秋に大阪府で開催することが決定されました。大阪学重保育連絡協議会から、「大阪の学童保育の発展と結びつけて全国研の準備をしていきたい」と決意が述べられました。
2014年度の全国学童保育連絡協議会役員はつぎの通リです。
会長 木田保男(三多摩・保護者・再)
副会長 出射雅子(京都・保護者・再)、江尻彰(東京・保護者・再)、小野さとみ(三多摩・指導員・再)、嘉村祐之(岩手・指導員・再)、賀屋哲男(愛知・専従職員・再)、亀卦川茂(埼玉・指導員・再)、木村美登里(神奈川・指導員・再)、河野伸枝(埼玉・指導員・再)、田村明日香(千葉・指導員・再)、千葉智生(東京・指導員・再)、早川雅代(石川・指導員・再)、平野良徳(兵庫・保護者・再)、前田美子(大阪・役員・再)
事務局長 池谷潤(神奈川・保護者・再)
事務局次長 真田祐(職員・再)・志村伸之(職員・再)・佐藤愛子(職員・新)
厚生労働省は2014年9月30日付で、2015年4月から都道府県が実施する「放課後児童支援員」の認定資格研修について、「『放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準』第10条第三項に規定する『都道府県知事が行う研修』について」という事務連絡を都道府県に発出しました。
このたび、厚生労働省令で学童保育の基準が定められました。指導員には「放課後児童支援員」の資格が必要となリ、資格取得のための認定資格研修は、国が定めた科目・時間数にもとづき都道府県が実施することとされています。
認定資格研修の内容は、厚生労働省が設置した「放課後児童クラブの質の向上のための研修企画検討会」で検討されてきました。このたびの事務連絡は、2014年9月27日に開催された第5回検討会(その内容は本誌2014年11月号「協議会だよリ」で紹介しています)でまとまったことを都道府県に知らせ、実施に向けた準備を促すものです。
これを受けて、都道府県では現在、2015年4月からの認定資格研修を実施する準備がはじまっています。
全国学童保育連絡協議会が主催し、全国8会場で開催された第39回全国学童保育指導員学校がすべて終了しました。
受講者総数は5487名でした。学童保育に期待されることが増えているなかで、この全国学重保育指導員学校は、指導員が自発的に学ぶ貴重な場となっています。
会場 | 日程 | 会場 | 受講者数 |
北海道会場 | 6月15日(日) | 札幌市・かでる2.7 | 399人 |
東北会場(宮城) | 6月22日(日) | 仙台市・宮城学院女子大学 | 571人 |
北関東会場(埼玉) | 6月22日(日) | 上尾市・上尾市文化センター | 1123人 |
南関東会場(神奈川) | 6月1日(日) | 横須賀市・県立保健福祉大学 | 659人 |
西日本・愛知会場 | 6月8日(日) | 名古屋市・愛知高校 | 893人 |
西日本・広島会場 | 6月1日(日) | 広島市・鈴峯女子短期大学 | 511人 |
四国会場(香川) | 6月29日(日) | 高松市・高松テルサ | 371人 |
九州会場(福岡) | 9月21日(日) | 春日市・クローバープラザ | 960人 |
計 5487人 |
2014年8月末、来年度予算の厚生労働省、文部科学省、内閣府分の概算要求が発表されました。子ども・子育て支援新制度(以下、新制度)に関わる予算措置は年末に判断される消費税10%増税の有無に関わるため金額が示されず、厚生労働省の学童保育の補助金と、内閣府が2014年度に指導員の処遇改善のために予算化した「保育緊急確保事業」のなかの補助金ともに、今年度と同額が示されました。ただし、年末までに新制度に関わる予算と財政措置の仕組み(新制度の予算は交付金となる)を検討しますので、大きく変更される予定です。
指導員の認定資格のための研修費については、今回の概算要求で金額が明らかにされ、計上されています。「子ども・子育て支援対策事業費補助金」(一般会計で新規要求)という名称で、指導員の認定資格研修、現任研修、子育て支援員(仮称)に関わる補助金などが含まれています。「子育て支援員(仮称)」に関わる補助金は6.5億円、学童保育指導員に関わる補助金(認定資格研修・現任研修)は2億円程度でした。
また、金額の示されない「事項要求」では、「放課後子ども総合プラン」による「放課後児童クラブの量的拡充のため、市町村への支援策としての検討事項」として、「小学校の余裕教室等の校舎内や、小学校の敷地内又は小学校隣接地に、一体型を中心とした放課後児童クラブ・放課後子供教室を計画的に整備していくため、市町村の取組みへの支援の充実を行う」「小学校の余裕教室等の実施場所が確保されるまでの問の当面の措置として、小学校の敷地外の民家・アパート等を活用した場合の賃借料の補助を行う」「幼稚園、認定こども園等の空きスペースを活用して、放課後児童クラブの設置促進を図るために必要となる設備費等の補助を行う」「小学校の敷地外の放課後児童クラブへの高齢者、主婦等による送迎支援を実施し、小学校の余裕教室が活用できない場合における安全・安心な移動を確保するための補助を行う」などがあげられています。
全国学童保育連絡協議会は、年末に要請行動を行い、学童保育に関する国の補助金の抜本的な引き上げや、確実な財政措置がなされるよう要望します。
2014年9月29日、都道府県知事が実施する指導員の認定資格研修の内容や方法等を検討している「放課後児童クラブの質の向上のための研修企画検討会」(厚生労働省)の第5回目の検討会が開催され、「放課後児童支援員に係る都道府県認定資格研修ガイドライン(案)」が示されました。
第3回目の検討会で、研修の科目数と時間は、16科目24時間とすることで合意され、第4回目では、科目の免除、実施方法、認定制度などの仕組みについて案が示されていました。
実施方法の検討では、1回の研修定員を100名程度とした場合、現在、約9万人いる指導員が受講するために必要な研修の回数を推計した資料などが示されました。有資格者の配置について省令の基準には、「放課後児童支援員を配置しなければならない」と義務づけられています。これには、「ただし、その一人を除いて補助員をもってこれに代えることができる」という但し書きもありますが、基準の基本的な考えは、有資格者が学重保育の指導員として勤務することです。そこで厚生労働省は、すべての指導員数である9万人が認定研修を受講する想定で推計を出しました(現状では、認定資格研修の受講要件を満たしていない指導員が全体の3割程度いますが、5年間の経過措置の間に2年以上勤務すれば、受講要件を満たすことになります)。
また、「放課後児童支援員認定資格研修修了証(仮称)」を知事が発行し、都道府県が名簿の登録・管理(永久保存)を行う仕組みも示されました。保育士の場合は、都道府県に資格取得者を登録し、保育士証が交付されて仕事ができる仕組みとなっておリ、指導員についても同じようなことが検討されています。
2015年4月からはじまる認定資格研修のために、国では2015年度の概算要求に約2億円の予算化を検討しています。都道府県も同額を負担し、合計4億円で5年の問に実施することになリ、総額20億円が必要(現任研修制度への補助も含む)と想定されています。
*「放課後児童クラブの質の向上のための研修企画検討会」の資料や議事録などは、厚生労働省のホームページで読むことができます。
2014年4月、「母子及び寡婦福祉法」が改正され、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」となリ、父子家庭への支援が法的に盛リ込まれました。また、母子家庭の保育所への入所の特別の配慮を規定した条文(第28条)も改正され、市町村は母子家庭の学童保育の利用についても「特別な配慮をしなければならない」こととなりました。あわせて、父子家庭にも同様に学童保育の利用にあたって特別の配慮を行わなければならないこととなりました。
2003年の「母子及び寡婦福祉法」改正で保育所への優先利用の「特別な配慮」義務規定がつくられた際には、学童保育は対象とされていませんでした(ただし、学童保育への優先的入所を市町村に依頼する通知が出されました)。今回は、法改正によって、学童保育についても法的な「特別な配慮」義務規定が設けられました。法文には明記されていませんが、「特別な配慮」には、優先的利用、保育料の減免措置などが必要となるでしょう。現在、学童保育の保育料が高く、減免制度もないために、学童保育を利用できないひとり親家庭があるのが現状です。早急な解決が望まれます。
政府は、2014年6月24日、「『日本再興戦略』改訂2014」(いわゆる成長戦略)を閣議決定しました。このなかには、「放課後子ども総合プラン」の策定・推進が盛り込まれています。これを受けて、厚生労働省と文部科学省は、「放課後子ども総合プラン」を策定し、2014年8月8日に「『放課後子ども総合プラン』について」(以下、局長通知)を地方自治体に発出しました。また、同年8月11日には、地方自治体(都道府県・政令市・中核市)の児童福祉関係と教育委員会関係の担当者を集めて、「放課後子ども総合プラン」全国地方自治体担当者会議を開催し、文部科学省と厚生労働省による説明が行われました。説明に先立って、文部科学省生涯学習政策局長は、「少子化対策、女性の活躍促進、次代を担う子どもの育成が課題であり、とりわけ『小一の壁』を打破することが重要。平成19年の『放課後子どもプラン』で連携促進を進めたが十分にできなかった。今回は、一体型を中心として計画的に整備していく。文部科学省としては、余裕教室の活用の徹底化、『放課後子供教室』のプログラムの拡充、新たな総合教育会議で放課後対策を議論の課題とした。しっかりと進めていきたい」とあいさつしました。厚生労働省雇用均等・児童家庭局長は、「放課後児童クラブの拡充は時代の要請。放課後児童クラブのポイントは、対象児童の拡大。4月に省令で国の基準を定め、市町村は条例で基準を定める。小一の壁の打破のためには居場所が必要。保育緊急確保事業で追加的財政措置も行った。そして、保育所との開所時間の隔たりの解消も行う。『放課後子ども総合プラン』では、30万人の受け皿の拡大をしていく。市町村の潜在的なニーズ調査を積み上げた。量的拡充と車の両輪として質的な拡充を進めたい」とあいさつしました。この後、厚生労働省育成環境課および文部科学省社会教育課から、「放課後子ども総合プラン」の方針、内容などについて、局長通知をもとに説明が行われました。「放課後子ども総合プラン」は、「共働き家庭等の『小一の壁』を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、一体型を中心とした放課後児童クラブ及び放課後子供教室の計画的な整備等を進める」という趣旨・目的のもとに、国全体の目標として、2019年度末までに、「放課後児童クラブについて、約30万人分を新たに整備(約90万人→約120万人」「新規開設分の約80%を小学校内で実施」「全小学校区(約2万か所)で一体的に又は連携して実施し、うち1万か所以上を一体型で実施(約600か所→1万か所以上)を目指す」というものです。
そのための具体的方策として、「学校施設を徹底活用した実施促進」「一体型の放課後児童クラブ及び放課後子供教室の実施」「放課後児童クラブ及び放課後子供教室の連携による実施」があげられています。「一体型」とは、「全ての児童の安全・安心な居場所を確保するため、同一の小学校内等で両事業を実施し、共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が放課後子供教室の活動プログラムに参加できるもの」であリ、「放課後児童クラブについては、生活の場としての機能を十分に担保することが重要であるため、市町村が条例で定める基準を満たすことが必要」とされています。説明会で示された、「一体的な、又は連携によるモデルケース(例)」では、放課後児童クラブは専用室を確保して実施するものとされていました。また、一体型とは、放課後児童クラブの子どもが放課後子供教室に参加しやすい環境をつくっていくというものであリ、一体化とは違います」との説明もありました。全国学重保育連絡協議会(以下、全国連協)はこれまで、「放課後子供教室」と学童保育が、部屋も保育者も子どもも一緒に実施――「一体化」――されては学童保育の役割が果たせないとして、「一体化」ではなく、学童保育の制度の拡充を図リ、「放課後子供教室」とは連携を図ることを要望してきました。
学童保育は、市町村が条例で定める基準に基づいて実施され、学校内で実施される場合は、同じ小学校内で「放課後子供教室」と連携を図っていくことになります。
学童保育の指導員には、厚生労働省令によって「放課後児童支援員」という資格が定められました。また、基準では、「支援の単位」ごとに「一人以上の放課後児童支援員を配置する」ことが定められています。
そのため、放課後児童支援員の資格取得には、都道府県が実施する認定研修を受講する必要があります。厚生労働省は、2015年4月からの施行までに、認定研修の内容や実施方法等を定めます。
現在、厚生労働省内に認定研修について検討する審議会「放課後児童クラブの質の向上のための研修企画検討会」(座長松村祥子・放送大学名誉教授)が設けられ、研修の科目や時間数、実施方法等について検討が行われています。これまで3回の検討会が開かれ、認定研修は16科目で24時間とする方向が示されています。今後、具体的な研修内容や実施方法などが検討され、9月頃には認定研修ガイドライン(案)がまとめられる予定です。
2014年5月27日、全国連協は厚生労働省に対して、全国連協がこれまで取リ組んできた全国学童保育指導員学校の講座内容、会発行の『テキスト学童保育指導員の仕事』の内容、学童保育指導員研修課目試案、「学童保育の保育指針(案)」などをふまえて、学童保育の目的・役割を果たせる内容の研修となるよう要望しました。
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)が毎年行っている、学童保育の実施状況調査の結果がまとまりました。主な内容は以下の通リです。
●学童保育数 2万2096か所(前年比461か所増)
施設数461か所増は、ここ数年のなかでも少ない数です。後で述べるように、大規模な学童保育が増えていることから考えると、入所児童数は増えているのに、新設・分割が進んでいないことが大きく影響していると推察される結果です。学童保育が1か所もない区町村は130、学童保育のない小学校区は346ありました。
●入所児童数は93万3535人(前年比4万4782人増)
入所児童数は、初めて90万人を超えました(表1)。ここ2年間続けて、前年比で4万人以上増えています。働いている母親をもつ小学1年生は約68万人と推計されており、働く母親を持つ子どもの約半数が学童保育に入所しています。高学年の入所児童数と、入所児童数全体に占める高学年の割合も増えています。
しかし、住んでいる地域に利用できる学童保育がなかったリ、経済的負担で利用をあきらめていたり、開設時間が短すぎるなど、制度・施策に関わる問題により、利用したくてもできない家庭がたくさんあることが推測されます。低学年の「潜在的な待機児童」は40万人程度と推計されます。今年度の調査では、「待機児童数」は9115人と、前年に比べて2000人以上増えていますが、市町村の待機児童数を把握する方法が整備されていないため、正確な数を把握できていないところもあります。
2014年調査 | |
1年生 | 325,834(34.9%) |
2年生 | 281,518(30.2%) |
3年生 | 207,294(22.2%) |
4年生 | 67,992(7.3%) |
5年生 | 30,753(3.3%) |
6年生 | 17,246(1.8%) |
その他 | 2,898(0.3%) |
933,535(100.0%) |
●規模別の学童保育数
規模別では、国が定めた学童保育の基準(2015年4月施行)に示されている「おおむね40人以下とする」に合致する規模の学童保育は全体の5割で、半数近くが「大規模」になっている実態が依然としてあります(表2)。入所児童が増え続けているにもかかわらず、新設・分割が進まず、「71人以上」のところがかなリ増えています。
●運営主体と開設場所
運営主体は表3の通リです。保護者などがつくるNPO法人などの運営が増えています。指定管理者制度は2498か所の学童保育で導入されています。民間企業の運営は508か所で、毎年、増え続けています。ただし、塾などが「学童保育」と称しているところはここの数字には含んでいません。今回の調査で民間企業が運営主体と回答のあったところのほとんどは、市町村の委託や指定管理者制度で運営しているところです。
開設場所は表4の通リです。学校施設内の学童保育が増えています。全国連協では今回の調査結果をふまえて、国や自治体に学童保育の量的・質的な拡充をさらに求めていきます。
2007年調査 | 2010年調査 | 2014年調査 | |
9人以下 | 593(3.6) | 719(3.7) | 653(2.9) |
10人−19人 | 1,900(11.4) | 2,155(10.9) | 2,130(9.6) |
20人−39人 | 5,636(33.8) | 7,204(36.5) | 7,899(35.7) |
40人−49人 | 2,619(15.7) | 3,762(19.0) | 4,658(21.1) |
50人−70人 | 3,566(21.4) | 4,596(23.3) | 5,139(23.3) |
71人−99人 | 1,809(10.8) | 1,047(5.3) | 1,295(1.9) |
100人以上 | 545(3.3) | 261(1.3) | 322(1.5) |
合計 | 16,668(100.0) | 19,744(100.0) | 22,096(100.0) |
運営主体 | か所数 | 割合 |
公立公営 | 8,461 | 38.3% |
社会福祉協議会 | 2,287 | 10.4% |
地域運営委員会 | 3,922 | 17.7% |
父母会・保護者会 | 1,471 | 6.7% |
法人等 | 5,623 | 25.4% |
その他 | 332 | 1.5% |
合計 | 22,096 | 100.0% |
開設場所 | か所数 | 割合 |
学校施設内 | 11,815 | 53.5% |
児童館内 | 2,720 | 12.3% |
学童保育専用施設 | 1,749 | 7.9% |
その他の公的施設 | 1,895 | 8.6% |
法人等の施設 | 1,470 | 6.6% |
民家・アパート | 1,383 | 6.3% |
その他 | 1,064 | 4.8% |
合計 | 22,096 | 100.0% |
2014年4月30日、学童保育の基準に関する厚生労働省令(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準)が公布され、5日30日には、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知(解釈通知)と育成環境課長通知(留意事項通知)が出されました。
解釈通知には、「基準の趣旨及び内容」が示されています。そのなかには、「『専用区画』とは、遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画をいい、『区画』とは、部屋又は間仕切リ等で区切られたスペースをいうものである。ここでの『遊び及び生活の場』とは、児童にとって安心・安全であリ、静かに過ごせる場をいうものであリ、体育館など、体を動かす遊びや活動を行う場とは区分すること」と示されておリ、「専用区画」には「事務室、便所等は含まない」などと記されています。
また、職員については、「事業所を開所している時間帯を通じて、同項の基準を満たす必要がある」として、基準となっている「『支援の単位』ごとに2人以上置く」うちの1人以上は有資格者を置くことが、開所しているすべての時間帯を通じて守らなければならないとされておリ、「原則として、支援の提供時間帯を通じて他の職務に従事しないこと」とも記されています。
また、「放課後子供教室と一体的に実施する場合には、当然、放課後子供教室のプログラムの実施や安全管理等を行う人材が必要となるものであリ、放課後児童支援員等が放課後子供教室に従事する者の代替となることは認められない」としています。
また、課長通知では指導員の資格要件のうちの「放課後児童健全育成事業に類似する事莱に従事した者一について、例えば放課後子供教室事業やプレイパークなどにおいて、児童に継続的な関わりを持っていた者などが考えられるとしつつ、「ここでの『継続的』とは、2年以上従事し、かつ、総勤務時間が2QOO時間程度あることが一定の目安と考えられる」としています。一方、「2年以上児童福祉事業に従事した者」(学童保育に2年以上勤務していた者)には、特段の要件はつけられていません。
厚生労働省によると、今後、省令に関するQ&Aを作成し、自治体に周知していくとのことです。
また、指導員の資格に関する研修(都道府県が実施)については、科目や時間数などについては検討会で検討し、2014年8月頃をめどにまとめていくとしています。あわせて、現任の指導員の研修体系についても検討することが予定されています。さらに、厚生労働省は「放課後児童クラブガイドライン」の見直しを、2015年3月までに行う予定だとしています。
2014年6月、政府は、2013年6月にまとめた「日本再興戦略」の見直しを行い、改訂最終案を発表しました。
そこでは、「女性の活躍促進」が「改訂戦略における鍵となる施策」と位置づけられ、その内容として「『放課後子ども総合プラン』、子育て支援員(仮称)の創設、働き方に中立的な税制・社会保障制度等への見直し 等」があげられています。そのうちの「鍵となる施策」では、「女性活躍のための環境整備(放課後児童クラブ等の拡充等ごとも記されています。
2014年6月24日に閣議決定された「成長戦略」でも、女性の活躍促進が柱としてあげられておリ、そこにも「放課後子ども総合プラン」の推進、「放課後児童クラブ等の拡充等」が盛リ込まれています。
政府は今後、2014年7月頃をめどに「放課後子ども総合プラン」をまとめていくとしています。
全国学童保育連絡協議会は、ひきつづぎ学童保育の拡充を促進する際には、「放課後子供教室」や「全児童対策事業」との一体化ではなく、それぞれの施策拡充と連携を図る仕組みとすることを要望していきます。
学童保育を応援する国会議員でつくる2つの議員連盟が、総会を開催しました。
2014年6月12日には、超党派の国会議員でつくる議員連盟「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」が、6月18日には自民党の国会議員でつくる「自由民主党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会」の総会が開かれました。
それぞれの総会では、内閣府子ども・子育て支援新制度準備室から、子ども・子育て支援新制度における放課後児童クラブの位置づけについて、「市町村事業として、量の見込みをもとに量的な拡大と指導員の処遇改善などに必要な財源を確保していく」との説明がありました。また、厚生労働省育成環境課と文部科学省放課後子どもプラン連撹室からは、「放課後子どもプラン」の概要と放課後対策の総合的な推進についての説明がありました。
全国学童保育連絡協議会からは「学童保育(放課後児童クラブ)の現状と課題に関する資料」を提出して、学童保育の現状や課題、政府が今後すすめようとしている「子ども・子育て支援新制度」と「放課後子ども総合プラン」への要望について発言しました。
政府が「放課後子ども総合プラン」を推進していく方向を検討していることについて、出席して発言された多くの議員から、学重保育と「放課後子供教室」は性格も役割も異なるのだから一体化ではなく連携を」との意見が出されました。
2014年4月30日、学童保育の基準をはじめて定めた厚生労働省令が公布されました(今月号の76ページ参照)。今後、学童保育を実施するすべての市町村は、国が省令で定めた基準をふまえて、条例で基準を定める必要があります。すでに、検討をはじめている市町村もあリ、早いところでは、6月議会で条例が審議されて制定されますし、遅くとも9月議会では制定しなければなりません。しかしながら、「国の省令に準ずる」と考えている市町村も少なくないようです。
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は各地の学童保育関係者に、「私たちが求める学童保育のあリ方、基準の内容を明らかにすると同時に伝えながら、市町村が制定する基準が学童保育の役割を十分に果たせるものとなリ、国の基準以上のよりよいものとされるよう、積極的に要望していくこと」を呼びかけています。
2014年5月22日、全国連協は、厚生労働省をはじめ、文部科学省、内閣府新制度準備室、財務省、各政党、国会議員、地方六団体などに、「公的責任による学童保育の制度の拡充」「2015年度政府予算での学童保育の予算の大幅増額」などを求める要望董日を届けました。
「2015年度から国の子ども・子育て支援新制度がスタートするのにともない十分な財政措置が必要であること」「学童保育の国の制度や市町村の施策もさらに拡充が必要なこと」を訴え、私たちの要望の実現を求めました。とくに、政府が6月に策定する「成長戦略」のなかで、学童保育と「放課後子供教室」の「一体型」を中心的な課題とする方向が出されていることに対して、「場所も指導員も子どもも一緒に運営する一体化では学童保育の役割は果たせない。一体化ではなく学童保育の拡充を図ること」を要望しました(要望内容は、全国学童保育連絡協議会のホームページに掲載しています)。
2014年5月22日、全国連協は「明日の学童保育を考えるシンポジウム これからの学童保育を問う」を開催しました。今後、子ども・子育て支援新制度のもとで、学童保育の制度が大きく変わることになります。また、安倍首相は同年6月に決定する「新たな成長戦略」のなかで、「女性の輝く社会づくリ」のために「学童保育の充実と待機児童解消」を大きく打ち出しているものの、そこでは、文部科学省の補助事業である「放課後子供教室」と学重保育の「一体型」の推進なども検討されています。そうした状況のもとで、あらためて学童保育のあリ方や、「放課後子供教室」「全児童対策事業」と学重保育との「一体化ではない連携」のあリ方を考えあいました。
シンポジストは、柏女霊峰さん(淑徳大学教授、放課後児童クラブの基準に関する専門委員会委員長)、下浦忠治さん(元東京都品川区の学童保育指導員、元すまいるスクール指導員、児童相談所ソーシャルワーカー、岡村千尋さん(横浜市の学童保育保護者)にお願いしました。また、オブザーバーとして、為石摩利夫さん(厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課長)にもご出席いただきました。
当日の参加者は北海道から鹿児島県まで全国23都道府県から222名となリ、会場からの質問の時間も設け、学童保育のあリ方や「一体化」の問題点、今後の方向について、学び、深めることができました。
2014年5月22日、安部首相は、横浜市の放課後キッズクラブ(「放課後子供教室」と学童保育を「一体化」したといわれる事業)を視察し、放課後児童クラブ(学童保育)について、「5年間で30万人分の受け皿をつくっていきたい」と発表しました。しかし、視察先は放課後キッズクラプで、近隣にある学童保育(地域運営委員会委託)には訪れていません。
安倍首相は、6月に策定する新たな成長戦略で、「女性の輝く社会づくリ」のためには、学童保育の定員を5年間で30万人分増やす「放課後子ども総合プラン」を発表すると言われています。しかし、そのプランには、「全児童対策事業」の活用も含まれていること、「一体型」を1万か所以上整備するという内容であることが報道されています。
いまから8年前の2006年5月、少子化対策特命大臣・厚生労働大臣・文部科学大臣の合同の記者会見で「放課後子どもプラン」の創設が突然発表されました。その内容は、厚生労働省が所管する学童保育と、文部科学省の補助事業として推進されている「放課後子供教室」を「一体的または連携」して推進するとされておリ、全国の学童保育関係者がおどろきと大きな危惧を抱きました。
共働き・一人親家庭等の子どもたちの毎日の生活の場である学童保育は、「専用室」「専任指導員」「入所甲し込みをして毎日利用する子どもたち」の3点が保障されなければその役割は果たせません。「放課後子供教室」は、すべての子どもを対象とし、参加したい子どもたちが参加する「活動」「体験」「行事」などであリ、その目的・役割、利用の方法、運営の方法、職員の仕事内容、子どもへの関わりなどが、学童保育とは大きく異なる事業です。
全国連協は、共働き・一人親家庭等の子どもたちのために学童保育の充実を求めています。あらためて、二つの事業の「一体化」ではなく、学重保育の量的・質的な拡充を図ること、そのうえで「放課後子供教室」との連携を図るよう政府に要望しています。
2014年4月9日、厚生労働省は「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(案)」に対する意見募集(「パブリックコメント」)をはじめ、22日に締め切られました。4月末頃には省令を公布する予定です。
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は、全国の学童保育関係者に向けて、「よりよい基準となるよう意見を届けること」を呼びかけました。また、全国連協としての意見(提言「私たちが求める学童保育の設置・運営基準」をもとに作成しました)も提出しました。
市町村は、国が省令で定める基準をふまえて、条例で基準を定めます。すでに、基準の検討をはじめている市町村もあリ、早いところでは2014年の6月議会で基準を盛リ込んだ条例が審議され、制定されますし、遅いところでも9月議会で制定をしなければなりません。
しかし、基準を検討している市町村では、「国の省令に準ずる」と考えているところも少なくないようです。
全国運協では、各地の学童保育関係者に、「私たちが求める学童保育のあリ方、基準の内容を明らかにしながら、市町村が制定する基準が学童保育の役割を十分に果たせるものとなるよう、国の基準以上のものをめざすことも含め、積極的に要望していくこと」を呼びかけています。
政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議(ともに安倍者相が議長)は、政府が6月にまとめる「成長戦略」の柱の1つとして、「女性が輝く日本」の実現にむけた検討をはじめています。
2014年3月19日、両会議の合同会議が開催されました。この会議で、田村憲久厚生労働大臣は「放課後対策の総合的な推進@」「A対応の方向性」「B一体型の放課後児童クラブ・放課後子供教室のイメージ」という内容の、「『女性が輝く日本』の実現に向けて」という資料を提出しました。
また、下村博文文部科学大臣は、「放課後子どもプランのさらなる充実について」という資料を提出し、「一体型を中心とした放課後子供教室・放課後児童クラブの計画的な整備」が必要との考えを示しました。
厚生労働大臣資料では、「共働ぎ家庭等の『小一の壁』を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後を安心・安全に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、総合的な放課後対策に取リ組む」として、「共働き家庭などの児童に対し、放課後に適切な遊び・生活の提供する放課後児童クラブを実施/平成25年には約89万人が利用」している一方、「平成19年から放課後子どもプラン(放課後子供教室と放課後児童クラブを一体的に、又は連携して実施)を開始したが、十分に進んでいるとは言えない」現状をふまえて、「一体型を中心とした放課後児重クラブ・放課後子供教室の計画的な整備」が必要との考えを示しています。また、「民間サービスを活用した多様な二ーズへの対応」が必要であリ、「公的な基盤整備と組み合わせて対応」していくとの考えも示しています。
今後、こうした考えをもとに、政府がまとめる成長戦略が決定される可能性があります。
学童保育と放課後子供教室の一体化に関わっては、かつて、少子化対策特命大臣・厚生労働大臣・文部科学大臣合同の記者会見で突然発表された、「放課後子どもプラン」の創設がありました(2006年5月)。当時、厚生労働省が所管する学童保育と、文部科学省の補助事業として推進されている「放課後子供教室」を、「一体的または連携」して推進するとの内容に、全国の学童保育関係者がおどろき、大きな危惧を抱きました。
共働き・一人親家庭等の子どもたちの毎日の生活の場である学童保育がその役割を果たすためには、「入所申し込みをして毎日利用する子どもたち」を対象として、「専用室」「専任指導員」が保障されることが不可欠です。一方、「放課後子供教室」は、すぺての子どもを対象として、参加したい子どもたちに向けて「活動」「体験」「行事」などを提供する事業であリ、その目的・役割、運営の方法、利用の方法、職員の仕事内容や子どもへの関わりで配慮すべき点などが学童保育とは大きく異なります。
全国連協は、「実施場所と職員と対象となる子どもたちが『一体化』されることになれば、学童保育の役割は果たせない」として、共働き・一人親家庭等の子どもたちに対する学童保育の充実を求めてきました。
現在、厚生労働省は、子ども・子育て支援新制度において学童保育の量的拡大・質的拡充を推進しつつ、「放課後子どもプラン」による両事業の連携も推進しています。
全国運協は、二つの事業の「一体化」ではなく、学篁保育の量的・質的な拡充を図ること、そのうえで「放課後子供教室」との連携が図られるよう、政府にあらためて要望していきます(全国学童保育連絡協議会の国への要望書の提出は、2014年5月頃を予定しています)。
*くわしい資料は、内閣府のホームページで見ることができます。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0319/agenda.html
国は、学童保育(放課後児童クラブ)の基準を省令で定めることになっています。当初は、2014年3月末までに省令を公布するとして、その1か月ほど前には省令案を示してパブリックコメントを行う予定とのことでした。しかし、2014年3月24日現在、省令案は示されておらず、公布も4月に延びるとのことです。一方、国が定めた省令に基づいて条例で基準を定める市町村は、遅くとも2014年の9月議会までに制定が必要です。
こうしたなかで、2014年3月10日、内閣府は地方自治体に事務連絡を出し、「放課後児童健全育成裏業の設備及び運営に関する基準」(仮称・案)[未定稿]を示して、市町村が条例を策定する作業の参考にしてほしいと依頼しました。
省令案[未定稿]では、つぎの項目は、「児童福祉施設の設傭及び運営に関する基準」(保育所や児童館などの児童福祉施設の基準を定めた省令)に準ずる内容となっています。「趣旨」「最低基準の目的」「最低基準の向上」「最低基準と放課後児童健全育成事業」「放課後児童健全育成事業者の一般原則」「放課後児童健全育成事莱者と非常災害対策」「放課後児童健全育成事業の職員の一般的要件」「職員の知識及び技能の向上等」「児童を平等に取リ扱う原則」「虐待等の禁止」「衛生管理等」「放課後児童健全育成事業者が備える帳簿」「秘密保持等」「苦情への対応」。
学童保育について独自に内容を基準として定めた「設備の基準」「職員」「運宮規程」「開所時間及び日数」「保護者との連絡」「関係機関との連携」「事故発生時の対応」については、つぎの内容が示されました(省令より抜粋)。
(設備の基準)第九条 放課後児童健全育成事業所には、遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画(以下この条において「専用区画」という。)を設けるほか、支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。/2 専用区画の面積は、児童1人につきおおむね1.65平方メートル以上でなければならない。/3 専用区画並びに第1項に規定する設備及び備品等(次項において「専用区画等」という。)は、専ら当該放課後児童健全育成事業の用に供するものでなければならない。ただし、児童の支援に支障がない場合は、この限リでない。/4 専用区画等は、衛生及び安全が確保されたものでなければならない。
(職員)第十条 放課後児童健全育成事業者は、放課後児童健全育成事業所ごとに、放課後児童支援員を置かなければならない。/2 放課後児童支援員の数は、支援の単位ごとに2人以上とする。ただし、その1人を除き、補助員(放課後児童支援員が行う支援について放課後児童支援員を補助する者をいう。)をもってこれに代えることができる。/3 放課後児童支援員は、次のいずれかに該当するものであって、都道府県知事が行う研修を修了したものでなければならない。(編集部注…「次のいずれか」として、「保育士の資格を有する者」「社会福祉士の資格を有する者」「高等学校卒業者等であって、2年以上児童福祉事業に従事したもの」「幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校の教諭となる資格を有する者」「大学において、社会福祉学、心理学、教育学、社会学、芸術学、体育学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者」「高等学校卒業者等であり、かつ、2年以上放課後児童健全育成事業に類似する事業に従事した者であって、市町村長が適当と認めたもの」など、9項目が示されています) /4 第2項の支援の単位は、放課後児童健全育成事業における支援であって、その提供が同時に1又は複数の利用者に対して一体的に行われるものをいい、1の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする。/5 放課後児童支援員及び補助員は、支援の単位ごとに専ら当該支援の提供に当たる者でなければならない。ただし、利用者の支援に支障がない場合は、この限リでない。(編集部注…放課後児童支援員、補助員は、学童保育指導員のこと)
(運営規程)第十四条 放課後児童健全育成事業者は、放課後児童健全育成事業所ごとに、次の各号に掲げる事業の運営についての重要事項に関する運営規程を定めておかなければならない。/一 事業の目的及び運営の方針 /二 職員の職種、員数及び職務の内容 /三 開所している日及び時間 /四 支援の内容及び当該支援の提供につき利用者の保護者が支払うべき額 /五 利用定員 /六 事業の利用に当たっての留意事項 /七 緊急時等における対応方法 /八 非常災害対策 /九 虐待の防止のための措置に関する事項 /十 その他事業の運営に関する重要事項
(開所時間及び日数) 一 小学校の授業の休業日に行う放課後児童健全育成事業1日につき8時間 /二 小学校の授業の休業日以外の日に行う放課後児童健全育成事業 一日につき三時間 /2 放課後児童健全育成事業者は、1年につき250日以上を原則とし、その地方における児童の保護者の就労日数、小学校の授業の休業日その他の状況等を考慮して、放課後児童健全育成事業所ごとに開所する日数を定める。
(保護者との運絡)第十九条 放課後児童健全育成事業者は、常に利用者の保護者と密接な連絡をとリ、当該利用者の健康及び行動を説明するとともに、支援の内容等につき、その保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない。
(関係機関との連携)第二十条 放課後児童健全育成事業者は、市町村、児童福祉施設、利用者の通学する小学校等関係機関と密接に連携して利用者の支援に当たらなければならない。
(事故発生時の対応)第二十一条 放課後児童健全育成事業者は、利用者に対する支援により事故が発生した場合は、速やかに、市町村、当該利用者の保護者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。 /2 放課後児童健全育成事業者は、利用者に対する支援によリ賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
「附則(施行期日)」には、この省令が施行されるのは、「子ども・子育て支援法」「改正児童福祉法」などが施行される日と記されています(国は2015年4月を予定しているとのことです)。また、新たな資格である放課後児童支援員になるための研修を受ける経過期間を5年としています。
全国学童保育連絡協議会では、この基準についての意見・要望をまとめて国に要望していきます。また、学童保育関係者から「パブリックコメント」に多くの意見を寄せるよう呼びかけていきます。そして、市町村が条例で定める学重保育の基準が、国基準を下回らず、よりよいものとなるよう市町村に対する要望と働きかけを呼びかけています。
国の「子ども・子育て会議基準部会」では、子ども・子育て支援新制度の本格実施にあたっての所要額の推計値を検討しています。2014年2月14日に開かれた会議では、総額1兆1000億円が必要と試算され、学童保育については量的な拡大として今後235億円が必要であること、質的な拡充(指導員の常勤化や処遇の改善など)で総額427億円から497億円程度が必要だと試算していました(本誌2014年4月号の協議会だよリ参照)。
しかし、3月12日の同会議では、子ども・子育て支援新制度にかかる費用について、消費税の増税分から7000億円しか確保されていないとして、その場合の所要額の試算が出されました。
学童保育の質的な拡充では、「「小一の壁」の解消(18時半を超えて開所するクラブに常勤職員一名を配置)」について、406億円程度だったものが、270億円程度に減額されています。
また、「5人以上の障害児を受け入れた場合に、障害児対応職員1名を追加配置 20億円程度」「19人以下のクラブについて、非常勤職員1名を追加配置14億円程度」は必要とされましたが、「大都市に所在し、待機児童が5人以上いるクラブが分割して運営するために必要な賃借科を補助18億円程度」「常勤職員の処遇改善(経験年数に応じて加算)39億円程度」は、計上されませんでした。
学童保育の質的な拡充を図るためには、指導員の常勤配置ができる制度と財政的な保障が必要です。
全国学童保育連絡協議会は、政府の2015年度予算編成にあたって、制度の拡充とともに、学童保育予算の大幅な増額を求める働きかけを早急に行います。
2014年2月26日、厚生労働省が「全国児童福祉主管課長会議」を開き、国の来年度予算案や施策方針などについて説明しました。学童保育(放課後児童健全育成事業・放課後児童クラブ)に関わる説明と配布資料の概要は次のとおりです。
◇2012年8月「子ども・子育て関連三法」が公布され、放課後児童クラブの待機児童の把握および事業の提供体制を確保する方策に関しての法改正等があった(情報収集、公有財産の貸し付け等の措置、提供体制確保の事業計画の策定を実施する市町村の責務を法律上明記)。市町村は待機児童の解消に向けて取り組みを推進してほしい。
◇子ども・子育て支援新制度の先行的な実施として、2014年度の内閣府の予算措置である「保育緊急確保事業」の実施要綱・補助金交付要綱(案)を示した。このな
かに、18時半を超えて開設する学童保育に対して厚生労働省の補助金に追加して出される「放課後児童クラブ開所時間延長支援事業」〔編集部注…後述参照)の実施要綱も入っている。
◇放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の報告書を、「市町村における条例の制定に向けた基礎資料」として周知することをお願いしたい。
◇文部科学省が「放課後子供教室」と「放課後児童クラブ」の連携強化を検討しており、いっそうの連携強化をお願いしたい。
◇子ども・子育て支援新制度の施行に向けて、放課後児童健全育成事業の実施要綱を新たに作成した(「放課後子どもプラン推進実施要綱」は廃止)。施設の広さは児童一人当たりおおむね1.65u以上が望ましいこと、静養スペースの確保が望ましいこと、放課後児童クラブガイドラインを踏まえた運営が望ましいこと等を明記した。
* * *
「放課後児童クラブ開所時間延長支援事業」の要綱(案)と「補助金交付要綱(案)では、内閣府から出される補助金の単価や要件などが示されています。以下、要約して紹介します。
◆事業の目的 18時半を超えて事業を行う者に対して追加的な費用を補助することによリ、保育所における開所時間との乖離の縮小を図ることを目的とする。
◆実施主体 市町村(特別区を含む)。なお、市町村が認めた者へ委託等を行うことができる。
◆事業の内容 子ども・子育て支援法第59条第5号に基づく放課後児童健全育成事業を先行的に行う者に対して、当該事業に従事する者の賃金額の増加に必要な資金に充てるための費用の一部を補助する。
◆補助額 一事業者当たり年額156万円。対象経費は、「事業を実施するために必要な給料、職員手当(時間外勤務手当、期末勤勉手当、通勤手当)、共済費(社会保険料)、賃金、委託料及び補助金。
◆実施方法 厚生労働省からの国庫補助対象となっていること。従事者が二名以上配置されていること。うち一名以上は「児童の遊びを指導する者」の任用資格を有すること。平日は1日6時間を超えて、かつ、18時30分を超えて開所すること。長期休暇期間等につき、1日8時間以上開所すること。年間250日以上開所すること。開所時間を通じて専用で利用できる児童のための生活の場(専用室)を確保すること。対象となる従事する者は、「学校との情報共有」「保護者への連絡・情報共有」「防災・防犯対策」「要望・苦情への対応」「児童虐待早期発見への取組」を主担当として従事すること。
◆対象となる従事者の範囲等 実際に賃金の額を増加する従事者の範囲や賃金改善の具体的な内容については、実情に応じて各実施主体が決定すること。ただし、法人の運営に携わる役員など児童の処遇に直接従事しない者については、本事業の対象としない。
◆留意事項 児童福祉法第6条の3第2項の規定に基づき実施する放課後児童健全育成事業と目的を異にするスポーツクラブや塾など、その他公共性に欠ける事業を実施するものは対象としない。
◆費用 実施するために必要な経費は、保護者から徴収してはならない。
*全国児童福祉主管課長会議の資料は、厚生労働省のホームページで入手できます。
前述したように、2014年度から子ども・子育て支援新制度の先行実施として「保育緊急確保事業」が予算計上され、学童保育の指導員の処遇の改善のための追加費用が出されます。
2014年2月14日に国の子ども・子育て会議基準検討部会が開かれ、「子ども・子育て支援新制度における『量的拡充』と『質の改善』について」という資料のなかで、今後の所要額の推計値が示されました。
学童保育については、以下のとおりです。
●学童保育の量の拡大で、平成25年度から平成29年度までに235億円増やすことが必要。
●学童保育の質の拡充で、主に指導員の処遇の改善などで以下の所要額が必要(平成29年度)。
・「小一の壁」の解消(18時半を超えて開所するクラブに、取組内容に応じて常勤職員一名・常勤的非常勤一名のいずれかを配置、又は常勤職員一名を配置……339億円〜406億円程度
・5人以上の障害児を受け入れた場合に、障害児対応職員1名を追加配置……20億円程度
・大都市に所在し、待機児童が5人以上いるクラブが分割して運営するために必要な賃借料を補助……18億円程度
・19人以下のクラブについて、非常勤職員1名を追加配置……14億円程度
・常勤職員の処遇改善(経験年数に応じて加算)……39億円程度