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 ●WEB版協議会だより

 協議会だよりは、『日本の学童ほいく』のコーナーの1つです。国の動き、全国学童保育連絡協議会の活動、情報などを毎月載せています。

 ●過去の協議会だより

2018年4月号〜2019年3月号
2016年4月号〜2017年3月号
 2017年4月号〜2017年3月号
2014年4月号〜2015年3月号 2015年4月等〜2016年3月号
2012年4月号〜2013年3月号 2013年4月号〜2014年3月号
2010年4月号〜2011年3月号 2011年4月号〜2012年3月号
2008年1月号〜2008年12月号 2009年1月号〜2010年3月号
2007年1月号〜2007年12月号 2006年1月号〜2006年12月号
2005年1月号〜2005年12月号 2004年1月号〜2004年12月号
2003年1月号〜2003年12月号 2002年1月号〜2002年12月号 

 ●最新の協議会だより 

◇2019年4月号〜2020年3月号の協議会だより◇
8月号 学童保育の拡充を求める国会請願署名が採択されました
「従うべき基準」の参酌化を含む「分権一括法案」参議院本会議で可決
7月号 学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む「分権一括法案」が衆議院本会議で可決
地方議会からの意見書採択の取り組み
6月号 学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む地方分権法案、審議がはじまりました
100万人の声を届けよう! 国会請願署名の取り組み
地方議会からの意見書採択の取り組み
全国児童福祉主管課長会議が開催されました
5月号 学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む地方分権法案、閣議決定
100万人の声を届けよう! 国会請願署名の取り組み
地方議会からの意見書採択の取り組み
4月号 「100万人の声を届けよう!」国会請願署名の取り組み
地方議会からの意見書採択の取り組み
2019年度政府予算案の概要が発表されました
「明日の学童保育を考えるシンポジウム」を開催しました

2019年8月号

学童保育の拡充を求める国会請願署名が採択されました

 第198回通常国会が閉会となる2019年6月26日、「学童保育を拡充し、子育て支援の充実」の請願が、衆議院厚生労働委員会、参議院内閣委員会を経て、衆・参の本会議で採択されました。「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」の請願は審査未了に終わりました。
 「学童保育を拡充し、子育て支援の充実」の請願署名は、衆・参あわせて62名の議員の方々を介して20万8814筆、「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」の請願署名は、132名の議員の方々を介して37万8581筆が国会で受理されました。衆・参の本会議で採択された請願は内閣に送付され、内閣はそれを誠実に処理し、その経過を国会に報告することになっています。
 全国学童保育連絡協議会は、これまでも何度か国会請願署名に取り組んできました。
1973年〜1974年:8万3000余筆、採択
1975年:11万5021筆、衆のみ採択
1978年:28万5093筆、採択
1980年:37万7908筆、採択
1985年:108万3644筆、採択
2018年:20万7993筆、審査未了
(1990年と2001年は要望署名)。
 私たちの請願が採択されたのは34年ぶりです。

学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む「分権一括法案」参議院本会議で可決

 学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第9次地方分権一括法案)」(以下「分権一括法案」)が、2019年5月31日、参議院本会議で可決されました(当日は、内閣委員会の委員長が委員会での検討結果を報告した後、採決が行われ、賛成多数で可決)。
 なお、内閣委員会では、同年5月30日に「分権一括法案」全体についての審議が4時間半行われ、和田政宗・参議院議員(自由民主党・宮城)、相原久美子・参議院議員(立憲民主党・比例)、木戸口英司・参議院議員(国民民主党・岩手)、矢田わか子・参議院議員(国民民主党・比例)、田村智子・参議院議員(日本共産党・比例)が、学童保育の「従うべき基準」の参酌化について質問しました。
◇和田議員は、基準緩和によって市町村格差が拡大し、質の確保につながらないことを危惧し、二人以上の体制が崩れた場合の緊急事態への対応について質問し、子どもたちの安全確保の重要性を指摘しました。
◇相原議員は、「職員が集まらないと言うが、理由は処遇の悪さと労働実態の過重さにある」と指摘して、職域に応じた実態調査を要望しました。また、会計年度任用職員の制度にもふれ、公営の学童保育で働く指導員の処遇の底上げを図ることが大切だと述べました。
◇木戸口議員は、「参酌化の問題を、法学、社会学、政治学を専門とする研究者で構成する地方分権改革有識者会議で議論するのは、ふさわしかったのか」とただしました。
◇矢田議員は、子どもを学童保育に通わせた経験と、お世話になった指導員が過労で倒れて亡くなったことにもふれ、「片山大臣も一年に三回でいい、ぜひ事前通告なしに、現場を見に行ってほしい」と要望しました。
◇田村議員は、「地方分権改革有識者会議は3年をかけて議論をしたというが、学童保育の現場と運動が1960年代から積み重ね、たどり着いた資格と配置基準。たった二人配置がそれほど大変か」と指摘しました。
 質疑のあと、立憲民主党・民友会・希望の会及び国民民主党・新緑風会から、「分権一括法案」から児童福祉法改定を削除する修正動議が提出されましたが、これに賛成する委員は少数で、修正案は否決されました。
 その後、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会・希望の党の各派共同提案で、附帯決議案が提出されました。附帯決議のうち、学童保育に関わる内容はつぎのとおりです。
     *    *    *
一 放課後児童健全育成事業については、子どもの安全や同事業の質が十分に確保されるよう、地方公共団体等に周知徹底すること。また、子どもの安全等が損なわれるおそれがあると認める場合には、国は当該地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。
二 放課後児童健全育成事業の見直しに関する検討を行うに当たっては、市町村、同事業の従事者、保護者等の意見を幅広く聴取するとともに、市町村による条例の改正状況や同事業の運営状況等に関する実態調査を継続的に実施すること。なお、実態調査については、法令上に規定された基準等に基づく調査を行うとともに、実施結果等について、適切な情報開示を行い、説明責任を果たすこと。
三 放課後児童健全育成事業の利用者の増加に伴う待機児童の解消のため、放課後児童支援員等の処遇改善等による人材の確保や、関係施設の整備等に対し、十分な財政措置を講ずること。また同事業に係る既存の国の支援策について、その利用が促進されるよう地方公共団体に対する周知徹底を図ること。
四 放課後児童健全育成事業について、厚生労働省が同事業の従事者や保護者のための相談窓口を設けるとともに、当該窓口における意見等を踏まえ、地方公共団体に対し、報告を求めること、情報提供及び助言を行うことも含め、事業の適切な運営を確保するための措置を講ずること。
     *    *    *

 これらは、衆議院の附帯決議の項目と同様ですが、「二」に「実態調査については、法令上に規定された基準等に基づく調査を行う」とあるのは、衆議院と異なる点です。
 残念ながら、「分権一括法案」が可決され、改定された児童福祉法は2020年4月1日に施行されることになりました。しかし、「施行後三年を目途として」「放課後児童健全育成事業の適切な実施並びに当該放課後児童健全育成事業の内容及び水準の向上を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」という附則が付されたこと、衆・参の委員会での質疑をふまえて四点の附帯決議が付されたことは、全国各地の学童保育関係者が共に、国会請願署名や地方議会からの意見書採択に取り組んだ結果だと考えます。
 「従うべき基準」が参酌化されたとしても、市町村は現行の条例を、改定しなければならないわけではありません。また、現行の条例の内容を変更する際には、住民・利用者への説明、子ども・子育て会議での議論、市町村議会での議決が必要です。
 ひきつづき、「条例について地方議会で議論されることになった場合にも、質の確保を担保すること」を求めていきましょう。

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2019年7月号

学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む「分権一括法案」が衆議院本会議で可決

 学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第9次地方分権一括法案)」(以下「分権一括法案」)が、2019年5月10日、衆議院本会議で可決されました(当日は、「地方創生に関する特別委員会」の委員長が委員会での検討結果を報告した後、採決が行われ、賛成多数で可決)。
 なお、「地方創生に関する特別委員会」(以下、特別委員会)ではこれまで、同年4月18日、25日の2日間、地方分権法案全体についての審議が5時間行われてきました。以下、25日の審議の様子を報告します(18日の様子については本誌2019年6月号参照)。
 25日の特別委員会では、緑川貴士・衆議院議員(国民民主党・比例東北)、白石洋一・衆議院議員(国民民主党・愛媛三区)、高橋千鶴子・衆議院議員(日本共産党・比例東北)、広田一・衆議院議員(社会保障を立て直す国民会議・高知二区)が、学童保育の参酌化について質問しました。
 なお、白石議員と高橋議員には全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)から、「全国連協と地域連協が、地方議会から基準の維持、質の確保を求める意見書採択に取り組んでおり、現在、11道県、36市町の議会で採択されている。ぜひ、片山さつき内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画)にこのことをどう受けとめているか、認識を問うてほしい」と要望を伝えていました。
 白石議員の質問に対して片山大臣は、「そのことは知っている」と答えながらも、「この提案は地方三団体が機関決定したもの」とこれまでの答弁をくり返しました。高橋議員と内閣府地方分権改革推進室次長との質疑は以下のとおりです。
高橋「具体的に(参酌化の)提案は、いくつの自治体から出たのか」
次長「二件です(提案団体と追加共同提案団体は7県、15市町)」
高橋「(基準の維持、質の確保を求める)意見書は、いくつの地方議会から出たのか」
次長「存じておりません」
*括弧内は編集部で補足。
 このほかにも、緑川議員から「法改正は踏みとどまるべき」、高橋議員から「児童の権利や子どもの最善の利益について、児童福祉法第一条や『放課後児童クラブ運営指針』に書き込まれた歴史に逆行するもの」との発言がありました。
 質疑のあと、立憲民主党・国民民主党の二派から、「地方分権一括法案から児童福祉法改定をはずす」(少なくともその日の特別委員会では、学童保育の「従うべき基準」の参酌化を決めない)という修正案が出されましたが、これに賛成する議員は少数で、提案は否決されました。
 その後、自由民主党・公明党・立憲民主党・国民民主党・日本維新の会・社会保障を立て直す国民会議の六派から、「分権一括法案」全体に対して、附帯決議の提案があり、賛成多数で採用されました。附帯決議のなかの、学童保育に関わる内容はつぎのとおりです。
     *    *    *
一 放課後児童健全育成事業については、子どもの安全や同事業の質が十分に確保されるよう、地方公共団体等に周知徹底すること。また、子どもの安全等が損なわれるおそれがあると認める場合には、国は当該地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。
二 放課後児童健全育成事業の見直しに関する検討を行うに当たっては、市町村、同事業の従事者、保護者等の意見を幅広く聴取するとともに、市町村による条例の改正状況や同事業の運営状況等に関する実態調査を継続的に実施すること。なお、実態調査の実施結果等について、適切な情報開示を行い、説明責任を果たすこと。
三 放課後児童健全育成事業の利用者の増加に伴う待機児童の解消のため、放課後児童支援員等の処遇改善等による人材の確保や、関係施設の整備等に対し、十分な財政措置を講ずること。また同事業に係る既存の国の支援策について、その利用が促進されるよう地方公共団体に対する周知徹底を図ること。
四 放課後児童健全育成事業について、厚生労働省が同事業の従事者や保護者のための相談窓口を設けるとともに、当該窓口における意見等を踏まえ、地方公共団体に対し、報告聴取、情報提供及び助言を行うことも含め、事業の適切な運営を確保するための措置を講ずること。
     *    *    *

 附帯決議の「一」「二」は、「地方分権一括法案」の附則に記されている「施行後三年を目途とする検討」について補足したものです(なお、「施行後三年を目途とする検討」について全国連協は、「実態調査の実施結果等については国会での報告を課すこと」を要望しています)。
 「二」に記された「適切な情報開示を行い、説明責任を果たす」ことが、国会での報告になるのか、厚生労働省のホームページでの公開などになるのかについては、今後の私たちの働きかけが重要で
す。
 全国連協は、子どもの命と安全を守り、安心できる「生活の場」を保障するという観点から、学童保育の質の低下や市町村格差の拡大を防ぐために、「従うべき基準」の堅持を強く求めています。
 児童福祉法が改定されて「従うべき基準」が参酌化されたとしても、市町村は現行の条例を、改定しなければならないわけではありません。また、現行の条例の内容を変更する際には、住民・利用者への説明、子ども・子育て会議での議論、市町村議会での議決が必要です。
 今後、「分権一括法案」の審議は、参議院内閣委員会での審議を経て、参議院本会議での検討にすすみます。全国連協は、「児童福祉法の改定に際しては国会で十分な審議を行うこと」「児童福祉法が改定され、条例について地方議会で議論されることになった場合にも、質の確保を担保すること」をひきつづき訴えていきます。

地方議会からの意見書採択の取り組み

 地方公共団体の議会は、地方自治法第99条にもとづき、意見書を国会または関係行政庁に提出することができます(『日本の学童ほいく』2019年2月号、3月号、4月号、5月号、6月号参照)。
 この間、複数の自治体で基準の維持、質の確保を求める意見書が採択されています。『日本の学童ほいく』2019年6月号の「協議会だより」で紹介して以降、あらたに、東京都小平市、清瀬市で意見書採択の知らせが届いています(2019年5月31日現在)。
 ぜひ多くの地域で、地方議会から「従うべき基準」を守るための意見書を提出してもらうための働きかけ・取り組みをすすめましょう。また、各市町村の条例の水準を現行のものから下げないためには、議会で決議をあげる取り組みも有効です。

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2019年6月号

学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む地方分権法案、審議がはじまりました

 学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第9次地方分権一括法案)」の審議が、2019年3月26日、衆議院「地方創生に関する特別委員会」ではじまりました。この日の委員会は、片山さつき内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画)から、法案の提案理由についての説明を「聴取」して終了しました。
 「地方創生に関する特別委員会」では、同年4月18日、25日の2日間で、地方分権法案全体についての審議を5時間行い、採決後に、衆議院の本会議の審議に進みます。4月18日の委員会では、佐藤明男・衆議院議員(自由民主党・比例北関東)、今井雅人・衆議院議員(立憲民主党・比例東海)、松田 功・衆議院議員(立憲民主党・比例東海)が、学童保育の「従うべき基準」の参酌化について質問しました。今井議員は、「とても不安。質の低下につながらないか」と指摘し、「そもそも、2015年に『放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準』を策定したときの総括はされているのか。厚生労働省で総括することが必要だ。精査して、慎重な議論が必要だと考える」と発言しました。
 また、4月12日には「厚生労働委員会」で山井和則・衆議院議員(国民民主党・比例近畿)が質問し、「これは『児童福祉法の一部改正』なので、この厚生労働委員会で審議すべきことなのに、どうして厚生労働委員会で審議されないのか、ひきつづき、しっかりここで議論していきたい」と発言しました。
 全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は、子どもの命と安全を守り、安心できる「生活の場」を保障するという観点から、学童保育の質の低下、市町村格差の拡大を防ぐために、「従うべき基準」の堅持を強く求めています。
 法が改定されて「従うべき基準」が参酌化されたとしても、市町村は現行の条例を改定しなければならないわけではありません。また、現行の条例の内容を変更する際には、住民・利用者への説明、子ども・子育て会議での議論、市町村議会での議決が必要です。
 全国連協は、「児童福祉法の改定に際しては国会で十分な審議を行うこと」「万が一、児童福祉法が改定され、条例について地方議会で議論されることになった場合にも、質の確保を担保すること」をひきつづき訴えていきます。

100万人の声を届けよう! 国会請願署名の取り組み

 2019年4月22日現在、地域の学童保育連絡協議会と共に全国連協が取り組んでいる、「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」を求める請願署名は25万5405筆、「学童保育を拡充し、子育て支援の充実」を求める請願署名は12万4216筆が集まりました。
 紹介議員の依頼を進めるなかで、立憲民主党子ども子育てプロジェクトチームの岡本あき子・衆議院議員(比例東北)から、立憲民主党総務・内閣合同部会へのご紹介をいただきました。そして、衆議院「地方創生に関する特別委員会」理事でもある今井雅人議員が、後日、「さらにくわしい説明を聞きたい」と国会事務所に全国連協事務局を呼んでくださり、前述の委員会での質問につながりました。
 「厚生労働委員会」で質問を行ってくださった山井和則議員には、地元の京都学童保育連絡協議会から依頼をしたことと、超党派の議員連盟である「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」幹事長の泉健太・衆議院議員(国民民主党・京都3区)からも声をかけていただきました。
 ひきつづき、地域の連絡協議会と全国連協から、衆参の「厚生労働委員会」「内閣委員会」に所属する議員の方々に、請願の紹介議員を引き受けてくださるようお願いし、国会で十分な審議が行われるよう要望していきます。

地方議会からの意見書採択の取り組み

 地方公共団体の議会は、地方自治法第99条にもとづき、意見書を国会または関係行政庁に提出することができます(『日本の学童ほいく』2019年2月号、3月号、4月号参照)。この間、複数の自治体で「従うべき基準」の維持、質の確保を求める意見書が採択されています。
 『日本の学童ほいく』2019年5月号の「協議会だより」で紹介した以降も、岩手県盛岡市、陸前高田市、埼玉県上里町、静岡県焼津市で意見書採択の知らせが届いています(2019年4月23日現在)。
 ぜひ多くの地域で、地方議会から「従うべき基準」を守るための意見書を提出してもらうための働きかけ・取り組みを進めましょう。また、各市町村の条例の水準を現行のものから下げないためには、議会で決議をあげる取り組みも有効です。

全国児童福祉主管課長会議が開催されました

 2019年3月1日に開催された全国児童福祉主管課長会議の資料から、特徴的な内容を紹介します(資料は厚生労働省のホームページに掲載されています)。
◆ この間のいくつかの不祥事を受けて、「放課後児童支援員等の採用にあたっての留意事項について」が示されています。
◆ 2019年度(平成31年度)予算の概要は『日本の学童ほいく』82ページ以降に掲載します。
◆ 新規事業の「放課後居場所緊急対策事業」「小規模多機能・放課後児童支援事業」「放課後児童クラブ巡回アドバイザーの配置」「放課後児童クラブの人材確保支援」について新しい資料が出されました。
◆「放課後児童支援員等処遇改善等事業」「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」の実施状況について資料が出されています。平成30年度(2018年度)、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」は310市町村で実施、「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」は332市町村で実施されました。

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2019年5月号

学童保育の「従うべき基準」の参酌化を含む地方分権法案、閣議決定

 2019年3月8日、学童保育の国の基準である厚生労働省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(以下「設備運営基準」)の「従うべき基準」の参酌化を含む、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第9次地方分権一括法案)」(以下、法案)が閣議決定されました。
これは、児童福祉法をはじめとする13の法律を一括改定する法案で、現在、開会されている第198回通常国会で議論される見通しのものです。このなかで、学童保育に関わる「児童福祉法の一部改正」については、つぎの内容が提案されています。
「第9条 児童福祉法(昭和22年法律第164号)の一部を次のように改正する。
 第34条の8の2第2項中『放課後児童健全育成事業に従事する者及びその員数については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、その他の事項については』を削る」
 この法案が可決されると、現行の「設備運営基準」第34条の8の2はつぎのようになります。
「市町村が前項の条例を定めるに当たつては、厚生労働省令で定める基準を参酌するものとする」
なお、法案では以下の「附則」も提案されています。
「(施行期日)第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
3 第2条、第4条、第9条及び第12条の規定並びに附則第5条及び第6条(第1号に掲げる改正規定を除く。)の規定 平成32年4月1日
(放課後児童健全育成事業に関する検討)第5条 政府は、附則第1条第3号に掲げる規定の施行後3年を目途として、第9条の規定による改正後の児童福祉法の規定の施行の状況について児童福祉法第6条の3第2項に規定する放課後児童健全育成事業の適切な実施並びに当該放課後児童健全育成事業の内容及び水準の向上を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」
     *     *     *
 全国学童保育連絡協議会(以下、全国通協)は、子どもの命と安全を守り、安心できる「生活の場」を保障するという観点から、学童保育の質の低下、市町村格差の拡大を防ぐために、「従うべき基準」の堅持を強く求めています。
 法案が可決された場合の法律の施行日と、市町村議会が条例改定を行う場合の時期について、全国連協事務局が厚生労働省担当課に確認したところ、市町村議会では、「施行日である2020年4月1日を過ぎてから改定の議論をはじめる」あるいは2019年度中の議会で議論し、施行日を待って改定する」ことが考えられるとの説明がありました。厚生労働省としては、「設置運営基準」と異なる内容で条例を策定した自治体があれば、何らかの調査をしたいと考えているそうです。
 なお、参酌化にともなって国の学童保育への補助基準額の変更があり得るか質問すると、「自治体が、どのように条例を改正するか等、現時点では不明なため補助基準額をどのようにしていくかは今後検討する。また、補助基準額については、例年と同様に交付要綱でお示しすることになると思われる」との説明がありました。
また、全国連協事務局が、附則に定められた「施行後3年を目途」とする「検討」の結果について「国会での報告を課すようにしてほしい」との要望を伝えたところ、「法案の附則においては、法案の施行後3年を目途として、放課後児童健全育成事業の適切な実施並びに当該放課後児童健全育成事業の内容及び水準の向上を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされており、検討結菓については、国民一般の方々にその結果が分かるよう公表することとしたい」とのことでした。
法案は、衆議院では「地方創生に関する特別委員会」で審査された後、本会議の審議にかけられ、参議院では「内閣委員会」で審査された後、本会議での審議に進みます。
法が改定されて「従うべき基準」が参酌化されたとしても、市町村は現行の条例を、かならずしも改定しなければならないわけではありません。また、現行の条例の内容を変更する際には、住民・利用者への説明、子ども・子育て会議での議論、市町村議会での議決が必要です。
 全国連協は、「児童福祉法の改定に際しては国会で十分な審議を行うこと」「児童福祉法が改定され、条例について地方議会で議論される際にも、質の確保を担保すること」をひきつづき訴えていきます。

100万人の声を届けよう! 国会請願署名の取り組み

 2019年3月31日現在、地域の学童保育連絡協議会と共に全国連協が取り組んでいる、「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」を求める請願署名は20万6000筆、「学童保育を拡充し、子育て支援の充実」を求める請願署名は10万6000筆が集まりました。
 超党派の議員連盟である「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」会長の馳浩・衆議院議員、幹事長の泉健太・衆議院議員、「自由民主党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会」副代表の河井克行・衆議院議員、事務局次長の笹川博義・衆議院議員をはじめとして、紹介議員のお願いを進めています。請願の受理は、衆参のホームページで確認することができます。
 国会で受理された後、「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」は内閣委員会、「学童保育を拡充し、子育て支援の充実」は厚生労働委員会に付託されました。
 地域の連絡協議会と全国連協から、衆参の厚生労働委員会、内閣委員会、衆議院の地方創生に関する特別委員会に所属する皆さんに紹介議員をお願いし、国会で十分な審議がされるよう要望していきます。

地方議会からの意見書採択の取り組み

 地方公共団体の議会は、地方自治法第99条にもとづき、国会または関係行政庁に意見書を提出することができます(本誌2019年2月号、3月号参照)。この間、複数の自治体で「従うべき基準」の維持、質の確保を求める意見書が採択されています。
 本誌2019年4月号の「協議会だより」(82ページ)でお伝えして以降、あらたに、宮城県、神奈川県、三重県、長崎県、鹿児島県、岩手県久慈市、雫石町、矢巾町、西和賀町、埼玉県熊谷市、秩父市、加須市、本庄市、和光市、富士見市、寄居町、神奈川県逗子市、奈良県奈良市、橿原市、大阪府堺市、吹田市、寝屋川市、熊取町、福岡県遠賀町、大分県日田市で意見書が採択されました(2019年4月2日現在)。
 ぜひともさらに多くの地域で、地方議会から「従うべき基準」を守るための意見書を提出してもらうための働きかけ・取り組みを進めましょう。

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2019年4月号

「100万人のこえを届けよう!」国会請願署名の取り組み

 2015年4月施行の「子ども・子育て支援新制度」(以下、新制度)にあわせて、厚生労働省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(以下「省令基準」)および「放課後児童クラブ運営指針」が策定されました。「省令基準」では、職員の資格(「放課後児童支援員」)と職員の配置基準の二点が、市町村(特別区を含む)が条例を定める際の「従うべき基準」として定められました。しかし、その後も、自治体や学童保育現場によって学童保育の実施状況はさまざまで、大きな格差があるのが現状です。
 ところが新制度施行からわずか4年で、人手不足の解消策を基準の緩和に求めようとする一部の地方自治体、地方三団体からの提案にもとづき、「放課後児童支援員」の資格と配置基準を、「参酌すべき基準」(参考にする基準)へと変更することが、2018年12月25日に閣議決定されました。
 職員の資格と配置が「従うべき基準」であることは、児童福祉法によって定められていますので、「参酌すべき基準」に変更するには国会で審議し、児童福祉法を改定する必要があります。今後は、第198回通常国会(2019年1月28日から開催)に地方分権一括法案が提出され、議論される見込みです。
 「放課後児童支援員」を原則2名以上配置することは、全国どの地域であっても子どもの生活を保障するために欠かせないものです。「参酌すべき基準」という位置づけに引き下げられてしまえば、自治体の考え方次第で、子どもと生活を共にするうえで必要な専門的な知識や技能を備えた「放課後児童支援員」をまったく配置しないことも起こり得ます。ともすれば、資格のない大人がたった一人で子どもたちを保育することも起こり得ます。これでは、安全に安心して過ごすことのできる「毎日の生活の場」を子どもに保障することはできません。
全国学童保育速絡協議会(以下、全国連協)は現在、第198回通常国会への提出を見据えて、「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」「学童保育を拡充し、子育て支援・の充実」の二つの請願署名に取り組んでいます。
 2019年2月末現在、「学童保育の『従うべき基準』を堅持することが実現できる財政措置」は11万7000筆、「学童保育を拡充し、子育て支援の充実」は5万5000筆が全国連協事務所に届けられています。地域の連絡協議会と全国連協は、超党派の議員連盟「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」会長の馳浩・衆議院議員に署名を届けることを皮切りに、国会議員を訪問し、紹介議員の依頼を行います。

地方議会らの意見書採択の取り組み

 地方公共団体の議会は、地方自治法第99条にもとづき、国会または関係行政庁に意見書を提出することができます(本誌2019年3月号の80頁参照)。この間、複数の自治体で「従うべき基準」の維持を求める意見書が採択されています。
 あらたに、奈良県大和郡山市議会で、「放課後児童クラブの職員配置等の堅持及び放課後児童支援員等の処遇改善を求める意見書」が、大阪市議会で「放課後児童健全育成事業の質の確保を求める意見書」が、東京都東村山市議会で「放課後児童支援員の資格と配置基準の堅持を求める意見書」が、採択されました(2019年2月25日現在)。
 ぜひ各地で、「従うべき基準」を守るための意見書を提出してもらうための働きかけ・取り組みを進めましょう。

2019年度政府予算案の概要が発表されました

 子ども・子育て支援法によって定められた「地域子ども・子育て支援事業」の一つに学童保育が位置づけられたことにともない、2015年度から、国の学童保育の補助金は内閣府所管の「子ども・子育て支援交付金」「子ども・子育て支援整備交付金」として、市町村に交付されています(指導員の認定資格研修や資質向上のための研修費などの補助金は厚生労働省から交付)。
 2019年度の政府予算案の概要が発表されました。政府予算案は、8月下旬頃までに各省が示した概算要求を、年末までに財務省が査定して決められます。その後、翌年の通常国会で審議が行われて、正式な国の予算が決定されます。
・放課後児童クラブに関わる内閣府の政府予算案……887.8億円(前年度予算は799.7億円、2019年度概算要求は779.6億円+事項要求)
・放課後に関わる厚生労働省の政府予算案……19.6億円(前年度は予算化されておらず、2019年度概算要求は47.5億円の内数)
◆「新・放課後子ども総合プラン」にもとづき、2023年度末までに約30万人分の新たな受け皿の確保に向け、施設整備費の補助率嵩上げを継続し、放課後児童クラブの受入児童数の拡大を図る(内閣府予算に計上)。
◆放課後児童対策の推進を図るため、児童館、公民館等の既存の社会資源の活用や、小規模・多機能による放課後の子どもの居場所の確保を促進する。
◆放課後児童クラブの育成支援の内容の質の向上や安全確保を図るため、先進事例の普及や放課後児童クラブを巡回するアドバイザーを市区町村等に配置する事業等を実施する。
 また、2018年度の二次補正予算案にて、放課後児童クラブ等におけるICT化の推進について3.5億円が計上されることになっています。2019年3月1日に全国児童福祉主管課長会議が開催されますので、次号の「協議会だより」で報告します。

「明日の学童保育を考えるシンポジウム」を開催しました

 2019年2月23日、全国連協は、学童保育の「従うべき基準」を守るための取り組みの一つとして、「明日の学童保育を考えるシンポジウム」を開催しました(会場・東京都文京区・文京区民センター)。あらためて「従うべき基準」を参酌化することの閻題点を明らかにし、学童保育のあるべき姿を広く世論に訴えることを目的として開催したものです。
 参加者は100名。保護者・指導員・研究者それぞれの立場のシンポジストから、「従うべき基準」を参酌化することへの不安や懸念、問題点についての発言があり、会場からは、地域での「従うべき基準」の参酌化に反対する取り組みなどについて発言がつづきました。
 シンポジウムの模様は、本誌2019年5月号で報告する予定です。

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