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厚生労働省は、学童保育を2万か所に増やしていく方針です。しかし、政府が推進しようとしている「放課後子どもプラン」では、「放課後子ども教室」と「一体的あるいは連携」していくことが示されていますので、今後、都道府県や市町村がどのように2つの事業を展開していくのかが問われています。
学童保育には、「毎日の継続した生活の場」を必要とするすべての子どもたちに、安全で安心して生活できるように保障することが求められます。全国学童保育連絡協議会が刊行した『学童保育と「放課後子どもプラン」』を活用して、すべての地域・学童保育・父母会等で、学童保育の拡充を求める取り組みを強めていきましょう。
*学習資料『学童保育と「放課後子どもプラン」』(B5判56頁、頒価300円)。
各地の学童保育連絡協議会および全国学童保育連絡協議会で取り扱っています。
10月28日、29日の2日間、愛知県で第41回全国学童保育研究集会が開催されました。44都道府県から約4400余名の保護者・指導員などが参加し、働きながらの子育てや学童保育について学習・交流しました。
開催地・愛知では、県内の48市町村から後援をいただくことができました。また県内からの参加者は約2100名あまりとなり、愛知の学童保育の発展にとっても大きな意義のある全国研究集会となりました。
*集会のくわしい内容は、『日本の学童ほいく』2007年2月号で特集します。
10月27日、名古屋市内で全国学童保育連絡協議会の2006年度総会を開催しました。総会では、2005年度の活動報告、決算報告、会計監査報告が承認され、2006年度の活動方針、予算が討議の後、決定されました。活動方針では、次の点を今年度の重点課題として取り組むことが確認されました。
@「放課後子どもプラン」については、学童保育の固有の役割を明らかにしながら、学童保育が量・質ともに抜本的に拡充するように取り組みを強化します。また、学童保育の内容の後退や廃止につながる、「全児童対策事業」や放課後子ども教室推進事業との「一体化」には反対していきます。
A 学童保育の大規模化の進行と待機児童の増大に歯止めをかけ、飛躍的な新設・増設を実現させるために、適正規模の学童保育を「必要な小学校区には複数設置」を求めて取り組みを強化していきます。そのためにも、公的責任による施策の改善・拡充と、「私たちが求める学童保育の設置・運営基準」をもとにした、国と地方自治体が学童保育の設置・運営基準をつくるよう強く働きかけていきます。
B 指導員にかかわる課題は、学童保育の「質的な拡充」に直結する問題です。指導員の複数・専任・常勤体制の確立、労働条件の抜本的な改善をすすめます。同時に、新しい指導員が急増していることをふまえ、指導員の資質と保育内容の向上のために、全国指導員学校や学童保育講座、その他の自主的な研修をいっそう拡充していきます。また、指導員会などの組織の育成、強化に取り組みます。とりわけ、急増している指導員の組織化を重視します。
C 学童保育の発展の原動力であり、働きながらの子育ての拠り所となる父母会(保護者会)の活性化と父母会(保護者会)づくりに、役員の育成や指導員との連携強化を含めて、計画的・重点的に取り組みます。あわせて、市区町村と都道府県の学童保育連絡協議会の今日的な必要性や役割の重要性を明らかにし、組織づくりと組織強化に積極的に取り組みます。また、この課題と結びつけて、学童保育の発展の要である機関誌『日本の学童ほいく』の「保護者・指導員の全員購読」に取り組み、昨年度以上の購読者数増をめざします。
総会では、第42回全国学童保育研究集会を東京都内で開催することを決定しました。東京都連協(23区)と東京・三多摩連協(市町村)を代表して三多摩連協の古谷健太事務局長が、「東京の学童保育の発展と結びつけて、1年間かけて準備し、たくさんの方を温かく迎えたい」と決意を述べました。
〈2006年度の全国事務局役員〉
会長 山本博美(埼玉・指導員)
副会長 池谷潤(神奈川・保護者)/江尻彰(東京・保護者)/片山恵子(埼玉・指導員) /賀屋哲男(愛知・保護者)/木越保聡(三多摩・保護者)/河野伸枝(埼玉・指導員) /坂口正軌(兵庫・保護者)/佐藤益雄(千葉・保護者)/下浦忠治(東京・指導員)/鈴木美加(千葉・指導員)/前田美子(大阪専従)/松井信也(京都専従)/渡辺喜久代(神奈川・指導員)
事務局長 木田保男(三多摩・保護者)
事務局次長 真田祐(全国連協職員)/志村伸之(全国連協職員)
9月20日、文部科学省と厚生労働省は合同で、都道府県・政令市・中核市の放課後子どもプラン推進の担当部局となる教育委員会と福祉部局の担当課長を集めて説明会を開きました。
厚生労働省は、学童保育を2万か所に増やすこと、補助金の基本開設日数の見直しや大規模の分離の促進などによる拡充を図っていきたいなどと説明しました。(詳しくは『日本の学童ほいく』78ページをご覧ください)
なお、「放課後子どもプラン」について報道した8月29日の読売新聞夕刊および30日の毎日新聞朝刊の記事(公立小学校内で児童の預かりを実施、学童保育は午後5時以降実施などという内容)は、文部科学省や厚生労働省の正式発表ではなく、新聞社の独自取材に基づく記事であり、基本的な点で両省の発表した「放課後子どもプラン」とは大きく違っています。
8月末、厚生労働省育成環境課は2006年5月現在の学童保育(放課後児童クラブ)の調査結果を発表しました。その概略を紹介します。
◆放課後児童クラブ数1万5857か所(前年比673か所)(注)全国学童保育連絡協議会調査では1万5858か所
◆入所児童数70万4982人(前年比5万159人増)(注)全国学童保育連絡協議会調査では68万5678人
◆障害児受入数5870か所に1万2656人(前年比783か所増、1677人増)
◆利用できなかった児童数1万2189人(前年比829人)
終了時刻について、今年度から30分刻みで調査しており、終了時刻が午後6時31分以降が17.2%となっています。
全国学童保育連絡協議会の調査でも、入所児童数が急増しているものの学童保育の整備が追いつかず、大規模化が急速に進んでいる実態が明らかになっていますが、厚生労働省の調査でも同様の結果が出ています。来年度から分割促進の対象となる児童数71人以上の学童保育は2170か所もあります。この大規模学童保育が分割されれば、それだけで新たに2000か所以上の学童保育が増えることになります。
一日も早くすべての学童保育が適正規模(私たちの提言では40人が限度)となるよう、行政に分割・増設を働きかけていくことが必要です。
今年も第31回全国学童保育指導員学校を6会場に分かれて開催することができました。受講した指導員等は、合計で3972人となりました。
新しい指導員が急増しているなかで、全国学童保育指導員学校の開催地のさらなる拡大、内容の充実などが期待されています。
それぞれの開催地で準備していただいた保護者・指導員の皆さん、ありがとうございました。
第31回全国学童保育指導員学校の開催状況
会場 | 開催日 | 開催地 | 受講者数 |
西日本会場 | 6月4日(日) | 奈良・奈良市 | 20府県959人 |
南関東会場 | 6月4日(日) | 千葉・千葉市 | 9都県719人 |
北関東会場 | 6月11日(日) | 埼玉・越谷市 | 13都県847人 |
四国会場 | 6月25日(日) | 香川・高松市 | 7県359人 |
九州会場 | 9月17日(日) | 福岡・古賀市 | 11県702人 |
東北会場 | 9月18日(祝) | 宮城・仙台市 | 6県386人 |
合計 | 46都道府県3972人 |
8月29日、厚生労働省と文部科学省の来年度の概算要求が発表されました。学童保育と「放課後子どもプラン」に関わる概算要求とプランの概要を紹介します。なお、概算要求とは各省庁が財務省に対して予算要求したものです。12月末に決まる政府案では大幅に削られてしまうこともあり、そのまま認められるかどうかはわからないものです。(政府案が国会で可決されると、正式な政府予算となります)
●「放課後子どもプラン」――「二つの事業を全小学校区で実施」を基本に
「放課後子どもプラン」は、5月9日に内閣府少子化対策特命大臣と文部科学大臣、厚生労働大臣が創設することを合意し、概算要求までに具体化を図るとされていました。
「放課後子どもプラン」は、文部科学省の新しい事業「放課後子ども教室推進事業」と、厚生労働省の放課後児童クラブ(学童保育)の二つの事業を、2万か所の小学校区すべてに「一体的あるいは連携して」実施するというものです。その概要は、文部科学省と厚生労働省で合同で作成した「参考資料」(82、83ページ参照)のとおりです。(→PDF1 →PDF2)
「放課後子どもプラン」創設のために、文部科学省は新規に「放課後子ども教室推進事業」として137億円を、厚生労働省は放課後児童クラブ(学童保育)を2万か所に増やすために 189億円の予算を要求しました。
●学童保育関係の概算要求は大幅増額の189億円
厚生労働省の放課後児童クラブ(学童保育)関係予算は、81ページの通りです(→PDF3)。2万か所に増やすこと、開設日数を弾力的にすると同時に開設日数が多い学童保育に運営費を増額すること、3年後には71人以上の大規模補助を廃止して、分離・増設を推進することなどが盛り込まれています。
施設整備費も、放課後児童クラブ(学童保育)の増設に使えるように新しく組み替えて、新規予算も加えた予算となっています。
その結果、今年度に比べて総額で約70億円増額されました。
文部科学省も厚生労働省も9月下旬に、「放課後子どもプラン」についての自治体への説明会を開くことを予定しており、それまでに「さらに具体的な内容を詰める」としています。
地方自治体や地方議会などがつくっている地方六団体は、来年度の予算や施策について国に要望をあげています。これまでに出された学童保育に関わる要望を紹介します。
◆全国知事会 (5月16日提出)
次世代育成支援対策に関する提言
(2) すべての親子を対象とした子育て支援サービスの充実を図る。
ア 多様な保育サービスや放課後児童クラブ、つどいの広場や地域子育て支援センターなど、子育て支援サービスの充実を図るための予算を大幅に増やすこと。
イ 放課後児童クラブの運営の基準づくりなど、子育て支援サービスの質の向上のための施策を行うこと。
ウ 保育所と幼稚園、放課後児童クラブとすべての小学生を対象とした地域子ども教室など、福祉施策と教育施策とで対象者が重なっており、地域の実情に応じて総合的な施策の展開が図れるよう見直しを行うこと。また、子育て支援の施設と高齢者や障害者の施設の複合化を推進すること。
◆全国市長会 (六月七日提出)
福祉施策等に関する重点要望
2. 少子化対策について
(3) 放課後児童健全育成事業について十分な財政措置を講じること。
少子化対策に関する要望
5. 放課後児童健全育成事業について十分な財政措置を講じるとともに、 小規模な放課後児童クラブ、 指導員の配置及び安全対策、 障害児の受入れ等について、 地域の実情に即したきめ細やかな基準を設定するなど、 適正な運営を確保するための措置を講じること。
政府の今後の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(通称、「骨太方針」)が、7月7日に閣議決定されました。人口減少社会の到来、合計特殊出生率1.25という深刻な事態を迎えているなかで、「3 総合的な少子化対策の推進」を掲げています。
内容は、6月20日に決定した「新しい少子化対策について」に基づき、「少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図ることが必要」として、次のことが盛り込まれています。
(1)次の考え方を踏まえ、「子ども・子育て応援プラン」の着実な推進にあわせ、妊娠・出産から高校・大学生時まで子どもの成長に応じた総合的な子育て支援策と働き方の改革を推進する。
@子育て家庭を、国、地方公共団体、企業、地域等、社会全体で支援する。
Aすべての子育て家庭を支援し、在宅育児や放課後対策も含め地域の子育て支援を充実する。
B仕事と子育ての両立支援の推進や男性を含めた働き方の見直しを図る。
C出産前後や乳幼児期において、経済的負担の軽減を含め総合的な対策を講ず
D子どもの安全確保や出産・子育て期の医療ニーズに対応する体制の強化、特別な支援を要する子ども及びその家族への支援を拡充する。
また、「4 生活におけるリスクへの対処」の項目では、「子どもを取り巻く環境の安全を確保し、また子どもを非行から守るため、『犯罪から子どもを守るための対策』や『子ども安全・安心加速化プラン』に基づき、学校や登下校時の安全の確保、通学路等の整備、犯罪を起こしにくい環境の整備、再犯の防止対策等を進めるとともに、官民連携による地域防犯活動や子どもの健全な育成に向けた取組を促進する」としています。
「子ども安全・安心加速化プラン」は、6月20日に犯罪対策閣僚会議・青少年育成推進本部合同会議で了承されたものです。「T
地域の力で子どもを非行や犯罪被害から守る」のなかで、放課後対策について次のように書いています。
「(3)放課後対策の推進 子どもたちが放課後等に安全で健やかに過ごせる活動拠点(居場所)を地域の中に確保し、総合的な放課後対策として実施する『放課後子どもプラン』(仮称)を創設する」【文部科学省・厚生労働省】
子どもの安全対策が大きな課題となっています。 子どもの安全を守れる場所としての学童保育への期待も広がっていますが、 学童保育自体の安全対策・危機管理も大きな課題です。
全国学童保育連絡協議会では、 それぞれの地域の学童保育や連絡協議会、 自治体が指針やマニュアルをつくる時の参考にしていただけるよう、 考え方をまとめた手引きを作成しました。 これから指針を作ったり、 これまでのものを見直したりする際にご活用ください。 (A4判六ページ)
*必要な方は、 全国連協またはお近くの学童保育連絡協議会にお問い合わせください。 また、 会のホームページにも掲載しています。 「手引き」はこちら(PDFファイル)
全国学童保育連絡協議会が毎年行っている学童保育数の調査結果がまとまりました。今回の調査から、入所児童数と規模別の学童保育数も調査しました。結果は以下の通りです。
●学童保育がある市区町村 1617自治体 (全自治体の87.7%)
昨年は2033でしたが、 市町村合併により、 大幅に減りました。
●学童保育数 15858か所 (昨年と比べて549か所増)
法制化以後、学童保育数は急増していましたが、昨年から増え方が緩(ゆる)やかになっています(表1)。これは、市町村が立てた「地域行動計画」の設置目標数が「5年間で約2400か所増」に止まっていることが大きく影響したと考えられます。児童数の急増に対しても増設せずに大規模化で対処している市町村が多いことが明らかになりました。
運営主体は表2の通りです。公営と父母会運営が減る傾向にあり、私立保育園やNPO法人などの法人等の運営が増えています。今回初めて、指定管理者制度の導入状況を調べました。全体で1125か所の学童保育に導入されています。
開設場所は表3の通りです。余裕教室が増える傾向は昨年と変わっていません。小学校数と比較した「設置率」は全体で67.7%でした。しかし、1小学校区複数設置のところもありますから、学童保育のない小学校区はもっとたくさんあると言えます。東京都は102.5%となり、初めて小学校数を超えました。
●入所児童数 68万3476人
これまでの5年ごとの詳細な調査では、回収率は9割弱でした。今回は初めてすべての市町村、学童保育の入所児童数を把握しました。2003年の実態調査と比べて約15万人増となっています。
●規模別の学童保育数 (表4)
1998年調査、2003年調査と比べても、大規模学童保育が激増していることがわかります。71人以上の学童保育が2057か所にもなり、そのうちの434か所は100人を越えています。
71人以上の学童保育の割合はか所数比では12.2%ですが、児童数比では、71人以上の学童保育で生活している児童は4分の1に及びます。これは、全国学童保育連絡協議会やこども未来財団の調査研究などが適正規模としている35人以下の学童保育で生活している児童の合計よりも多いとみられます。大規模化の解消は、ますます緊急の課題となっています。
■表1 学童保育数と入所児童数の推移
年 | 学童保育数 | 増加 | 入所児童数 | 備考 |
1993 | 7,516 | 231,500 | ||
1998 | 9,627 | 333,100 | 1997年児童福祉法改正、1998年施行 1993年からの5年間で学童保育数は2100か所増加、入所児童数は10万人増加 |
|
1999 | 10,231 | 604 | ||
2000 | 10,976 | 745 | ||
2001 | 11,830 | 854 | ||
2002 | 12,825 | 995 | ||
2003 | 13,797 | 972 | 538,100 | 1998年からの5年間で学童保育数は4200か所増加、入所児童数は20万人増加 |
2004 | 14,678 | 881 | ||
2005 | 15,309 | 631 | ||
2006 | 15,858 | 549 | 683,476 | 2003年からの3年間で学童保育数は2000か所増加、入所児童数は15万人増加 |
(注1)詳細な実態調査は、5年ごとに実施。入所児童数の全数調査は、今回初めて実施。
(注2)今回の調査では、学童保育を廃止した川崎市の「わくわくプラザ」(114か所)、品川区の「すまいるスクール」(40か所)は集計から除外しています。
(注3)厚生労働省の2005年5月現在の調査では、入所児童数は654,823人となっています。この数には、川崎市や品川区などの「全児童対策事業」の登録数が含まれていますが、私たちの調査では除外してあります。
■表2 運営主体
運営主体 | 2003年 | 2006年 | ||
か所数 | 割合 | か所数 | 割合 | |
公立公営 | 6,549 | 47.5% | 7174 | 45.2% |
公社や 社会福祉協議会 |
1,821 | 13.2% | 2057 | 13.0% |
地域運営委員会 | 2,094 | 15.2% | 2516 | 15.9% |
父母会 | 1,637 | 11.9% | 1378 | 8.7% |
法人等 | 1,498 | 10.9% | 2501 | 15.8% |
その他 | 198 | 1.4% | 232 | 1.4% |
合計 | 13,797 | 100.0% | 15,858 | 100.0% |
■表3 開設場所
開設場所 | 2003年 | 2006年 | ||
か所数 | 割合 | か所数 | 割合 | |
学校施設内 | 6,137 | 44.5% | 7,392 | 46.6% |
児童館内 | 2,442 | 17.7% | 2,611 | 16.4% |
その他の 公的施設 |
2,485 | 18.0% | 2,833 | 17.9% |
法人等の施設 | 881 | 6.4% | 1,132 | 7.1% |
民家・アパート | 1,187 | 8.6% | 1,256 | 8.0% |
その他 | 665 | 4.8% | 634 | 4.0% |
合計 | 13,797 | 100.0% | 15,858 | 100.0% |
■表4 児童数別の学童保育数
児童数 | 1998年調査 | 2003年調査 | 2006年調査 |
9人未満 | 257(3.3%) | 473(4.2%) | 585(3.7%) |
10人-19人 | 977(12.7%) | 1,338(11.9%) | 1,882(11.9%) |
20人-35人 | 3,176(41.1%) | 3,646(32.3%) | 4,265(26.9%) |
36人-70人 | 3,077(39.8%) | 4,870(43.2%) | 7,069(44.6%) |
71人-99人 | 210(2.7%) | 818(7.2%) | 1,623(10.2%) |
100人以上 | 29(0.4%) | 133(1.2%) | 434(2.7%) |
※1998年、2003年の調査の数字は概数
5月9日、猪口少子化対策特命大臣、川崎厚生労働大臣、小坂文部科学大臣がそれぞれ記者会見を行い、「放課後子どもプラン」(仮称)の創設を三大臣で合意したことを発表しました。(その際のプレス発表資料は資料1参照)。
いきさつは、猪口大臣から川崎大臣と小坂大臣に、少子化対策と総合的な放課後対策のために、放課後児童クラブと地域子ども教室推進事業との「一体的あるいは連携して」実施する「放課後子どもプラン」を創設する提案があり、両大臣が合意したということでした。文字通り、トップダウンですすめるというものです。
このプランが合意に至った背景には、「学童保育のニーズの急増と待機児童対策に対応した早急な整備」「緊急な子どもの安全対策」「学童保育と学校との連携の強化などでの学校を活用した放課後対策の必要性」で一致したことがあります。
しかし、この三大臣の合意では、両方の事業は「連携」だけでなく、「一体的」
も含めて市町村でプランを検討を行うとなっています。枠組みを決めただけとはいえ、教育委員会主導で学校施設を活用して、両事業の「一体的または連携」という枠組みでは、学童保育と地域子ども教室推進事業の一体化(学童保育の事実上の廃止)にすすむ市町村も出てくる可能性があり、強く危惧されます。
具体的な内容は、八月末の概算要求(各省が財務省に要望するもの)締切までに事務方でまとめることとされていますが、教育委員会主導により学校施設の活用をはかるという枠組みだけを決めて連携の方策、予算措置、推進体制については文部科学省と厚生労働省で折衝することとなっています。
私たちは、「地域子ども教室推進事業と学童保育は目的・役割、内容・体制もまったく異なる事業である」「それぞれに必要な事業なので、その目的に沿って拡充を図りながら連携していくことが必要である」と、厚生労働省・文部科学省に要望してきました。
8月末までに、厚生労働省と文部科学省に、学童保育の拡充をすすめる内容にするよう要望をしていくと同時に、それぞれの地域でも、行政や議会から「両事業の一体化ではなくそれぞの事業の拡充と連携」を求める声を国に届ける取り組みをすすめましょう。
■■〈資料1〉5月9日、 三大臣の記者会見資料■■
文部科学省と厚生労働省の放課後対策事業の連携
「放課後子どもプラン」(仮称)の創設
事業連携の基本的な方向性
○各市町村において、教育委員会が主導して、福祉部局との連携の下に、「地域子ども教室推進事業」(文部科学省)と「放課後児童健全育成事業」(厚生労働省)を一体的あるいは連携して実施する「放課後子どもプラン」(仮称)を創設する。
○教育委員会が主導することにより、学校が従来より積極的に関わることが期待される。
○各市町村では、校長又は教頭がメンバーとして参画する同プランの事業運営組織を設ける。
○同プランはできる限り、小学校内で実施することとする。
当面、児童館や公民館等、小学校以外で実施する場合も認めるが、将来的には小学校内での実施に努めることとする。
○同プランは、福祉部局職員、教職を目指す大学生、退職教員、地域のボランティア等を活用することとする。また、これらの者と学校の教職員間での情報交換等、十分な連携に配慮するものとする。
今後の進め方
○具体的な連携方策、予算措置、推進体制等については、平成19年度概算要求時までに両省間において検討する。
5月18日、全国学童保育連絡協議会は、政府の来年度予算編成の作業に学童保育予算の大幅増額と施策拡充を盛り込んでほしいと、厚生労働省や関係省庁、地方六団体、政党・国会議員に要請を行いました。(次号でくわしく紹介します)
要請行動では、厚生労働省などへの学童保育の拡充に関する基本的な要望に加え、5月9日に発表された「放課後子どもプラン」(仮称)の創設に関する要望も行いました。その内容は、以下の「要望のポイント」のとおりです。
■■5月18日に厚生労働省等へ出した要望のポイント〈その1〉■■
働く親を持つ子どもたちには、家庭に代わって毎日、継続して生活する施設である学童保育が必要です
「放課後子どもプラン」の作成にあたっては、それぞれの施設・事業の目的にそった拡充と連携を基本にすることが必要です
厚生労働省が所管している「学童保育(放課後児童クラブ)」と、文部科学省が推進している「地域子ども教室推進事業」は、役割・目的も事業内容(施設・設備、職員配置、職員の子どもへの対応など)も大きく異なります。
●学童保育(放課後児童クラブ)は、働く親を持つ子どもたちが家庭の代わりとして毎日生活する施設です(年間約1600時間を学童保育で過ごしています)。学童保育には、次の3点が不可欠です(基本要件)。
@ 家庭に代わる「生活の場」として毎日継続して利用する子どもたちがいる。
*保育園の年長クラスでは30人、幼稚園は35人、小学校は40人学級というように学童保育にも定員や適正規模が必要です。
A 子どもたちが毎日過ごす専用施設(専用室)・専用設備がある。
*生活する部屋・遊べる部屋・台所・静養できる設備などが必要です。
B 子どもたちに継続的、安定的に毎日の生活を保障する専任指導員がいる。
*保護者に代わって責任をもって子どもたちの保育を行う職員が必要です。
*保護者との綿密な連絡・連携をもとに子ども一人ひとりに即した援助が必要です。
●「地域子ども教室推進事業」「すべての児童のための遊び場提供事業」は、余裕教室等を使い、遊びたい・活動したい子どもたちが、自分の意志で自由に利用する、安全に遊べる場所や遊びを提供する事業です。
「地域子ども教室推進事業」と「学童保育」の「一体化」では、学童保育の役割・目的が果たせません
この二つの施設・事業の「連携」は必要ですが、「一体化」されれば、それぞれの目的が果たせません。児童館などの「すべての児童のための遊び場提供」では、働く親を持つ小学生に「毎日の継続した生活の保障」はできないということから、国は1997年に児童福祉法を改正して独自の制度として学童保育を法制化しました。
この法制化の趣旨をふまえて、国と地方自治体は、「働く親を持つ子どもたちには、学童保育を整備し、拡充していく」という方針を明確にすることが求められます。
内閣府少子化社会対策推進会議の専門委員会(猪口大臣主宰)は、5月15日、報告書「今後の少子化対策について」をまとめました。
この中では、厚生労働省・文部科学省の連携による放課後児童対策の推進、「放課後ルーム」(仮称)の設置が示されていました。同時に、学童保育(放課後児童クラブ)については、「すべての小学校での設置」「定員の拡大」「小学校内への設置促進」「担当者の処遇改善」「安全基準の明確化」などが課題とされていました。
ところが、その報告書発表直後の5月18日に開かれた経済財政諮問会議で、猪口大臣が出した資料には「放課後ルームの設置促進」のみが明記され、「放課後児童クラブの設置促進」がありませんでした。
これに対して全国連絡協議会は、5月22日に次の要望内容で猪口大臣に「緊急要望書」を出しました。
1 今後の少子化対策・子育て支援策には、「学童保育(放課後児童クラブ)の拡充」を方針として明記してください。
2 「放課後子どもプラン構想」の具体化にあたっては、地域子ども教室推進事業と学童保育(放課後児童クラブ)の「一体化」ではなく、それぞれの事業が、その目的・役割にそって拡充され、連携が図られる内容にしてください。
なお、5月15日の専門委員会報告書では今後の対策は下記のようにまとめられていました。
■■内閣府少子化社会対策推進専門委員会報告書■■
(放課後対策や子どもの安心・安全に関する課題)
近年、共働き世帯が増加していることから、放課後児童クラブに対するニーズが高まっているが、量的には不足しており、利用待機者が増加している状況にある。
そのため、小学校就学前までは子育てと仕事の両立ができていた親が、子どもが小学校にあがってから、子どもの放課後の世話のために就労継続しにくくなって離職せざるを得ないという声も聞かれる。開所時間の延長や職員の処遇改善等の要望がある。また、小学校内に設置されているクラブは全体の約四割にとどまっている。
一方、全児童等を対象にした放課後や週末における子どもの居場所づくりを支援する地域子ども教室推進事業が実施されているが、今後、放課後の子どもの安全確保の観点も含めて、子どもの成長にとって放課後時間をいかに有効に活用するか検討が必要である。
(放課後児童クラブの設置促進と子どもの居場所づくりの推進、放課後ルーム(仮称)の検討)
現状では、全小学校の三分の二程度のところに放課後児童クラブが設置されているが、そのニーズがある全ての小学校での設置や、希望者が多いところの定員の拡大等について、今後より一層努めなければならない。また、小学校内への設置促進や、担当者の処遇改善や安全基準の明確化なども急務の課題である。
一方で、全児童等を対象にした子どもの居場所づくりを支援する地域子ども教室推進事業が文部科学省により行われているが、小学校を所管する文部科学省と放課後児童クラブを所管する厚生労働省との間で、放課後対策の今後の充実方策について検討を進める必要がある。このように両省が連携して放課後の取組をさらに充実させ、たとえば「放課後ルーム」(仮称)として、教職を目指す大学生や退職教員等の協力を得て課外授業を行うこととする等、放課後時間を活用して、子どもの発達・成長に役立つようにする取組を一層推進することが考えられる。
2006年1月から始まった通常国会では、衆議院・参議院の予算委員会、厚生労働委員会などで、学童保育が頻繁に取り上げられていました。
そこでの主な質問と答弁の概要は以下の通りです。(厚生労働省雇用・均等児童家庭局長は「局長」と略)
@「学童保育についての設置・運営基準づくり」
局長答弁「ガイドラインの研究をしたい」
A「大規模化の解消と適正規模」
厚生労働大臣答弁 「できるだけ分割していくという方向を選択していただくのも一つ。国としても予算的にはそれに対応していきたい」
B「補助金の増額」
局長答弁「非常にニーズが高くてまだまだ必要なところに整備が追いついていないということもあるので、予算の増額であるとか、宿題がある。引き続き予算を獲得していきたい」
C「設置目標の引き上げ」
厚生労働大臣答弁「何とか早く目標を達成できるように全力をあげていきたい。まだまだ足りないという意識は必要」。局長答弁「地域により、小学校区一つといわず、二つも三つも必要な地域もある。必要な地域に必要なクラブを整備していきたい」
D「指導員の常勤配置・待遇改善」
厚生労働大臣答弁「放課後児童クラブにおける職員と児童の関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員には今ご指摘のようにできる限り継続的に勤めていただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要である」
E「障害児の受け入れ推進」
局長答弁「障害児の受け入れの推進は、障害児の活動の場の確保のみならず、障害への理解の醸成もあり、児童の成長にも重要なことであると認識している。障害児のさらなる受け入れ推進に努力をしたい」
F「学校との協力・連携」
厚生労働大臣答弁「教育関係としっかり情報交換をしながらやっていかなければならない。情報交換等、学校との連携協力等について、文部科学省との連名で都道府県等に依頼した」
G「全児童対策事業と区別した充実」
局長答弁「放課後児童クラブを利用される児童は、保護者が昼間就労などでご家庭にいないという子どもの置かれている状況に十分配慮したうえで遊びや生活の場を提供する必要がある。状況に応じた開設日数や開設時間の確保、保護者との日常的な連絡体制、意見交換の確保、出欠の確認あるいは安全確認の徹底といったことが必要。これを十分ふまえれば、直ちに全児童対策に全部統合してしまうのは困難」
各委員会では、11名の与野党議員の方々から、学童保育の拡充を求める質問・意見が出されました。
マスコミも含めて、学童保育への関心がたいへん高くなっています。全国学童保育連絡協議会は、この間、政党・国会議員に学童保育の拡充を求めて要請を繰り返しています。
この時期に、学童保育の実態や課題を理解していただけるよう、国へも地域へも積極的に働きかけていきましょう。(学童保育にかかわる国会審議の内容は、
全国学童保育連絡協議会のホームページで見ることができます)
2月10日、文部科学省生涯学習政策局長と厚生労働省雇用・均等児童家庭局長は、連名で「『地域子ども教室推進事業』と『放課後児童健全育成事業』の連携及び両事業の推進にあたっての学校との連携について」という通知を出しました。
これは、2005年10月20日に開かれた衆議院青少年問題特別委員会の審議で、両事業の連携や学校の協力が必要だとの意見を受けて出されたものです。3月の全国児童福祉主管課長会議で育成環境課長は、「怪我の場合に学校の保健室を利用したり、雨天の場合に体育館を利用するなどの学校側の協力や学校の教職員と両事業の職員の連携」と説明しています。
通知の中で、「地域子ども教室推進事業」と「放課後児童クラブ」の連携として、「両事業の活動の実施について共同で検討するなど、効果的、効率的な運用に努めること」と書かれています。この通知は「全児童対策事業があれば学童保育はいらない」という趣旨ではありませんが、受け止め方に誤解が生じないか懸念されるところです。十分に趣旨を理解してもらうことが必要です。
3月3日に開かれた全国児童福祉主管課長会議(厚生労働省が都道府県等の担当課長を集めて国の方針や予算を説明する会議)で、2006年度の学童保育予算の内容が明らかになりました。
〈放課後児童健全育成事業(運営費)〉
◆総額……111億8100万円
(昨年度比 17億1100万円増、 18・1%増)
◆補助対象か所数……1万4100か所 (昨年度比900か所増)
◆補助単価 (下記の表参照)
運営費の補助単価は、人事院勧告にそって3000円程度の減額となっています。障害児受入加算は、人数要件が撤廃され、障害児1人から補助対象となりました。名称も「障害児受入推進費」となりました。
大規模学童保育が急増しているなかで、厚生労働省は、分割した場合でもそれぞれに補助金を出すと説明していましたが、この会議で育成環境課長から、「1小学校区に1か所のクラブに制限するというような事例を聞いておりますが、放課後児童数あるいは利用できなかった児童の状況なども勘案いたしまして、1小学校に1クラブではなくて、複数設置、こういうことも検討」してほしいという説明がありました。
雇用・均等児童家庭局長は、「実施主体の判断で分割なども工夫してほしい」と国会で答弁しています。この課長説明は、大規模は問題であり「一小学校区複数設置」も必要だ、ニーズがあるところでは待機児童も出さないように、との考えをより明確に示したものです。
〈放課後児童クラブ等支援事業〉
国が市町村に補助する「放課後児童クラブ等支援事業」が大きく変わりました。一つは、この事業のなかの「ボランティア派遣事業」の内容です。2005五年度の@伝承遊び等事業、A自然等体験事業、B巡回派遣事業に、C長期休暇派遣事業が加わりました。この事業は、市町村が登録しているボランティア、障害児の専門家などを民間も含めた学童保育に派遣する事業です。あらたに、夏休み等の指導員の派遣にも加配されるようになります。
もう一つが、補助単価が大幅に増えたことです。昨年度は、「ボランティア派遣事業」と指導員の健康診断の補助である「放課後児童等の衛生・安全対策事業」を含めて、1市町村67万3000円でした。今年度の「ボランティア派遣事業」はそれぞれの4つの事業につき1事業当たり44万1000円となり、「放課後児童等の衛生・安全対策事業」は1市町村当たり50万5000円になりました。すべての事業を市町村が申請すれば、昨年度の67万3000円から、
今年度は226万9000円の補助を受けることができるようになります。
〈指導員の資質向上費〉
指導員の研修費補助が含まれている「健全育成事業費」 は、あらたに「地域の子育て環境づくり支援事業」と「児童ふれあい交流支援事業」を加えて、補助単価も2005年度の250万円から600万円になりました。これにより、都道府県・政令市・中核市が主催する指導員対象の研修会への補助金の上限が大幅に上がったことになります。実施回数や内容面の充実につながるように働きかけましょう。
〈学童保育の施設整備に活用できる補助金〉
施設整備費については、2005年度と同様に、児童館の整備費を学童保育施設単独での整備にも使えます。また、余裕教室等を学童保育に転用したり、障害児受け入れのための改築等に使える「保育環境改善等事業費」も、前年なみの予算がついています。全国児童福祉主管課長会議で育成環境課長から、「まだ余裕があり、これからでも申請を受け付ける」と説明がありました。市町村に対して、補助金を有効に活用するよう要望していくことが必要です。
◆放課後児童健全育成事業の補助単価(2006年度) (単位:円)
入所児童数 | 年間開設日数 | 昨年比 | ||
281日以上 | 200日〜280日 | |||
小規模 | 児童数10人〜19人 | 1131000 | なし | 3000円減 |
基本分 | 児童数20人〜35人 | 1683000 | 1611000 | 3000円減 |
大規模加算分(合計額) | 児童数36人〜70人 | 2640000 | 3000円減 | |
児童数71人以上 | 3594000 | 6000円減 | ||
長時間開設加算 | 309000 | 296000 | ※ | |
障害児受入推進費(名称変更) | 687000 | なし | 2000円減 | |
市町村分 | 放課後児童クラブ等支援事業 | (1)ボランティア派遣事業 1事業当たり441000 (2)放課後児童等の衛生・安全対策事業 1市町村当たり505000 |
2005年度はボランティア派遣、放課後児童等の衛生・安全事業含めて1市町村当たり673000円 | |
都道府県分 | 健全育成推進事業 | 都道府県・政令市・中核市 1か所当たり 6000000 |
1か所当たり 2500000 |
※281日以上1000円減
本誌をより多くの保護者や指導員、学童保育関係者に広めていただくために、見本誌、カレンダー付きポスター、チラシ、「普及の手引き」を作成しました。いずれも無料でお分けしています。おおいに活用してください。必要な方は、地域の学童保育連絡協議会または全国連絡協議会にご相談ください。
全国学童保育連絡協議会では、5年ぶりに学童保育指導員に関する詳細な実態調査を行っています。この調査の目的は、指導員の勤務体制や待遇面の改善を図り、社会的な地位の向上をすすめていくために、指導員の実態とニーズを把握し、そこから課題を明らかにすることです。勤務・雇用・労働条件、採用・仕事内容・研修、仕事に関する考え、指導員としての悩み・願いなどを、無作為抽出で選んだ指導員の方にアンケート形式で回答してもらいます。すでに、三〇〇〇人近くの指導員から回答が届きました。
5年前の調査は、『学童保育で働く指導員』(2001年11月刊)にまとめていますが、今回も調査結果をまとめ、指導員の勤務体制や待遇面の改善に役立てていきたいと思います。
今年の全国学童保育指導員学校(第31回)は、6会場で実施します(西日本会場は1か所)。
くわしい内容は、『日本の学童ほいく』5月号および7月号の巻末で紹介する予定です。
それぞれの会場のチラシも作成しますので、地域連絡協議会または全国連絡協議会にお問い合わせください。
第31回全国学童保育指導員学校の開催予定
会場 | 開催日 | 開催地と会場 |
西日本会場 | 6月4日(日) | 奈良市・なら100年会館 |
南関東会場 | 未定(6月中) | 千葉県内を予定 |
北関東会場 | 6月11日(日) | 埼玉県越谷市・埼玉県立大学 |
四国会場 | 6月25日(日) | 高松市・高松テルサ |
東北会場 | 9月18日(祝) | 仙台市・仙台市青年文化センター |
九州会場 | 9月17日(日) | 福岡県古賀市・古賀市中央公民館 |
『学童保育のハンドブック』が新しくなります。基本的な解説書として読まれてきた『新版 学童保育のハンドブック』(全国学童保育連絡協議会=編集、一声社=刊)の内容を改訂し、「学童保育の設置・運営基準づくり」「大規模化ではなく分離・増設」「子どもの安全対策」「『全児童対策事業』
と学童保育」などの今日的な課題も取り上げました。発売元も「鰍ャょうせい」に変更し、『学童保育のハンドブック』の書名で新しく発刊します。
新しい保護者・指導員、行政職員や議員の方々に読んでいただきたい本です。また、学童保育の役割やあり方、課題を学ぶのにも最適ですので、旧版をお持ちの方も含めて、ぜひ多くの方々にお読みいただければと思います。
政府は内閣府に、少子化対策専任の特命大臣を置きました。急激な少子化に対する政府の対策ということです。
1月18日、全国学童保育連絡協議会は、初代の専任大臣となった猪口邦子大臣と25分にわたって懇談し、学童保育の拡充を要望しました。
猪口大臣は、学童保育の「重要性は理解している」との認識を示し、事業の量的な課題だけでなく、質的な拡充についても理解を示しました。
「知事さんなどからどんどん要望を上げてほしい」と、自治体から要望が上がることが大事だとの話もありました。
1月20日、通常国会の冒頭、小泉首相の施政方針演説が行われ、少子化対策の中で学童保育についても次のようにふれました。
「昨年度末には、小学生が親の帰宅までの間、安心して過ごせる場としての放課後児童クラブを、目標どおり1万5000か所整備しました。さらに、経験豊かな退職者や地域の力を借りて、多様な放課後児童対策を展開いたします」
政府は、放課後の子どもの安全対策からも学童保育の整備を引き続き推進するとともに、文部科学省の地域子ども教室推進事業や、来年度から厚生労働省が始める生活塾(ファミリーサポートセンターなどを活用して人生経験豊かな退職者や子育てを終えたベテラン主婦などが、学童保育後に自宅で小学生を預かる制度)などの多様な放課後児童対策を展開するとしています。
厚生労働省が、来年度の施策や方針、予算等について都道府県等に説明する厚生労働関係部局長会議が、1月24日、25日の両日、開催されました。当日の資料では、学童保育(放課後児童クラブ)については次のように説明されています。
「(2)放課後児童健全育成事業について
放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)については、「子ども・子育て応援プラン」に基づき推進を図ることとしており、プランの早期達成を図るため、平成18年度予算案においては、900か所増の1万4100か所分を計上するとともに、従来、障害児を2人以上受け入れるクラブに対して行ってきた障害児受入加算についても、人数要件を撤廃することとしているので、放課後児童の受け入れ整備等の推進について積極的に対応願いたい。
また、1クラブ当たりの利用児童が増加した場合など、子どもの情緒の安定や事故防止の観点から、実施主体の判断においてクラブを分割するなどの工夫を行うことも可能であるため、適切に対応願いたい。
なお、昨年10月20日に『衆・青少年問題に関する特別委員会』において、放課後児童クラブを中心とした審議がなされ、文部科学省との連携やガイドラインの策定など様々な観点から審議いただいたところであり、これらについてどのような対応が可能か検討を進めているところである。」
この他、施設整備が必要な学童保育の設置については、「国としても出来る限りの財政的な支援を行うこととしている」と記しています。
また、学童保育への来所・帰宅時の安全対策ついて、厚生労働省が昨年末に作成した「安全点検リスト」の活用などにより定期的な点検、関係機関との連携を図ることを、都道府県・市区町村に呼びかけました。
1月22日、全国学童保育連絡協議会は、『日本の学童ほいく』 誌をさらに多くの学童保育関係者に広めようと、「普及拡大推進会議」を開催しました。
学童保育への期待が社会的に高まっている中で、よりよい学童保育づくりや働きながらの子育てに役立つ本誌の役割はますます大きくなっています。
全国学童保育連絡協議会は、2004年度から各地で「普及拡大の取り組み計画」を作成し、普及に取り組むようお願いしてきました。その結果、2005年8月号で目標を上回る4万5800人を超える読者の広がりが生まれました。
今回の会議では、「2006年7月号で、4万7000人に読者を広げる」ことを目標にして、いっそうの普及拡大に向けて、各地の取り組みの交流を行いました。
読者の皆様にも、一人でも多くの方々に購読を呼びかけていただくことをお願いいたします。
*見本誌、 カレンダー付きポスター、 チラシ、 「普及の手引き」 が必要な方は、 全国事務局または地域の連絡協議会にご相談ください。
11月23日に広島市で、12月1日には栃木県今市市で、小学生が下校途中に連れ去られ殺害されるという痛ましい事件が相次いで発生しました。昨年11月に奈良市で起きた痛ましい事件は社会に大きな衝撃を与えましたが、いま、子どもの放課後の安全対策、地域で子どもを守ることが緊急の課題となっています。(その後の奈良市の学童保育の状況は、本誌1月号「ねっとわーく」参照)
放課後の安全な生活の保障を求めて学童保育に入所する家庭も増えています。 学童保育への期待が広がっているなかで、必要とする地域すべてに設置すること、指導員の体制も含めた条件整備の拡充とあわせて、学童保育での生活および来所・帰宅時の安全対策の徹底が求められています。
全国学童保育連絡協議会は12月6日に、各地の学童保育関係者に「安全対策の徹底」を呼びかけました。行政・学童保育・保護者・指導員が、地域とも連携しながら、取り組んでいきましょう。
厚生労働省は12月5日に「児童館・放課後児童健全育成事業における児童の安全確保について」の通知を出しました。また、12月14日に「安全点検リスト」を作成して、再度、各自治体・各学童保育で早急に安全点検を行うよう呼びかけました。
全国学童保育連絡協議会も、すべての学童保育関係者にこの安全点検リストを使って安全対策を徹底するよう呼びかけます。同時に、安全対策を実際に行うために必要な条件整備(待機児解消や児童数の適正規模化、施設の安全対策、開設時間の改善、指導員の常勤・複数体制や研修の実施など)を、国や自治体に求めていきたいと思います。
*厚生労働省が作成した「安全点検リスト」は、各市町村にあります。また、全国学童保育連絡協議会のホームページにも掲載しています。
衆議院青少年問題特別委員会は、12月16日、「子どもの安全対策について」をテーマに2時間の審議を行いました。
全国学童保育連絡協議会は各議員に、放課後の子どもの安全対策の面からも学童保育の必要性が高まっているため、来所・帰宅時の安全対策も含めた学童保育の整備・拡充についても審議してほしいと要望しました。
審議では3人の議員が、学童保育に関わって質問しました。(衆議院のホームページで、
当日の模様を動画で見ることができます)
「学童保育の登下校についても安全対策が必要。 周知だけでなく財政措置も」(自民・土屋正忠議員)。
「学童保育への期待が広がっているが、まだ未整備の地域や開設時間が午後5時までのところもあり、改善が必要」(自民・上野賢一郎議員)。
「学童保育の必要性は高い。少なくとも学区にひとつ、必要な地域には複数設置が必要。指導員の増員や体制強化、時間延長ができる財政措置」(共産・石井郁子議員)。
厚生労働省雇用・均等児童家庭局の北井局長は、「放課後児童クラブは安全な生活の確保からも重要な制度。安全対策のために点検リストを作成した。周知していきたい。できるだけ早く必要な地域に整備することなど、いっそうの充実を図っていきたい」と答弁しました。
12月21日、厚生労働省は来年度予算案(財務省内示)を発表しました。
学童保育の運営費の補助金は、8月に発表された概算要求額から100か所、1200万円の上積みがされました。
厚生労働省は子どもの放課後の安全対策が緊急な課題となっているなかで、学童保育を早急に整備することが必要だという考えから上積みされたと説明しています。
この結果、前年度比で過去最高の、17億1100万円増、 18.1%増となりました。
〈放課後児童健全育成事業(運営費)〉
◆総額 111億8100万円
◆補助対象か所数 1万4100か所 (今年度比900か所増)
また、障害児加算の「2人以上」という人数要件が撤廃され、一人でも加算が出ることになりました。補助単価は、3月に開かれる全国児童福祉主管課長会議で明らかにされます。
学童保育の施設整備に活用できる2つの補助金は、それぞれ次のような総額となっています。
●児童厚生施設整備費 (児童館の整備費を学童保育にも使える)
18億3800万円
●保育環境改善等事業費 (メニューは 「放課後児童クラブの設置促進費」)
12億9200万円
11月18日、全国学童保育連絡協議会は、厚生労働省をはじめとする関係省庁、地方六団体、政党、国会議員に、要請行動を行いました。来年度の予算編成の時期にあたって、学童保育の拡充のために私たちの願い・要求を伝えることが目的でした。
厚生労働省には、学童保育の実態や課題を伝え、10月20日の衆議院青少年問題特別委員会での厚生労働省雇用・均等児童家庭局の北井局長の答弁(抜粋は別項、本誌12月号76ページ参照)も取り上げ、要望しました。要望した事項は次の五点です。
1 補助金の継続と大幅な増額を図ること(一般財源化・交付金化・大括り化をしない。運営費補助単価の大幅な引き上げ。障害児の人数要件の撤廃という概算要求の実現を。施設整備費の大幅な増額)
2 学童保育数の設置目標の引き上げと、「計画を上回る要望があれば、前向きに予算の確保をする」という局長答弁を自治体に周知させること
3 大規模化を生まない施策と補助金の仕組みをつくり、「マンモス化はいいことだと思っていない」「一校区一クラブという制限はない」といった局長答弁を自治体に周知させること
4 「ガイドラインは研究する」という局長答弁をすみやかに実行すること。その際に学童保育関係者の意見、私たちの提言を参考にすること
5 「全児童対策事業」に学童保育を解消させない施策づくりをすすめること(放課後児童健全育成事業の設置運営基準づくりの着手、両事業の目的・役割と実施方法の違いの明確化と周知、「全児童対策事業」のなかでも八要件を満たせば補助金を出すという考えを撤回すること)
地方六団体・政党・国会議員には、「量的拡大は適正規模で複数設置を」「質的拡大は補助金拡充と設置運営基準づくりを」「全児童対策事業ではなく学童保育の拡充を」の三点にポイントを絞って要請しました。
(要請行動の結果は次号でお知らせします)
(別項)青少年問題特別委員会での厚生労働省局長の答弁(議事録から抜粋)
○設置目標について 「あくまでこの子ども・子育て応援プランの数字は今策定した段階での目標数値でございまして、仮に今後住民のニーズがますますふえて、もっと前向きに計画を見直して取り組みたいという市町村がふえてくれば、当然この目標数値を上回った国庫補助の御要望も上がってくると思いますし、各市町村でも取り組みが進むと思っております。仮にそうした計画を上回るような国庫補助の御要望等がありました場合にも、なるべく私どもとしては前向きに予算の確保をやってまいりたいということで考えております」
○大規模化について「私どもとしては、決して大規模化でマンモス化ということがいいことだとは思っておりません。(中略)やはり規模というのは大事なことでございますから、現場の実情や指導員の意見をよく踏まえて、実施主体の判断でそれぞれ必要な場合には分割するとか、いろいろな工夫が必要であるというふうに認識をいたしております」「私どもは決して、例えば大都市部でマンモス化しているようなところについて、一校区一クラブに限るといったような、そういう制限を設けているわけではございません」
○設置運営基準づくりについて「私どもとしては、やはり基本的には、こうした児童クラブというのは自治体の自主性を最大限尊重したいと思っているところでございます。ただ、ガイドラインというお話もございました。そこのところは少し研究をしていきたいというふうに思います」
○「全児童対策事業」 との一本化について「(全児童対策事業との)連携は大切でありますけれども、では、留守家庭の子供さんを預かる放課後児童クラブという趣旨の事業が全く不要になるかというと、そうではないと考えておるところでございます」「全児童対策の中で、特に留守家庭のお子さんはその意味では丁寧な対応が必要なわけですから、そういう丁寧な対応の枠がなくて、いつ来ても帰ってもいいとか、毎日でもないとか、六時ぐらいまではすごく預かってほしいのにそうでもないとか、そういったことの配慮がなくて、安易に居場所を設けるということだけの事業に流れてしまうのはいかがなものかという認識でおるわけでございます」
全国市長会は、「平成18年度 国の施策及び予算に関する要望」 を11月10日付で出しました。少子化対策に関する要望のなかで、学童保育について次のように要望しています。
「放課後児童健全育成事業について十分な財政措置を講じるとともに、きめ細やかな基準の設定等、適正な事業運営を確保するための措置を行うこと」
私たちは、自治体が学童保育の設置運営基準をつくるよう求めるとともに、自治体の国への要望のなかにもそれを盛り込んでほしいと要望してきました。今回、全国市長会は地方六団体では初めて基準づくりに関する要望を出しました。