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2016年12月、学童保育関係の国の補助金の2017年度予算案が示されました(予算案は、今後、国会での審議を経て採決されます)。国は今回の予算案について、「『ニッポン一億総活躍プラン』(平成28年6月2日閣議決定)(*)を踏まえ、『放課後子ども総合プラン』に基づく放課後児童クラブの約122万人の受け皿確保を平成30年度末に前倒して実施するため、施設整備費の補助率嵩上げを継続するとともに、運営費補助基準額の増額を行うほか、放課後児童支援員等の人材確保対策などを推進する」としています(*『日本の学童ほいく』2016年7月号83ページ参照)。
2017年度の予算案のくわしい内容はこちらをごらんください。
2016年度補正予算につづいて施設整備費の国庫補助率がかさ上げされ、新たに「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業(仮称)」として、放課後児童支援員の資格を取得した者、およびその経験等に応じた処遇改善が盛り込まれました。 放課後児童支援員を対象に月額約1万円、経験年数や研修実績に応じて最大月額3万円の賃金改善に要する費用が予算化されています。
なお、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」の説明のなかに、「いずれかの業務に従事する職員」という言葉が出てきます。「いずれかの業務」とは、2016年度の交付要綱に記載されていた(@)「学校との情報共有/保護者への連絡・情報共有/防災・防犯対策/要望・苦情への対応/児童虐待早期発見への取り組み」、(A)「地域組織との情報交換や相互交流/児童館やその他公共施設等の積極的活用/地域住民との連携、協力/地域の保健医療機関等と連携/虐待ケースの具体的な支援内容等を関係機関と検討、協議/放課後子供教室との打ち合わせ、協議会への参加」をさします。
2017年1月19日、20日には全国厚生労働関係部局長会議が開催されました。また、2月には全国児童福祉主管課長会議が開催されます。厚生労働省少子化総合対策室に問い合わせるなどして、詳細がわかりしだい、あらためて皆さんにお知らせします。
2016年12月7日、全国学童保育通絡協議会(以下、全国連協)は、「公的責任による学童保育制度の拡充と財政措置の大幅増額を求める」要望を学童保育の所管省庁である厚生労働省と、学童保育の予算・施策に関係する内閣府・文部科学省などに届けました。
また、当日は、総務省と懇談を行ったほか、超党派の国会議員で結成されている「公的責任における放課後児童クラブ(学童保育)の抜本的拡充を目指す議員連盟」の総会で、全国連協の要望内容について説明しました。また、「自由民主党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会」に参加する国会議員の方々を個別に訪問しました。
厚生労働省・内閣府に届けた要望内容の概要はつぎのとおりです。
1 国として、以下の制度の創設または制度改善と、財政措置を……母子家庭・父子家庭等の経済的に厳しい家庭への保育料の減免制度を創設すること。/障害のある子どもの受け入れにあたって、専門的課題について相談や指導を受けることができる制度を創設すること。/児童の数が20名未満の「支援の単位」に対する補助金を増額すること。/指導員の処遇改善にあたって、地域特性を勘案する制度とすること。/平成28年熊本地震からの復興にあたって、施設再建のための財政支援策を策定すること。/学童保育を日本スポーツ振興センターの「災害共済給付」の対象にすること。
2 学童保育の国の制度の拡充を……学童保育を児童福祉施設として位置づけ、量的拡大・質的拡充が図られるよう整備すること。/児童福祉法における市町村の責任を「利用の促進の努力義務」にとどめず、明確にすること。/省令で定めた学童保育の基準(以下、「基準」)は質的な向上を図ること。/安定的な財政措置の仕組みをつくること、財政負担における国の責任と負担を増やすこと。/指導員の資格と業務に見合う処遇改善を進めるため、抜本的な処遇善策を示すこと。
3 量的・質的拡充が図られるよう、国としての財政措置を……「基準」にもとづく運営が可能となるよう補助額を大幅増額すること。/少なくとも、国の負担を現在の3分の1から2分の1に引き上げること。/運営費、なかでも人件費について、「支援の単位」当たり複数の有資格者を常勤配置できる財政措置をとること。/施設整備費に十分な財政措置をとること。/障害のある子どもの受け入れにあたって、指導員の加配、施設の改修、指導員が相談や指導を受けることができる財政措置をとること。
4 指導員の処遇の改善、保育内容の向上を図るための必要な措置を……指導員の実態、欠員、ニーズについて調査などを行い、課題を明確にして改善方策を進めること。/指導員の処遇改善を強力に推進すること。/当面すべての現任指導員が有資格者となることができるように市町村へ援助、財政措置をとること。/「資質向上」研修の体系化と受講に必要な財政措置をとること。
5 省令基準の改善・拡充を…-「職員」についての項目だけでなく、施設(広さを含む)、支援の単位などの項目も「従うべき基準」とすること。/「子どもの人数」「専用室」「専任職員」の3点の関係を明確にして、子ども一人ひとりにとって安全・安心な「生活の場」となるようにすること。/「児童数」「専用区画」「支援の単位」などについての考え方を明確にし、市町村に周知すること。/指導員の資格について、将来的な方針を明確にし、段階的に近づけていく方策を検討すること。
6 支援事業計画の中間的検証や見直しについて調査を行うこと。
7 「放課後子ども総合プラン」においては、放課後子供教室と学童保育について、「同じ場所で同じ職員が子どもたちを一緒にして」行う「一体化」ではなく、それぞれの事業として実施すること。
8 東日本大震災で被災した地域の学童保育の復旧・復興を進め、学童保育を必要とする家庭・子どもが安心して利用できるよう国としての支援を行うこと。
* * *
なお、厚生男働省には、2016年に実施された「放課後児童支援員認定資格研修事業」に関する各県の状況について、全国連協が情報収集した資料も提供しました。
2016年12月5日、国の「第29回子ども・子育て会議」が開催されました。この会議は、有識者、地方公共団体、事業主代表・労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等(子ども・子育て支援に関する事業に従事する者)が、子育て支援の政策プロセスなどに参画・関与する仕組みとして、国が設置したものです。
会議当日は、学童保育に関わって、「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)に係る実態調査の中間集計の状況について」という資料が出されました(内閣府のホームページで見ることができます)。この調査の対象は、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」を実施したすべての学童保育と、実施していないところから無作為に抽出した学童保育です。
資料では、「職員一人当たりの給与額(年閲支給額)」「平均年齢」「平均勤続年数」について、対象者全体の集計とあわせて、「公立公営」「公立民営」「民立民営」の場合、「常勤」「非常勤」の場合、「放課後児童支援員」「補助員」「その他」の場合に分けた集計結果も示されています。また、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」を実施した学童保育における、2013年度と2015年度の給与比較(職種別職員)と改善率も出されました。
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全国連協は今後も、学童保育に通う子どもたちと、働きながら子育てをする保護者たちのための学童保育の拡充を求め、それを支える指導員の働く環境がよりよいものとなるよう、さらにねばり強く取り組みます。
2016年10月28日、全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は愛知県名古屋市内で、今年度(2016年10月から2017年11月まで)の定期総会を開催しました。総会では、2015年度の活動報告、決算報告が行われ、会計監査報告を受けた後、いずれも承認されました。つづいて、今年度の活動方針(『日本の学童ほいく』68ページを参照してください)、予算が討議の後、確認されました。また、第52回全国学童保育研究集会を、2017年秋に兵庫県で開催することが決定しました。
なお、総会で選出された今年度の全国連協役員はつぎのとおりです。
会 長 木田保男(三多摩・保護者・再)
副会長 出射雅子(京都・保護者・再)、小野さとみ(三多摩・指導員・再)、
角野いずみ(岡山・指導員・再)、嘉村祐之(岩手・指導員・再)、賀屋哲男(愛知・専従職員・再)、川崎みゆき(大阪・指導員・新)、亀卦川茂(埼玉・指導員・再)、
木村美登里(神奈川・指導員・再)、佐藤正美(埼玉・指導員・新)、鈴木美加(千葉・指導員・再)、高橋誠(東京・指導員・再)、中野明彦(奈良・保護者・新)、
早川雅代(石川・指導員・再)、平野良徳(兵庫・保護者・再)
事務局長 池谷潤(神奈川・保護者・再)
事務局次長 志村伸之(職員・再)、佐藤愛子(職員・再)、千葉智生(職員・再)
2016年10月19日、内閣府は「自治体向けFAQ(よくある質問)―第14版」をホームページで公表しました。放課後児童健全育成事業に関わっては、つぎの内容が追加されています。
◆No.321 質問・開所日数加算について、交付要綱では「(年間開所日数-250日)×15000円(1日8時間以上開所する場合)」とされていますが、平日についても1日8時間以上開所しなくてはならないのでしょうか。
【回答】小学校の年間授業日数や長期休暇期間等における平日の日数等を勘案し250日と設定しており、この日数を超えてクラブを開所する場合に開所日数加算の対象となる。このため、開所日数加算の対象となる開所日が長期休暇期間等に当たることを想定し、交付要綱では「(年間開所日数-250日)×15000円(1日8時間以上開所する場合)」としているところであり、平日について1日8時間以上の開所を必要としているものではない。
◆No.322 質問・放課後児童クラブ設置促進事業における「既存施設の改修」とは、どの程度の改修を想定しているのでしょうか。
【回答】床板やカーペットの張り替え、壁紙のはり替えなどの軽微な改修を想定している。建物の構造を変えるような改修や、建物の効用を増加させるような改修は放課後児童クラブ設置促進事業の補助対象外となる。
◆No.323 質問・障害児を受け入れるために必要な専門的知識等を有する放課後児童支援員等を配置しましたが、年間を通して障害児の利用がなかった場合、補助対象となるのでしょうか。
【回答】障害児の受入れに必要となる専門的知識等を有する放課後児童支援員等を配置していれば、結果として障害児の利用がなかった場合でも補助対象となる。
◆No.324 質問・土地借料の補助対象となる期間はいつになるのでしょうか。
【回答】工事契約日以降から放課後児童クラブを開所するまでの期間における土地借料が補助対象となる。
◆No.325 質問・平成27年度に賃金改善を図り、国庫補助の対象となりましたが、平成28年度も国庫補助の対象となるには、更なる賃金改善をしなくてはならないのでしょうか。
【回答】平成25年度の賃金と比較して、賃金改善がされていれば補助対象となるため、平成27年度の賃金と比較する必要はない。
* * *
2016年11月9日には、「放課後児童健全育成事業(子ども・子育て支援交付金)にかかるQ&A(「平成28年熊本地震」関係)が発出されました。「放課後児童クラブが被害に遭い、震災発生後に開所できなかった日がある場合」「被災による避難等により登録児童数が減った場合」「被災地から避難児童を受け入れたことにより、登録児童数が増えた場合」の交付金の算定についての説明が示されています。くわしくは内閣府のホームページをごらんください。
1999年に設置された「児童虐待防止対策協議会」は、「児童相談所での児童虐待相談対応件数は増加の一途をたどり、虐待により子どもの命が失われる痛ましい事件も依然として発生しており児童虐待は、社会全体で解決すべき深刻な問題」「そこで児童虐待に関係する府省庁及び関係団体等が一堂に会し、取組状況について情報交換するとともに、関係団体等との連携強化やさらなる対策の充実を図る方策を検討する」ために設けられたもので、内閣府・法務省・文部科学省・厚生労働省・警察庁、・最高裁判所などの関係府省庁等と関係団体が一堂に会する会議です。
例年11月の児童虐待防止月間に先だって会議が行われており、2016年は11月10日(木)に開催されました。これまでは、関係府省庁のほか、関係する46団体が参加していましたが、2016年度からは、全国学童保育連絡協議会をはじめ、11団体が新たに参加しました。
会議では、塩崎恭久厚生労働大臣のあいさつの後、関係府省庁から児童虐待防止対策の直近の状況と取り組みについての報告、関係団体5団体から児童福祉法等改正をふまえた取り組みについての報告があり、意見・情報交換なども行われました。
2016年11月2日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局は「平成28年度次世代育成支援対策施設整備交付金(児童虐待防止対策等に係る分)に係る協議等について」という局長通知を、各都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長宛てに発出しました。
2016年度の補正予算成立にともない、児童虐待防止対策等に係る施設整備に必要な経費が交付されることになりました。このなかの、「防犯対策の強化に係る整備事業について」という交付金は学童保育施設も対象になっていて、「@門、フェンス等の外構の設置、修繕」「A非常通報装置等の設置」として、警察機関への非常通報装置等を設置するための整備に活用できます。
ただし、対象となる経費が「防犯対策に必要な工事費又は工事請負費、工事事務費」とされていることから、備品等の購入費用のみの場合は、補助対象となりません。補助率は、定額2分の1相当とされています。
対象施設としては、児童養護施設のほかに15種類の施設があげられており、学童保育は、このなかの「子育て支援のための拠点施設」に含まれます(平成11年1月7日児発第14号厚生省児童家庭局局長通知に、「子育て支援のための拠点施設」に学童保育が含まれていることが明記されています)。
2016年11月16日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室健全育成係は、「放課後児童クラブにおける障害児等療育支援事業及び巡回支援専門員整備等の活用について(周知)」という事務連絡を、各都道府県、政令指定都市、中核市の放課後児童健全育成事業の担当者宛てに発出しました。
この事務連絡は、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長が2016年11月14日に発出した、「『地域生活支援事業の実施について』の一部改正について」という課長通知を受けた事務連絡です。
今回の事務連絡には、障害児等療育支援事業と巡回支援専門員整備等の活用について、学童保育が支援の対象になっていることが明記されたこと、この事業を活用して、障害のある子どもの受入れに努めてほしいことが記されています。
* * *
この事務連絡や前述した「自治体向けFAQ(第14版)」をもとに、障害のある子どもにとっても、学童保育がよりよい「生活の場」となるように、環境を整えていきましょう。
2016年9月20日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室健全育成係は、「放課後児童健全育成事業の事務手続きに関する留意事項について」という課長通知を各都道府県宛てに発出しました。この課長通知には、「優先利用の基本的考え方について」「放課後児童健全育成事業に関する情報収集及び利用手続等について」が記載されています(2016年1月の全国厚生労働関係部局長会議で配布された資料には、「各市町村における事務手続及びその他の留意事項として、『優先利用について』『情報収集及び利用手続き等について』の通知が近日中に発出される予定である」と記されていました)。
以下、今回の課長通知の内容を紹介します。
1 優先利用の基本的考え方について
優先利用の考え方については、2013年5月から2015年3月にかけて開催された「社会保障審議会児童部会 放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」(以下、専門委員会)で検討され、2015年3月の専門委員会で案が示されていました。
今回の課長通知で示された、「優先利用の対象として考えられる事項についての例示」はつぎのとおりです。
@ ひとり親家庭(※母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づく配慮義務がある)
A 生活保護世帯(就労による自立支援につながる場合等)
B 主として生計を維持する者の失業により、就労の必要性が高い場合
C 虐待又はDVのおそれがあることに該当する場合など、社会的養護が必要な場合
D 児童が障害を有する場合
E 低学年の児童など、発達の程度の観点から配慮が必要と考えられる児童
F 保護者が育児休業を終了した場合
G 兄弟姉妹(多胎で生まれた者を含む。)について同一の放課後児童クラブの利用を希望する場合
H その他市町村が定める事由
※このほか、保護者の疾病・障害の状況や各世帯の経済状況(所得等)を考慮することも考えられる。
※また、市町村の判断により、人材確保・育成や就業継続による全体へのメリット等の観点から、放課後児童支援員等の子どもの利用に当たって配慮することも考えられる。
※併せて、保育士、幼稚園教諭、保育教諭の子どもの利用に当たって配慮することも考えられる。
これまで、ひとり親家庭については、「母子及び寡婦福祉法」が2003年に改正された折に保育所の優先利用の「特別な配慮」の義務規定がつくられ、学童保育についても優先的入所を依頼する通知が市町村に出されていました。2014年に法律の名称が「母子及び父子並びに寡婦福祉法」にあらためられ、母子家庭・父子家庭が学童保育を利用する際に、市町村は「特別の配慮をしなければならない」と、法的な義務規定が設けられました。
このたびの課長通知は、専門委員会の報告書で、「市町村は放課後児童健全育成事業の提供体制を整備する必要があるものの、利用二ーズの増加に対しては、優先順位を付けて対応することも考えられ、優先的に受け入れるべき児童の考え方について国として例示を示すべき」と指摘されていたこともふまえて、優先利用に関する基本的考え方を明らかにしたものです。
ここにあげられている例示のみならず、個々の家庭や子どもの状況によって学童保育の必要性は異なりますので、学童保育に通いつづけることを必要としているすべての子どもたちを受け入れるために、子どもが負担に思うことなく学童保育に通いつづけられるように、「『おおむね40人以下』という子どもの人数規模の上限を守った学童保育数を必要な数だけ増やすこと」が重要です。
2 放課後児童健全育成事業に関する情報収集及び利用手続等について
子ども・子育て支援新制度の実施にともなう2012年の児童福祉法改定で、市町村は、学童保育を含む子育て支援事業について、必要な情報の収集を行い、情報の集約が求められることとされました。
学童保育の利用手続については、現状では、利用申込先や利用決定機関が市町村である場合や、各学童保育である場合などさまざまです。市町村によっては、実態を正確に把握できていないことも考えられます。
今回の通知では、以下の考え方が示されました。
「放課後児童健全育成事業の利用手続については、市町村が情報の収集を行い、利用のあっせん、調整及び事業者への要請を行うとした児童福祉法第21条の2の趣旨に基づき、可能な限り利用申込先及び利用決定機関を市町村とすることが考えられるが、地域の実情に応じ市町村以外の者を利用申込先及び利用決定機関とする場合にも、市町村が各放課後児童クラブの利用申込や待機児童の状況等について随時報告を受ける等により、利用状況を把握し、利用のあっせん、調整及び事業者への要請を行うことができるような実施体制を構築することが望ましい」
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は毎年、5月1日現在の学童保育の実施状況の調査を行っており、全国すべての市町村(特別区を含む。以下、同じ)に「調査票」を全国連協から直接、あるいは都道府県の学童保育連絡協議会からお届けし、回答を得ています。
2016年は1741市町村に調査を依頼し、すべての市町村から回答をいただきました。今年度の調査結果はつぎのとおりです。
◆「支援の単位」数……2万7638でした(表1)。2014年4月に策定された厚生労働省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(以下、省令基準)で、学童保育の基礎的な単位(支援の単位)が「おおむね40人以下とする」と定められたことにもとづいて、多くの市町村では条例を制定しています。2015年調査査で把握した数に比べても、今回の調査では「支援の単位」数が増えており、市町村が条例にもとづいて学童保育を新設したり、大規模な学童保育を分割したことの反映であると考えられます。
しかし、「条例基準」を制定したものの大規模化した学童保育の現状を追認する、あるいは経過措置を設けて容認している市町村もあります(表2)。さらに、「支援の単位で分割した」としている市町村の実態を見ると、名簿上では二つの「支援の単位」に分けていても、保育室一か所で保育をしているところや、複数の単位の合同保育のようなかたちで運営されているところもあります。
このような大規模化の容認やあいまいな「分割」では、「子どもが相互に関係性を構築したり、一つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模」(「放課後児童クラフ運営指針」より)として「支援の単位」をおおむね40人以下と定めた趣旨がいかされず、学童保育の役割を果たすことができません。子どもが負担を感じることなく学童保育に通いつづけるためには、一時的な「受入児童数拡大」「待機児童解消」を図るのではなく、子ども一人ひとりが安心して関係を築けるように、「支援の単位ごとに、子どもの所属を明確に区分し、それぞれに施設を整備し、2人以上の適切な指導員数を配置すること」「人数規模の上限を守りながら必要な数だけ学童保育を増やすこと」を守ることが不可欠です。
年 | 支援の単位数 | 入所児童数 |
---|---|---|
2007年 | 16,668 | 744,545人 |
2008年 | 17,495 | 786,883人 |
2009年 | 18,475 | 801,390人 |
2010年 | 19,744 | 804,309人 |
2011年 | 20,204 | 819,622人 |
2012年 | 20,846 | 846,967人 |
2013年 | 21,635 | 888,753人 |
2014年 | 22,096 | 933,535人 |
2015年 | 25,541 | 1,017,429人 |
2016年 | 27,638 | 1,076,571人 |
児童数 | 2014年調査 | 2015年調査 | 児童数 | 2016年調査 | 前年比 |
---|---|---|---|---|---|
9人 以下 |
653( 2.9%) | 683( 2.7%) | 1人 -19人 |
2694( 9.7%) | 94.5% |
10人-19人 | 2130( 9.6%) | 2168( 8.5%) | |||
20人-35人 | 5875(26.6%) | 8306(32.5%) | 20人 -30人 |
5502(19.9%) | 111.5% |
31人 -35人 |
3761(13.6%) | ||||
36人-45人 | 5232(23.7%) | 6883(26.9%) | 36人 -40人 |
4570(16.5%) | 114.3% |
41人 -45人 |
3300(11.9%) | ||||
46人-70人 | 6589(29.8%) | 6020(23.6%) | 46人 -55人 |
3717(13.4%) | 116.9% |
56人 -70人 |
2718( 9.8%) | ||||
71人-99人 | 1295( 5.9%) | 1204( 4.7%) | 71人-100人 | 1114( 4.0%) | 92.9% |
100人 以上 |
322( 1.5%) | 277( 1.1%) | 101人 以上 |
262( 0.9%) | |
合計 | 22096 | 25541 | 合計 | 27638 |
◆入所児童数……107万6571人でした。いずれの学年でも前年比で増加しており、とくに4年生と5年生が増加しています(表3)。
2012年8月に児童福祉法が改定され、これまで、「小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」とされていた対象児童の、「おおむね10歳未満」が「小学校に就学している児童」になりました(2015年4月施行)。
2015年調査でも、4年生の入所児童数の増加が顕著でした。児童福祉法の改定にもとづいて、4年生になった子どもが継続して利用できるようになったことが反映されていたと考えられ、2016年調査で4年生、5年生の入所児童数が増加しているのも同様のことが背景にあると考えられます。
2015年 | 2016年 | 前年比 | |
---|---|---|---|
1年生 | 343,502(33.8%) | 351,666(32.7%) | 102.4% |
2年生 | 298,806(29.4%) | 312,310(29.0%) | 104.5% |
3年生 | 224,715(22.1%) | 237,975(22.1%) | 105.9% |
4年生 | 92,173( 9.1%) | 106,057( 9.9%) | 115.1% |
5年生 | 37,007( 3.6%) | 45,433( 4.2%) | 122.8% |
6年生 | 19,711( 1.9%) | 21,933( 2.0%) | 111.3% |
その他 | 1,515( 0.1%) | 1,197( 0.1%) | 79.0% |
1,017,429 | 1,076,571 |
◆把握できた「待機児童」数……1万5839人。学童保育にはこれまで「定員」「規模」などについての国の基準がなかったことから、入所に制限を設けていない施設や自治体もあります。そのため、「省令基準」で「おおむね40人以下」と定められたものの、いまだに児童数が非常に多い大規模な学童保育が残されています。
また、学童保育の場合、入所申し込みの方法などがさまざまです。全体の約4割にあたる公営の学童保育は市町村に申し込みますが、約6割を占める公営以外のところでは運営者や施設に直接申し込むことが多いため、市町村が「待機児童」の実態を正確に把渥していないことも考えられます。なかには、申し込みを受理せず、口頭で断った場合は「待機児童」として数えていない市町村もあります。
児童福祉法が改定され、2015年4月から「必要な情報の収集」(待機児童の有無も含む(第21条の11)を市町村が行うことになりました。ただし、情報収集の具体的な方法などについては定められていません。
さらに、「待機児童ゼロ」が必ずしも、「学童保育が充足している」ことを表しているとはかぎりません。市町村のなかには、「全児童対策事業」や「放課後子供教室」などの事業を、学童保育の待機児童の受け皿とすることで、「待機児童ゼロ」としている地域もあります。役割の異なる事業で学童保育の役割を果たすことは不可能です。
◆運営主体……公立公営が減少し、地域運営委員会や保護者等がつくったNPO法人が運営する学童保育が増えています(図1)。民間企業が運営している学童保育は、大都市部を中心に少しずつ増えていました。なお、この多くは、市町村の委託事業、指定管理者制度を受託して運営されているところです。「学習塾」や「習いりごと」などの事業は、「学童保育」と自称していても学童保育として認められないことになっていますので、今回の調査結果には含まれていません。
◆開設場所……余裕教室活用が増えており、学校施設内が全体の半数です(図2)。国は、2014年7月に策定した「放課後子ども総合プラン」のなかで、放課後児童クラブの受入児童数を2019年度末までに約122万人に増やすために、新規開設分の8割を「学校施設を徹底活用した実施促進」で整備していく方針を決めました。
学童保育を増やしていくにあたり、学校施設を活用して進める場合も、毎日の「生活の場」にふさわしい施設としての設備を備えたものとして、整備していくことが欠かせません。
*全国逮協のホームページで、今回の調査の報道発表資料を掲載しています。
2016年9月に厚生労働省は、2016年度の補正予算案と2017年度予算概算要求を発表しました。
補正予算案では、「放課後児童クラブにおけるICT化の推進」に0.6億円が計上されました。これは、「子ども一人ひとりにICカードを持たせて、放課後児童クラブの出入り口にカードリーダーを設置し、出退管理、保護者へのメール送信を行うとともに、子どもに関する日々の記録作成等にIT機器を活用するモデル事業(全国で30か所)を実施する」というものです(実施主体は市町村。委託することもできます)。補助基準額案は200万円、国が全額負担します。
また、補正予算案では、「放課後児童クラブの前倒し整備」も計上されました。2016年度に「待機児童」が発生している地域や保育所整備を加速している地域等で、新たに整備する場合や施設の改修費についての国庫補助率のかさ上けが行われます。
【社会福祉法人等による設置(民間立)の場合】
・補助割合を3分の2から4分の3に引き上け(設置者の負担が3分の1から4分の1に軽減される)
・国庫補助割合を9分の2から2分の1に引き上げ(地方の負担が9分の2から8分の1に軽減される)
【市町村による設置(公立)の場合】
・国庫補助割合を3分の1から3分の2に引き上げるとともに、県、市町村の負担割合をそれぞれ半減(3分の1ずつから6分の1ずつに軽減される)
なお、2017年度以降については、「事業主団体の意見も聴きながら予算編成過程で調整」とされています。
* * *
あわせて、2017年度予算の概算要求も発表されました。概算要求とは、各省が財務省に予算を要求するものです。財務省の査定を経て年末に、政府予算案が決まります。その後、来年の通常国会で審議が行われて、予算が決定します。ただし、放課後児童クラブ関係の具体的な予算額、内容については、年末の予算編成過程で検討することになるため、今回は方向性のみが示され、2016年度予算の内容(『日本の学童ほいく』2016年3月号「協議会だより」参照)が参考として示されました。国は、2016年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」をふまえ、「放課後子ども総合プラン」(2014年7月に策定)に掲げた「2019年末までに約122万人の受け皿を確保する」という整備目標を2018年度末までに達成することをめざし(計画の前倒し)、「放課後児童クラブの整備などによる受入児童数の拡大を図るとともに、放課後児童支援員等の人材確保対策などを推進する」としています。
2015年度にひきつづき2016年度も、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」が予
算化されています。
この事業は、18時30分以降も開設していて、(@)非常勤職員1名分の賃金改善経費の上乗せとして、一支援の単位あたり年額158.1万円、(A)賃金改善経費を含む当該常勤職員を配置するための経費の上乗せとして、一支援の単位あたり年額293.2万円、を上限とした補助金が出されるものです(文末の?編集部解説?も参照
してください)。補助金を受けとるには、市町村と都道府県が3分の1ずつの額を負担して、国に申請をすることが必要です。
2016年8月5日、厚生労働省(以下、厚労省)少子化総合対策室健全育成係は、「『放課後児童支援員等処遇改善等事業』の交付額の算定方法について」という事務連絡を発出しました。この事務連絡には、「当該事業については、放課後児童クラブの人材確保や、子どもへの質の高い支援を実現するためにも積極的に活用していただくよう併せて周知をお願いいたします」と記されています。
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)が少子化総合対策室健全育成係に確認したところ、運営費をはじめとする交付金の申請は2016年8月26日を締め切りとしていますが、変更申請は2016年12月まで受けつけるとのことです。
全国連協は、「この補助金を受けることができれば、指導員の常勤化や処遇改善に役立てることができるので、申請するように市町村に要望していこう」と呼びかけてきました。しかし、2015年度にこの補助金を申請して交付された市町村数は199にとどまりました。とりわけ、(A)の補助金を申請して交付された市町村数は50にとどきませんでした。
市町村がこの補助金を活用しない(申請しない)理由として、「自治体が3分の1を予算化することが負担である」「実施要綱、交付金交付要綱などの発出時期の関係で、当初予算ではなく補正予算で対応せざるを得ないことが負担である」ことなどがあげられていますが、学童保育関係者のなかでは、現在の算定方法が難解であることも理由の一つではないかとの声があがっています。この補助金の運用方法が明快なものになるよう、今後、全国連協と地域の学童保育連絡協議会が共に実態を把握し、厚労省へ改善に向けた要望を届けていきます。
* * *
?編集部解説?(@)は、指導員の賃金改善の実績に応じて、一支援の単位あたり158.1万円を上限に運営費に加算される補助金です。たとえば、これまで年収200万円だった指導員3人に、それぞれ50万円ずつの賃金改善を行った場合、合計150万円が運営費に加算されます。
(A)は、保護者が負担する保育料などでまかなわれていた「常勤指導員に係る人件費(賃金改善分も含む)」を補助対象として、運営費に加算される補助金です。たとえば、開設日数250日、一の単位を構成する児童の数が20人以上の学童保育に対する補助額は、「実際に学童保育で支出されている指導員の人件費総額」と、国が「運営費における人件費相当分」(*)として示している額「544.1万円」との差額を、(A)の満額である293.2万円と比較して、少ないほうの額をもとに算定されます。なお、「実際に学童保育で支出されている指導員の人件費の総額」が「544.1万円」に満たない場合は、この補助金の対象にはなりません。
この補助金の満額である293.2万円を受けとるには、「実際に学童保育で支出されている指導員の人件費総額」と、国が「運営費における人件費相当分」として示した「544.1万円」の差額が293.2万円より多いことが必要です。たとえば、児童数20人以上、年間開所日数250日の学童保育で、これまで年収250万円だった指導員3人に、それぞれ50万円ずつの賃金改善を行うと、人件費の総額は900万円となります。
この額と、国が人件費相当分として示した「544.1万円」との差額は355.9万円なので、満額の293.2万円が運営費に加算されます。
*2016年2月に行われた「全国児童福祉主幹課長会議」で国が示した資料によると、年間開所日数250日、児童数36?45人規模の学童保育の場合を例にあげ、運営費748.8万円のうち544.1万円が「運営費における人件費相当分」としています。「運営費における人件費相当分」の額は、児童の数が19人以下の場合、開設日数加算、長時間開所加算の対象となった場合は変動します。くわしくは、厚労省の事務連絡を確認してください。
「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」について 『日本の学童ほいく』2016年6月号の「協議会だより」で、2016年4月に、「教育・保育施設等における事故報告集計」が公表されたことをお伝えしました。
内閣府のホームページには、2016年3月に発表された「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が公表されています。これは、死亡事故や重篤な事故への対応を念頭において作成されており、施設・事業者、地方自治体向けに出されたもので、学童保育は対象に含まれていませんが、各学童保育でも、危機管理の参考にしてください。いま一度、対応できる体制にあるかなどを点検し、各現場の保育環境をふり返ることや、事故発生時の対応に必要なことなどについても理解をしておくことが必要です。
2016年6月30日、全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は、「公的責任による学童保育制度の拡充と財政措置の大幅増額を求める」要望を厚生労働省、内閣府、文部科学省などの関係省庁、各政党に届けました。厚生労働省と内閣府に届けた要望内容の概要はつぎのとおりです。
1 学童保育の国の制度の拡充
・学童保育を児童福祉施設として位置づけ、量的拡大・質的拡充が図られるよう整備すること。
・児童福祉法における市町村の責任を「利用の促進の努力義務」にとどめず、明確にすること。
・省令で定めた学童保育の基準(以下、「基準」)は質的な向上を図ること。
・安定的な財政措置の仕組みをつくること、財政措置における国の責任と負担を増やすこと。
・指導員の資格と業務に見合う処遇改善を進めるため、抜本的な処遇改善策を示すこと。
2 量的な拡大、質的な拡充が図られるよう、国としての十分な財政措置を
・「基準」にもとづく運営が可能となるよう補助額を大幅増額すること。少なくとも、国の負担を現在の3分の1から2分の1に引き上げること。
・運営費の大半である人件費、施設整備費に十分な財政措置を講じること。
3 指導員の処遇の改善、保育内容の向上を図るための必要な措置を
指導員の実態、欠員、二ーズについて調査などを行い、課題を明確にして改善方策を進めること。指導員の処遇改善を強力に推進すること。当面すべての現任指導員が有資格者となることができるように市町村へ援助、財政措置を講じること。
「基準」と「放課後児童クラブ運営指針」(以下、「指針」)による学童保育のあり方を学ぶことができるよう、学童保育と指導員の実情が反映される方策をとること。「資質向上研修」の体系化と受講に必要な財政措置を講じること。「指針」の都道府県及び市町村への周知を図ること、など。
4 省令基準の改善・拡充
「職員」についての項目だけでなく、施設(広さを含む)、支援の単位(子どもの人数を含む)などの項目も「従うべき基準」とすること。また、考え方を明確にすること。指導員の資格について、将来的な方針を明確にすること。「子どもの人数」「専用室」「専任職員」の三点の関係を明確にして、子ども一人ひとりにとって安全・安心な「生活の場」となるようにすること。
5 国として以下の制度の創設と財政措置を
母子家庭・父子家庭等の経済的に厳しい家庭への保育料の減免制度を創設すること、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」および「子供の貧困対策に関する大綱」に明記されている「特別な配慮」が実行できる制度や仕組みをつくること。学童保育を日本スポーツ振興センターの「災害共済給付」の対象にすること。
6 支援事業計画について、財政措置も含めた法制度上の課題の有無の検証と必要な制度の見直し
7 「放課後子ども総合プラン」においては、放課後子供教室事業と学童保育について、「同じ場所で同じ職員が子どもたちを一緒にして」行う「一体化」ではなく、それぞれの事業として実施すること
8 東日本大震災で被災した地域の学童保育の復旧・復興を進め、学童保育を必要とする家庭・子どもが安心して利用できるよう国としての支援を行うこと
* * *
厚生労働省へは要望書のほか、「放課後児童支援員等認定資格研修事業」の実施に関する各県の状況について、全国連協が情報収集した資料を提供しました。また、「平成28年熊本地震」の被災実態調査にもとづいて熊本県学童保育連絡協議会が同年6月8日に厚生労働省に提出した緊急要望書をもとに、現状を伝えました。
最後に、「市町村にすべてゆだねていては、学童保育の拡充は後まわしになってしまう。現場から発信しつづけていくので、これまでのように情報提供をしてほしい」と要望し、懇談を終えました。
今後も、各地域の連絡協議会の皆さんと共に取り組んでいる、「学童保育の実施状況調査」(2016年5月1日現在)の結果も活用しながら、学童保育の量的・質的拡充を図り、改善を進めるために、各方面に強く働きかけます。
全国学童保育連絡協議会は、学童保育指導員の資質向上と学童保育の内容充実を目的として、「全国学童保育指導員学校」を毎年開催しています。2016年は、あわせて約4500名の受講がありました(九州会場は「平成28年熊本地震」の影響を考慮して残念ながら中止としました)。
2015年度から、都道府県が実施する「放課後児童支援員都道府県認定資格研修」がはじまっています。「全国学童保育導員学校」の受講者からは、「資格を取得することは学童保育で仕事をするうえでのあくまで入り口なので、指導員学校に参加して、その後の自己研鎖と現任研修が必要であることを実感した」という感想も寄せられています。
日程 | 会場 | 受講者数 | |
九州会場 | 5月29日(日) | 福岡県春日市・クローバープラザ | 中止 |
西日本(奈良)会場 | 6月5日(日) | 奈良県生駒市・たけまるホールほか | 約950名 |
南関東会場 | 6月12日(日) | 東京都日野市・明星大学 | 約700名 |
西日本(岡山)会場 | 6月12日(日) | 岡山県岡山市・就実大学 | 約550名 |
北海道会場 | 6月19日(日) | 北海道札幌市・かでる2.7 | 約400名 |
北関東会場 | 6月19日(日) | 茨城県水戸市・武道館、茨城大学 | 約800名 |
四国会場 | 6月26日(日) | 徳島県徳島市・徳島文理大学 | 約400名 |
東北会場 | 7月10日(日) | 宮城県仙台市・宮城学院女子大学 | 約700名 |
熊本県学童保育連絡協議会(以下、熊本県連協)は、2016年6月8日、「平成28年熊本地震」の被災実態調査にもとづいて、厚生労働省に緊急要望書を届けました。当日は全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)も同行し、雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室・室長補佐と健全育成係長と懇談を行いました。
熊本県連協は、このたびの地震で大きな被害が出た地域を中心に学童保育の被災実態を調査し、その内容にもとついて、「子どもたちが過こすのに適切なスペースの確保」「施設の修理の公的負担」「被災実態の詳細な調査の実施」「補助金の申請や交付などの支援」「県の補助金交付方針の撤廃に向けた助言」「保育料の減免措置」「心のケア」の7点を要望しています(くわしい状況については、『日本の学童ほいく』の78ページをごらんください)。
* * *
全国連協は、熊本県・大分県の学童保育連絡協議会と協力して、このたびの地震で被害を受けた地域の学童保育指導員と保護者をはげまし、子どもたちの安全と安心を保障する学童保育のための支援について連絡をとりあっています。どのような支援が求められるにせよ、一定の資金が必要であることから、全国の学童保育関係者の方々に、募金への協力を呼びかけています。この募金は、熊本県・大分県の学童保育連絡協議会と相談のうえ、今回の地震によって甚大な影響があった地域への支援の取り組みに活用していく予定です。
各地域で募金への協力を呼びかけていただくための資料として、「平成28年熊本地震学童保育支援募金の呼びかけ」を作成しました。こちらは『日本の学童ほいく』2016年7月号(6月15日発売)に掲載するとともに、全国連協のホームページでも公表しています。ぜひご活用ください。
なお、全国連協では、「東日本大震災学童保育募金」についても、ひきつづきご協力をお願いしています。被災した地域の学童保育指導員と保護者をはげまし、子どもたちの安全と安心を保障する学童保育づくりのため、今後も息の長い取り組みが必要です。募金をはじめとして、さらなるご協力をお願い申し上げます。
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平成28年熊本地震 学童保育支援募金の振込先
・みずほ銀行(銀行コード:0001)
・本郷支店(店番:075)
・普通預金 4022450
・名義:全国学童保育連絡協議会
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東日本大震災 学童保育募金の振込先
・三菱東京UFJ銀行(銀行コード:0005)
・本郷支店(店番:351)
・普通預金 0012273
・名義:全国学童保育連絡協議会 代表 木田保男
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2016年6月17日、厚生労働省が全国児童福祉主管課長等会議を開催しました。会議では、児童福祉法等改正法の概要についての説明と、虐待防止対策推進室、母子保健課、家庭福祉課からの説明がありました。今回の改定の趣旨は、「全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの法定化、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の措置を講ずる」とされています。
「児童福祉法の理念の明確化」については、「児童の福祉を保障するための原理の明確化」「家庭と同様の環境における養育の推進」「国・地方公共団体の役割・責務の明確化」などがあげられ、第一条、第二条、第三条が改定されています。
国は、これまでの児童福祉法では、「児童が権利の主体であること、意見を尊重されること、最善の利益を優先されること等が明らかでな」かったとして、今回の改定によってそれを明確化したとしています。以下に改定後の条文の一部を揚載します。
第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
第二条 全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
A児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
B国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。
第三条の二 国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。
2016年5月14・15日、全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は愛知県にて、「『放課後子ども総合プラン』と子どもが過ごす放課後の居場所」をテーマに全国合宿研究会を開催しました。その概要を報告します。
はじめに全国連協から、「『新制度(質の改善)』と『放課後子ども総合プラン(量の確保)』をめぐる国の動向」について説明しました。
・2014年4月に省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(以下、基準)が公布され、これにもとづいて各市町村(特別区も含む。以下同じ)で条例が定められた。また、2015年3月には「放課後児童クラブ運営指針」(以下、運営指針)が策定された。2015年度から、各地の学童保育は市町村の条例と運営指針にもとづいて運営されている。
・2014年6月、国が「放課後子ども総合プラン」の推進を発表し、2019年度末までに学童保育について約30万人分を新たに整備すること、すべての小学校区で学童保育と「放課後子供教室」を一体的に又は連携して実施し、うち、「一体型」の学童保育と「放課後子供教室」を1万か所以上で実施することを目標とした。
・「一体型」は、「全ての児童の安全・安心な居場所を確保するため、同一の小学校内等で両事業を実施し、共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が放課後子ども教室の活動プログラムに参加できるもの」と定義されている。厚生労働省は、2014年8月や2016年1月・2月に開催した自治体担当者向けの説明会で、「実施にあたっては、特別な支援を必要とする児童やとくに配慮を必要とする児童にも十分留意」すること。「放課後児童クラブは基準に基づき生活の場として実施していく。『一体型』と『一体化』は違う」との考え方を示した。
そして、全国連協から、今年度の活動方針をもとに、「引きつづき、学童保育の拡充を促進する際には、『放課後子供教至』や『全児童対策事業』との一体化ではなく、それぞれの施策拡充と連携を図る仕組みを求めていく必要があり、『一体型』の実施に際しても、同様のことが求められる」と提起しました。
その後、地域の学童保育現場(大阪府寝屋川市・愛知県名古屋市)からの報告につづいて、「放課後の子どもの生活で大切にしたいこと」をテーマに増山均先生(早稲田大学)にご講義いただきました。増山先生の講義を通じて参加者は、「子どもの放課後」と学童保育の意義をあらためて学び、子どもに保障したい生活内容をたしかめあうことができました。
さらに、「放課後子ども総合プラン」をはじめとする各地の放課後施策の現状と、学童保育にとっての課題を交流し、「子どもの生活の場」である学童保育のあり方をあらためてたしかめあいました。
2016年5月18日の第8回一億総活躍国民会議で、「ニッポン一億総活躍プラン」(案)が示されました。一億総活躍国民会議」は、「我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、『希望を生み出す強い経済』、『夢をつむぐ子育て支援』、『安心につながる社会保障』の『新・三本の矢』の実現を目的とする『一億総活躍社会』に向けたプランの策定等に係る審議に資するため」に設置されたという会議です。議長に安倍晋三首相が就き、議長代理に加藤勝信一億総活躍担当大臣、構成員に塩崎恭久厚生労働大臣や馳浩文部科学大臣をはじめ、関係閣僚13名ほか、有識者15名が選ばれています。
2015年11月のとりまとめでは、「ニッポン一億総活躍プランに向けて検討すべき方向性」と、その対策のなかで、「出産後・子育て中も就業が可能な多様な保育サービスの充実」として「保育の受け皿40万人分→50万人分」が示されるにとどまっており、「放課後児童クラブ」には言及されていませんでしたが、このたびの「ニッポン一億総活躍プラン」(案)にはつぎの記載がありました。
◆(放課後児童クラブ・放課後子供教室の整備及び一体実施)
共働き家庭等のいわゆる小一の壁を打破するとともに次代を担う人材を育成するため、平成31年度末(2019年度末)までに放課後児童クラフ30万人の追加的な受け皿整備を進め、全小学校区に当たる約2万か所で放課後児童クラブと放課後子供教室を連携して事業実施し、その半分に当たる約1万か所で一体として事業実施する。さらに、放課後児童クラブについて経験等に応じた職員の処遇改善や業務負担軽減対策を進めるとともに、追加的な受け皿整備を平成30年度末(2018年度末)に前倒して実現するための方策を検討する。なお、処遇改善に当たっては、予算措置が執行面で適切に賃金に反映されるようにする。
* * *
これまで厚生労働省は、「一体型」と「一体化」について厳密に言葉を使い分けてきました。このたび、「連携して事業実施」「一体として事業実施する」との文言が使われていることは、意図的なものなのか、そうではないのか、注視が必要です。全国連協がこの件について厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室に問いあわせたところ、具体的な議論は、2016年5月末に閣議決定されたあとではじまるのではないかとのことでした。
共働き・一人親家庭等の子どもたちの毎日の生活の場である学童保育がその役割を果たすためには、「入所申し込みをして毎日利用する子どもたち」を対象として、「専用室」「専任指導員」が保障されることが不可欠です。先に紹介した全国合宿研究会で議論を深め、たしかめあったこともいかして、「学童保育と『放課後子供教室』が一体化されてしまっては、学童保育の役割が果たせないこと」を積極的に発信し、理解を広めていく必要があります。
2016年3月31日付で、放課後児童健全育成事業実施要綱の一部が改定されました。厚生労働省は各都道府県に、「『「放課後児童健全育成事業」の実施について』の一部改正について」という通知を発出しています。変更された内容を紹介します。
◆「別添1 放課後児童健全育成事業」
・8(3)に記された専用区画の面積についての記述に、「なお、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に係る市町村が条例で定める基準において、児童一人につきおおむね1.65u以上とする専用区画の面積に関する基準を満たしていない場合であっても、経過措置等により、当該基準に適合しているものとみなしている場合についても、本事業の対象とする」が加筆されています。
◆「別添2 放課後子ども環境整備事業」
・放課後児童クラブ設置促進事業…新設や、児童数増に伴う既存施設の改修、設備の整備・修繕及び備品の購入を行う際に出される補助金。新たに民家・アパート等が対象に加わりました。
◆「別添4 放課後児童クラブ運営支援事業」
・賃借料補助……民家・アパートなどを活用して新たに実施した学童保育の賃借料への補助金のことで、2015年に新規に設けられました。
説明文には下線部が加筆されました。「放課後児童健全育成事業を、学校敷地外の民家・アパート等を活用して、平成27年度以降に新たに実施した又は実施する場合に必要な賃借料(開所前月分の賃借料及び礼金を含む。)を支弁する事業」。
・移転関連費用補助……児童数の増加に伴い、実施場所を移転して受け入れを増やす際に必要な「移転関連費用」への補助金が新たに計上されました。
・土地借料補助……民間団体など(市町村、社会福祉法人、学校法人、公益社団法人、公益財団法人、特例社団法人、特例財団法人は対象外)が学校敷地外の土地を活用して放課後児童クラブを設置する際に必要な「土地借料」への補助(事業実施の初年度にかぎる)が新たに計上されました。
◆「別添6 放課後児童支援員等処遇改善等事業」
・5(2)に記された対象事業の制限等についての記述に、「本事業の趣旨に鑑み、経営に携わる法人の役員である職員については、原則として、本事業の対象とはならない」と、「原則として」の文言が挿入されました。
これまで、指導員が経営に携わる法人の役員(理事、幹事)を兼任している場合は「放課後児童支援員等処遇改善等事業」の対象にはならないとされていましたが、一定の条件のもと、役員を兼務している指導員も対象としてさしつかえないことになりました(本誌2016年5月号の82ページ参照)。
2016年4月18日、内閣府が「教育・保育施設等における事故報告集計」を公表しました。教育・保育施設などで発生した死亡事故や、治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故などについて、2015年中の一定期間に報告された数をまとめたものです。この集計では、学童保育での事故(2015年1月1日から同年12月31日の間に報告のあったもの)についてもまとめられています。
学童保育における事故の報告件数は228件でした。死亡事故についての報告はありません。負傷等の報告228件のうち196件が骨折によるものでした。事故の発生場所は施設内が206件で、そのうち136件が施設内の室外で起きています。
厚生労働省は、2009年に国民生活センターが行った提言を受けて、2010年から、市町村に重篤な事故についての報告を求めています。
子ども・子育て支援新制度のもと、2014年9月に「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」(出席者は有識者や関係者など)が開催されており、放課後児童クラブも含めた、事故の発生やその再発を防止するための措置について検討が行われていました。そして2014年11月の検討会中間とりまとめを受けて、事故報告制度の全股的な見直しが行われ、「重大報告の対象となる施設・事業について拡大」「重大事故の範囲の明確化」「報告様式、報告方法の改正と明示」の点が改正されました。
なお、内閣府は、内閣府・文部科学省・厚生労働省に報告のあった教育・保育施設等における事故の情報を、集約・データベース化し、ホームページで公表しています。
2016年4月14日夜、16日未明に発生した熊本県を中心とする地震によって、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
2016年4月28日現在、全国学童保育連絡協議会では、熊本県・大分県をはじめ九州各県の学童保育連絡協議会と連絡を取り、情報収集を行いつつ、支援の方法についても相談を進めています。
厚生労働省がホームページに掲載している被害状況のまとめでは、熊本県内には児童館49か所、放課後児童クラブ409か所、地域子育て支援拠点120か所、大分県内には児童館35か所、放課後児童クラブ293か所へ地域子育て支援拠点66か所があり、4月26日の時点の情報では、熊本県内575か所、大分県内372か所が調査済みであり、人的被害はなく、物的被害は熊本県内が80か所、大分県内が18か所となっています。このうち、放課後児童クラフは何か所なのかについては、厚生労働省に確認中です。
厚生労働省は、2016年1月19日と3月11日、自治体に向けて「放課後児童健全育成事業に係るQ&A(更新版)」を出しました。そのなかから2点を紹介します。
〈一の支援の単位を構成する「児童の数」について〉
放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(以下、省令基準)の第10条の4には、「支援の単位は、放課後児童健全育成事業における支援であって、その提供が同時に一又は複数の利用者に対して一体的に行われるものをいい、一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする」と定められています。このことについては、実際に出席した日数によって児童数を算出する市町村もあるなど、厚生労働省の見解とは異なる理解がされている実態もありました。
Q&Aの「一の支援の単位を構成する『児童の数』の算定について」では、毎日利用する子どもを「継続して利用することを前提に申込みをした児童」と明記し、事後の利用実績などによらず、「あくまでも、登録時の利用希望日数を基に算出する」と述べています。
また、「一時的に利用する児童」とは、「週のうち数日を利用することを前提に申込みをした児童」であることが示されています。なお、国の補助金は「児童の数」にもとついて算出されます。その際の「児童の数」についても、月の初日の登録実態を基準に、児童数を算出することが示されています。
国は、「毎日利用する児童(継続して利用することを前提に申込みをした児童)」は「1人」と数えること、一時的に利用する子どもについては、登録時の利用希望日数に応じて算出した数を加えて、省令基準に示した「おおむね40人」に収めることを求めています。
私たちは、学童保育では、子どもに安定した生活を継続的に保障することが不可欠であり、そのためには、子どもの集団の規模の上限を守ることと、出席している日だけでなく、欠席した日も含めて子どもの生活の継続性を考えて日々の生活づくりを行うことが必要だと考えています。「週のうち数日を利用することを前提に申込みをした児童」についても、「継続して利用することを前提に申込みをした児童」と同じように「一人」と数え、「人数規模の上限を守りながら必要な数だけ学童保育を増やすこと」が求められます。
〈「放課後児童支援員等処遇改善等事業」について〉
「放課後児童支援員等処遇改善等事業」の2015年度の実施要綱にはこれまで、「経営に携わる法人の役員である職員については本事業の対象とはならない」との記載がありました。実際には、「補助金を受けとるには法人格が必要」という行政からの要請で、これまで父母会・保護者会で運営してきた学童保育がNPO法人格を取得し、その際に指導員も理事になっているなどの事例があります。<br>
全国各地から、「そうした指導員も事業の対象としてほしい」という要望が厚生労働省に寄せられていました。3月11日付のQ&Aでは、新たな回答が示されていました。
「平成27年度は、役員(理事、幹事)は、給与規定や処遇等を決定する経営に携わる者であるため、放課後児童支援員等と兼任であっても、放課後児童支援員等処遇改善等事業の対象とはならない(役員報酬の有無を問わず)こととしていたところである。しかしながら、放課後児童クラブの運営実態に鑑み、平成28年度においては、原則としては、27年度の取扱いと同様としつつも、放課後児童支援員等が役員を兼ねており、かつ、放課後児童クラブの運営内容や放課後児童支援員等の賃金体系、処遇等については、理事会等の合議制により決定している場合など、当該役員に実質的な給与決定権がなかったり、当該役員と他の役員ではない放課後児童支援員等が平等に給与決定権を有している場合等については、当該役員である放課後児童支援員等は本事業の対象とする予定である」
「全国学童保育指導員学校」(全国学童保育連絡協議会主催)を、2016年度も全国8会場で開催します。くわしい開催要項については巻末の案内をごらんください(東北会場のご案内は2016年6月号巻末に掲載します)。
「全国学童保育指導員学校」は、学童保育指導員の資質向上と学童保育の内容充実を目的として開催されています。
2015年度から、都道府県が実施する「放課後児童支援員認定資格研修」(以下、認定資格研修)がはじまっています。認定資格研修の目的は、「放課後児童支援員」として必要な知識及び技能を補完し、省令基準と「運営指針」にもとづく「放課後児童支援員」の役割と育成支援の内容などについての共通理解を得るために必要最低限の知識と技能の習得、それを実践する際の基本的な考え方や心得を認識することです。
全国学童保育連絡協議会は、2015年12月の全国運営委員会で、「資格を取得することは学童保育で仕事をするうえでのあくまで入り口であること」「学童保育指導員の質と力量を高めるには自己研鑽と現任研修が必要であること」を確認し、2016年度の全国学童保育指導員学校もこれまでと同様の趣旨で開催し、規模・内容をさらに拡充することをめざすとしました。
学童保育指導員にとって、研修や学習は不可欠なものです。それに応じるべく各会場で準備が進められています。自発的・主体的・継続的に学ぶことができる場であることを伝えて受講を呼びかけ、都道府県域をこえて集いましょう。
2016年2月23日に開催された全国児童福祉主管課長会議の資料から、特徴的な内容を紹介します(資料は厚生労働省のHPに掲載されています)。
◆厚生労働省が行った、2015年度の放課後児童クラブの実施状況調査は、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」「放課後児童クラブ運営指針」の内容をふまえて、調査内容が大幅に変更されました。このたび、「利用に係る優先的な取扱いの状況」「利用料の減免」「おやつの状況」などを含むすべてのデータが公表されました。
◆「放課後児童クラブ運営指針解説書(仮称)」についての記述とともに、「特に放課後児童健全育成事業の実施主体である市町村担当者におかれては、本事業の趣旨、目的、事業内容を十分にご理解いただき、子どもの生活環境の更なる向上のために考えていただく必要があるため、設備運営基準と合わせて、運営指針を熟読していただくことが求められる。このため、実践者と同じ場で運営指針の学習会を開催するなど、双方で共通の理解を深め、放課後児童クラブの質の向上を図るための方策についてご検討いただきたい旨、管内市町村への周知徹底をお願いしたい」との文章が示されました。
◆放課後児童健全育成事業の適正化について、つぎの記述がありました。「平成26年度に会計検査院が実施した実地検査において、(中略)放課後児童クラブに登録している年聞平均登録児童数の中に、休会者などの継続的に利用しているとは認められない児童を含めていたことや、市町村から放課後児童健全育成事業を委託した者において証拠書類を紛失又は廃棄していたため、支払いの事実や内容が確認できない額が補助対象経費に含まれていたこと等による国庫補助金の過大交付の指摘を受けた事例が見られたので、各市町村においては、適正な補助金執行事務の実施についてご留意いただくとともに、各放課後児童クラフに対する周知をお願いする」。
◆2015年度の補正予算、「放課後児童クラブ環境改善整備推進事業」は、「放課後児童クラブ運営指針」で子どもの育成支援の目標や計画・日々の子どもの状況や育成支援の内容の記録などについて作成することを求めていることから、これらの対応に伴う指導員などの負担軽減を図るため、パソコンやソフトウェアなどの購入に必要な経費の補助を行うものです。購入する機器に想定されるものとして、「タブレット端末、パソコン、プリンタ、アクセスポイント、ソフトウェアなど」があげられ、実施要綱(案)と補助金交付要綱(案)が示されました。
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このほかに、「地域子ども・子育て支援事業実施要綱(案)」「地域子ども・子育て支援事業交付要綱(案)」も示されました。補助金の項目や補助単価の一覧はつぎのとおりです。
2016年度 放課後児童健全育成事業関係の補助単価はこちら