4.介護者,ボランティア

 在宅で療養されている患者さんは,常に「自分でできる範囲の事はできるだけ自分でやる,やりたい」という気持ちで生活されていると思います.しかし,障害の程度にもよりますが,どうしても自分の力でできないこともあります.その時,自分の手となり足となってくれる誰か(お世話してくれる人)がいなくてはなりません.
 ここでは,在宅療養をしていく中で,介助や身の回りの世話(炊事,買い物,洗濯,掃除など)に携わる介護者やボランティアの現状と今後のあり方について述べます.
 

(1)家族による介護
 在宅で療養されている患者さんの主たる介護者は,やはり家族が大半を占めています.その中でも母親に集中することが多いようです.
 家族による介護は,性格や考え方など,あるいは介護の方法を熟知しているので,介護する方も介護される患者さんも安心して接することができます.
 したがって一番身近な存在である家族は,介護される患者さんにとり最良の介護者と言えます.
 しかし,次のような問題点もあります.


3.身近な存在であるがゆえの問題
 普段の行動を良くみているため,介護者は「次に何をしたいのか」を察することができ,必要以上の手助けをしてしまうことがあります.また,逆に自分でできることも安易に頼んだりして,「自らやろう」という気持ちとの兼ね合いが難しいこともありがちです.


(2)ボランティア
 家族による介護は必要不可欠なものですが,時にボランティアによる介護や交流をもつことは本人は勿論,家族にとっても地域社会との関わりをもつことや視野を広める上で大変重要なことと言えます.
 地域によりボランティア活動に携わる方の人数やその種類に隔たりはありますが,厚生省による「福祉ボランティアの町作り事業(ボラントピア事業)」の開始から10年が経ち,ボランティアの発掘や育成に力がかけられ,ボランティアやそのグループの数は年々増加傾向にあります.
 婦人会,町内会,自治会なその団体や個人での登録,また近年,一般企業によるボランティア活動が盛んになってきています.

(阿部和俊)

   

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