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▼大久秀憲「ロマンティック」
大学時代の同級生だった北村。彼が教師として赴任している仙台の田舎の小学校。北村は、担当する野球チームの団員である安芸君の姉、瑞穂にいたずらを仕掛けた中学生を殴って現在のところ謹慎中――代わりにと、「僕」が呼び出された。
この瑞穂をめぐって「僕」と北村とのはかなくも美しい夏が展開される。文中には瑞穂とその弟の「安芸君」の、思春期の身体つきの生々しい描写が頻出する。それでも生々しさのみで終わらないところが作者の技量であろうと思えるし、「郷愁」をひとつひとつ虫ピンで留めて貼りつけた標本のような空間は、夏を舞台にしているのに暑苦しさを感じさせない。ついでに言ってしまうと、野球を扱っているわりに汗の臭いがまったくしないのもどうかとは思うんだが。(でもこれはこれで瑕疵と言うほどのものじゃないか)
瑞穂の年齢を書き忘れた。ここでは「14歳」としてある。舞台設定だけを詳細に書くと、単なるロリコン趣味的な話ではないか、と書評する側を困らせる。作者はそれを知ってか知らずか「ロリコン」という言葉も登場人物に言わせているし……。ミニモニにおける「ロリコン」というトレンドを先取りしたのか。(ちがう)
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