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▼清野栄一「デッドエンド・スカイ」(河出書房新社)
各章の初出時期は、
ブルターニュ 14-1(1999年)
デッドエンド・スカイ(1995年12月)
140BPM(1998年6月)
パラダイス・ホテル(2000年4月)
ブルターニュ 14-2(2000年7月)
となっている。
物語の主人公である博之は、初出時の「デッドエンド・スカイ」登場時に二十六歳で、「140BPM」のときは二十九歳、「パラダイス・ホテル」のときにはカメラマンを辞めてコンビニの店長になった三十三歳、昔ながらのブラザーである幸太郎やそのガールフレンドのカオリも、同様にして年をとっていく。そして場所も日本を越えて、異国の砂漠地帯にまで及んでいる。どこにいても、自分が自分で不在を感じているような彼ら。
「博之が何かを思い出したとするだろ? 昔のことじゃなくても、さっきおれは桃を食ってうまかったとか……でも、いくらこと細かに思い出してみたって、それは博之の世界でだけ成り立ってる話で、ほんとにあった現実とは違っちゃってるんだよ」
「それは、そうかもな」と博之はうなずいた。
「それがいっぱい積み重なって博之やおれがいるわけだろ?」(p67〜68)
著者のあまたなる経験が織りなす万華鏡が開花する世界。ただし異国への旅が絡むからといって、決して読者を置いてきぼりにしないし、登場人物たちの成長と無関係にも無情にも過ぎて行く歳月に、読者がそれぞれの閉塞感を解放していってもらえる水先案内人を見るだろう。(2001/07/17)
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