←前へ
次へ→
戻る

辻仁成「白仏」(文藝春秋)
 なんの検証もしないで勘だけで言うと、この作品には時代的考証の面で粗がありそうな気配があるのだ。時代は明治から大正昭和を経て戦後まで移り変わるのだが、登場人物がなぜか旧時代の人間というより、平成に生きている人々がそのまま、明治や大正を生きては懊悩し、日々を慎ましやかに過ごしているように見えてしまったり。喩えになってるかわかりませんが『るろうに剣心』が「バーチャル明治」などという冗談なのか本気なのかよくわからないキャッチフレーズをもらっていたけど、あれに近いような。背景は実在の明治時代で、当時の実在の人物まで出てきていながら、ちっとも明治時代じゃないような。
 駆け足で時代が進むせいか。
 主人公の周りだけただぐるぐる目まぐるしく変化させるばかりでなく(テーマが輪廻転生」ってことだからなんだろうが)サブキャラクターの緒永久や隼人や鐵造や清美の実像をもっと際だたせて欲しかった。(2001/08/02)
←前へ
次へ→
戻る