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▼小谷野敦『片思いの発見』(新潮社)
正統派論壇の位置から大衆週刊誌的視点で文学研究を行うこのお方。他の何を読んでも実は『もてない男』流の裁断方式が出現するんじゃないかと、ぼんやり思っていたけど本当にそうなんだからなあ。複数の風呂敷を広げて、畳まずに終わっているところも相変わらずのような。
本書のメインは「三田文学」に連載された『恋、倫理、文学』。
最初は片思いの話をしているのになぜか途中から「美人論」の話になって、恋に関係する美人の条件や、川端康成などの文学者における「男の女に対する視線」などなど……って、これ、どっちかと言えば『もてない男』のテキストだって言っても不思議じゃないような。らしいと言えばらしいんで、こういうところばかりリキ入れて読んでしまうんだけど。途中、有島武郎『或る女』と国木田独歩に関するテキストでかなり紙面を割いている部分は(僕にとって)霞んでしまった。
最後に「優男的な近代日本文学は、やがて中上健次や村上龍などの肉体性優位な文学へ移る」って……強引な。このふたりは別に恋愛文学の代表でもないんだけど。村上春樹はどうなるんだ、この場合。(2001/10/13)
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