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▼中上健次『軽蔑』(『中上健次全集11』(集英社))
1991年2月13日から10月17日まで朝日新聞上で連載され、翌年7月1日に単行本として刊行。中上健次はその翌月にこの世を去っているので、結果的には遺作。「結果的には」と言いたくなるのは、中上健次をそれほど読んでいない人間からしても「これが集大成」と思えるような作風じゃなかったからね。
新宿歌舞伎町トップレスバーの踊り子である真知子に、暴力団幹部とも関係している一彦――カズさんが言い寄ってくる。惹かれ合ったふたりは、真知子が踊り子の仕事を辞めて、カズさんの地元へふたりで戻って、結婚して慎ましく暮らす約束を交わす。しかし実際に戻ってみると、カズさんの実家とは大地主で、親類縁者はもちろんカズさんの周囲も、踊り子上がりの真知子を疎ましい目で見つめる。「自分とカズさんには、男と女、五分五分の関係しかない」と、自らの関係に執着し続ける真知子も、そしてカズさんも、自らの生き方に翻弄され続ける――。
新聞小説なので、山あり谷ありな展開なんですが、これは新聞小説で細切れに読んでいた方が臨場感あったような気がして。一冊分として読むと途中でだれてきて。せっかくの盛り上がりの部分がすんなりと過ぎていっているような。
新聞小説だから、なのかも知れませんが、やたらめったら改行が多い。中上健次ってもっと一段落が異様に長かったんじゃなかったでしたっけ、他の作品などは。どんな宿世の恨み言も愛の囁きも、すべて一文で言い切っているような箇所が多くて。(2001/10/28)
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