--- すべてのカナコファンに捧ぐ ---
▽ 別れは突然に その2 :雑文7 を一部改訂 (2000/07/23)
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そんなこんなで、カナちゃん&さかぼうのコンビから逃れられることがめでたく決定された時、私は思わずスキップしたものである。なにしろあのコワッパどもは、私の財布をハイエナのように狙っている小悪党である。そんな危険人物から逃れられるのならば悪魔にだって魂を売っても良いとさえ考えていたのだから、喜んで喜びすぎるということはないのだ。
しかし、当然のように落とし穴はある。私の異動ともなると、それはイコール彼らに私の財布をむさぼるカッコウの動機を与えてしまったも同然であった。
「送別会」と呼ばれるお食事会若しくは飲み会がある。これから新天地へと向かう人々を送る会である。もちろん残された有志によって催され、去っていく人を送りたいという優しい心で開く会である。今回の異動に関して言えば、カナちゃんとさかぼうは会を催す側、そしてこの私は送られる側というわけである。これはもう今更断るまでもない大前提の話である。この前提が崩されるようなことがあっては、まったくもって送別会の意義など無である。
しかしその前提を壊すことなく、通常どおりに事が運ばれたとしたら、どうしてここに書くような気が起きると思うか、いいや起きないだろう。そんな当たり前だコンチクショーなことは、カナコがいる限りあり得ないのである。
すなわち、会を催すのはカナコとさかぼう、金は私。という構図であった。なんだそりゃ。
さすがにこの事実を聞かされたとき、私はカナちゃんが冗談を言っているのだと思った。あまりにあっさりとカナちゃんが私に「お金はよろしくね。」と言ったとき、思わず「まかせといてくださいよ。」などとボケにはボケで返した。しかし、カナちゃんはまったくボケたつもりはなかったようだ。本気で金払えよ、と言っていたのだ。
私は少しだけ自分が可哀想になった。そこで、意を決してほんのちょっぴり反論してみた。(これは当然の権利のように思う)
「あの。こういうモノって普通は送る方が(代金を)もってくれるんじゃないんですかねぇ。」
「う〜ん。そうだけど、女の子に払わせるわけにはいかないでしょ。」
(自分で言うか。オマエは)
「え。でもカナコさん年上だし…」
「年上にはおごれないって言うの!?」(イキナリぶちキレ)
「そ、そ、そんなわけないじゃないですか。ジョーダンですよ。ジョーダン。」
そういうわけで、仕方なく財布の紐をといた私であったが、正直言ってこれほど理不尽な話はないと思った。だが、心の中でこれが最後だと言い聞かせ、我慢したのである。我ながら天晴れな忍耐力である。表彰モノと言って良いだろう。
ところで、場のセッティングはカナちゃんがすることになった。これは、「そういうのは送る側がやるものだ」というカナちゃんの言い分によるもので、確かにそれはそのとおりである。都合の良いときだけ送る側風を吹かすあたりに一抹の不安はあったが、そう言われてしまっては断るわけにはいかない。もしも断ろうモノならたいへんなことになるのは火を見るよりも明らかだ。
さて、前回の失敗を無駄にしないためにも、当日は財布に日頃私が持っている数倍のお金を用意しておいた。豪華絢爛な料亭に案内されてはボーナス直後でもなんでもない通常の3月末日のMY財布では、あっという間に決壊するのは目に見えている。そんなことになったらどうなるかわかったモノではない。カナちゃんやさかぼうが代わりに払ってくれるとは思えない。最悪、私ひとりで皿洗いのアルバイトをすることも考えられる。そんなことにだけは断じてなりたくない、そう思って、たくさんのお金を用意した次第である。
そして3月末日、異動を数日後に控えたある日、私はカナちゃんとさかぼうに連れられて、とある店へと赴いたのだ。
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