■◇■ ある理不尽の肖像 ■■■■

 --- すべてのカナコファンに捧ぐ ---

▽ カナコとテリトリ :雑文7 を一部改訂 (2000/08/20)

 例によってカナコネタの後の読者からのメールを受けての一文である。ホントに不思議なくらいカナちゃんに肯定的なメールが多い。できれば代わって欲しいくらいなのだが…。

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 気のせいかカナコ好きな人間が増えているように思う。と、いうのもカナちゃんの登場する話の時は、普段の倍のコメントをいただくのである。しかもかなりカナコに好意的なコメントである。以前あれほど忠告(というか警告)をしたにもかかわらずこのありさまなので、私としてもそろそろお手上げ状態なのだが、それでもやはり警告は続けなければならない。それはカナちゃんを知るモノとして当然のことなのである。
 そもそもカナコ(最近カナちゃんと顔を合わすことがないので強気に呼び捨て)の驚異が伝わらないのは何故か。私の文章が悪いのか、物好きな人間が世の中に溢れているのか、いずれにせよカナコのアホさ加減が伝わっていないようなので(伝わっていれば好意的に受け取られるはずがない!)もう一度、幾らか別の例を挙げて説明させていただく。

 カナちゃんは自分のテリトリに対して異常なまでの執着心を見せる。カナちゃんは10時出勤なので、8時30分から働いている私よりも随分と遅れて出勤してくる。すると、必然的にカナちゃんが出勤する頃には、私の机は仕事をするために書類が広がっていることになる。
 そしてそれは、僕とカナちゃんが隣同士の席ということと併せて、お互いのテリトリについて争いが耐えない理由となる。私の机は非常に狭い(正確には使用可能な範囲が狭い)ので、どうしても書類が机からはみ出しがちなのだが、カナちゃんは妙にこの「はみ出し」にうるさいのである。 1cm くらい書類がはみ出しているのを見つけては、

 「はみ出してる!

 と、文句を言うのである。センチどころかミリ単位でつっこみが来る。姑の風格である。姑が嫁に対し、窓のサンを指でなぞって、ほらここ埃がたまってる、とつっこむときのそれと何ら遜色がない。
 これはおそらく相当なテリトリのやりとりに関するトラウマを持っているに違いない。カナちゃんにはお姉さんがひとりいるので、姉との対立が生んだ悲劇を抱えているのかもしれない。いずれにしろ、カナちゃんは自分の領土内に他人(主に私)が踏み込むと(それがミリ単位であってもだ)自動的に敵と見なして襲いかかるのである。
 また、会社の備品でも自分が使うモノは自分が使うモノとして、確保しておく癖もある。たとえばはさみ。自分が普段使うはさみは、課内にあるあらゆるはさみの中でもっとも見た目が綺麗なものを自分専用のはさみとする。そして、それを私が使っているのを見ると、まるでメス猿が自分の子どもを奪われたかのように過剰な反応を見せる。まさに自分勝手を絵にかいたような娘である。

 しかしながら、このように自分のテリトリを執拗に守る習性は、ある意味動物の持つ本能的な性質とも言える。すなわちカナちゃんの行動の大前提として、「自分のことは自分ですべてまかなう」という基本的概念が存在するからこそ、他人に自分の領域に踏み込まれたくないという確固たる考えが備わっているはずなのである。
 これは言われてみれば当然のことで、他人から干渉されたくないと思うのならば、自分のことはすべて自分でこなさなければならないのは当たり前のことである。たとえば、権利を主張するには義務を果たしてからという大人のルールもこれに当てはまると思う。

 さて、カナちゃんは暗い部屋が嫌いである。部屋の一部でも蛍光灯が消えていると気になって仕事ができない。たとえそれが部屋の一番奥の隅っこの蛍光灯で、カナちゃんをはじめとして部屋内にいるすべての人の手元を暗くするといったことに影響を与えないとしても、である。
 すると、カナちゃんは私に蛍光灯を換えろと言う。言うまでもないと思うが、私は部屋の奥の蛍光灯の一本や二本消えていてもまったく苦にしない。それどころかすぐ頭の上の蛍光灯が消えていたとしても、とりあえず手が空いていなければ、蛍光灯などそのままにしてまず仕事を片づける。
 であるから、忙しい最中にそんなことを頼まれても、回答としては「あとでやっておきます。」ということになる。すると、

 カナコ、ブチキレモード突入!! (な、なぜ?)

 つまり、「今すぐやれ。」ということである。私はまったく苦にしない蛍光灯を(この忙しい最中に)すぐ換えろ、とそう言うのである。
 これはまったく理解に苦しむ。蛍光灯が消えて「問題だ」と考えているのは私ではなくカナちゃんである。この場合、蛍光灯を今すぐ換えたいという希望を持っているのは他でもないカナちゃんであるため、「自分の領域を侵されたくない」理論によれば、カナちゃんは自分で処理するはずなのである。
 百歩譲って、蛍光灯ひとりで換えられないから、ということで私に頼むとするならば、これはあくまでお願いのはずである。ならば、私の都合で今すぐ処理するか後で処理するか決められるはずだ。何故に切れるのか、カナコ。

 だいたいカナちゃんは、自分に都合が良すぎる。蛍光灯なぞは、暗くて嫌だと思うやつが、換えれば良いと思うのだが、何故かその類の仕事は私に回ってくる。私は、蛍光灯の一本や二本、まったく気にしないのだが、自分の仕事をそっちのけで先に蛍光灯を換えなければならない。無茶苦茶である。

 以上のように、カナちゃんはまったくの理不尽娘である。これで相当数のカナコ支持者が減ったはずだが、いかがなモノだろうか。「カナコムカツク」というご意見がたくさん来ることを望む。

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