■◇■ ある理不尽の肖像 ■■■■

 --- すべてのカナコファンに捧ぐ ---

▽ 暗黒より届いた一通のメール 〜ある男と女のメールの語らい〜 その3 :雑文7 を一部改訂 (2000/08/20)

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 いかに知恵を振り絞ろうと、理の通じない人間にはまったくの無駄骨に終わることが多い。(理由)があって(結果)どうだ、という話をしたとしても、それとは無関係に結論を出すのである。

 私がカナコに送ったメールに対して、彼女はすぐさまこのような返事をよこした。

 >>えっと、昼食会の件ですが、ホントに忙しくて
 >>なかなか都合が合わないと思います。
 >>日曜日ならなんとかなりそうなんですが平日はとても無理です。
 >>そんなわけなので、やっぱり次回にしましょうか?
 >
 >じゃあ、来週の火曜日か木曜日にしましょう。
 >どっちがいい?

 まったくヒトの話を聞いてない!!(さすがにブチキレ)

 私のメールを引用する意味などまるでない。てゆうか私のメールそのものがまったくの無駄である。カナちゃんの脳味噌の構造がどのようになっているか、非常に興味をそそられるところだが、それにしても壊れすぎである。
 なにしろ平日はダメだと言っているにもかかわらず、自分の都合の良い日を2日あげて、そのどちらかにしろ、と言うのだ。横暴とおりこして、ただの押しつけである。強要と言い換えても良い。なにが「じゃあ来週の火曜日か木曜日」だ!!いったいその「じゃあ」は何に対して「じゃあ」と言っているのだ!!
 複雑怪奇なカナちゃんのメールは、もはや私に反論の余地を与えない強引なモノだ。いつもの私ならば、このあたりでそろそろ限界を感じて、「ええ、じゃあ火曜日に…」というだろう。しかし、今回は、今回こそは、拒んでみせる。拒みきってみせる。ボーナスを守れ、守るのだ。私の財布の平和を乱す悪党を倒すのだ!!

 このようなメールに対して、断りのメールを送るのは2回目のメールにも増して困難である。何故なら、カナちゃんのメールを読む限り、AとBの選択肢の内どちらにしましょうか?という内容であるからだ。つまりカナちゃんは、AもBも選びません、という回答はあり得ないことを大前提としているのだ。
 考えれば考えるほど話がおかしいことに気付く。そもそもAもBも選びません、という内容のメールに対して、それを無視するようにどちらか選べ、などと主張してくるのは世界広しと言えどカナコ以外にいないのではないだろうか。そこに会話のつながりを全く求めていないというのはどういう了見か。
 もはやカナちゃんと私の間に人間同士の会話がなりたたないことは明白である。ゴンタならば、おそらくカナちゃんの都合の良い話をするのだろう。(というより、カナコが勝手にそう解釈しているだけなのだが)だが、私はゴンタではない。カナちゃんの思うとおりに動くロボットだと思ったら大間違いだ。

 私は再びメールをしたためた。細部に気を使い、カナコに付け入る隙を与えぬパーフェクトなメールだ。以下にその一部を抜粋する。

 >火曜日は1時から会議があるのでとてもお昼は無理です。
 >木曜日は野球の練習があるので昼休みは野球してます。
 >その次の週は月曜から金曜日まで
 >新しく入ったシステムの導入説明会があるので無理です。
 >ちなみに夜ってのはどうです?

 もちろん最後の一行は夜はカナちゃんが嫌だというに違いないということを前提に書いている。ここまでキチンと予定を書いてやればさすがに諦めるだろうという憶測の元、メールを作成したわけだが、いくらカナちゃんでもこればかりは火曜日、木曜日計画を断念せざるを得ないだろうと思う。
 しかし、カナちゃんのメールはしつこかった。火曜日、木曜日計画は断ち切ったが、それならば来月でも良いという内容のメールが届いたのである。
 考えてみれば、これは非常に妥当な考えで、何も無理にボーナスをもらってすぐに行く必要はないのである。私個人の意見を言わせてもらえば、ボーナスを過ぎて一ヶ月も経てば、ボーナスなど残っているはずもないので、ボーナス直後の方がよっぽどありがたいが、カナちゃんからすれば特にボーナス直後でなくともおごってもらえれば、いつでも構わないのである。
 これは逆に私の首を絞める結果になった。目先のことを考えすぎて大局を見誤った良い例である。今回だけ逃れればいいや、という安易な考えに走りすぎて、断りの理由を忙しいというただ一点に置いてしまったのだ。これでは、来月にしましょうと言われてしまえば断りようがない。仮に来月も忙しいと言えば、ではその次に、と言われるだけのことである。

 まさに八方ふさがり!!

 私はついに観念した。無理だ。この娘から逃れることは不可能だ。だが只ではおごるまい。何の見返りもなく奉仕するのはごめんだ。それでは犬死にと変わらない。そうだ、何か条件をつければいいのだ。何か酷い条件か、もしくは私に利益を与えるような要求をすればいいのだ。
 私は鬼畜と化した。私はカナちゃんにある条件をのませたのである。うひひ。

<< その4につづく >>

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