■◇■ ある理不尽の肖像 ■■■■

 --- すべてのカナコファンに捧ぐ ---

▽ ウィンドウショッピングデート : 未公開ボツ原稿に修正を加えました。(2000/09/04)

 結構前に書き始めてお蔵入りにしてたヤツに書き足しました。なんだか買いてて、これくらいの我が儘じゃカナコぶりが足りないなぁなんて思ってボツにしたのでした。これくらいなら普通の女の子でもあるもんねぇ。ハハハ…。

-----

 久々にカナちゃんとデート。名古屋の繁華街へ出かけたのだが、あっちやこっちや引き吊り回されたあげく昼飯もおごらされて散々な一日。そうなることは目に見えていたにもかかわらず荷物持ちとして付き合うにはそれなりの理由があった。以下、そうなるまでの経過。

 「カナコさーん、ちょっと教えて下さい。」
 「え。ナァニ?」(ちょっと嫌そうに。)
 「今度ね、知り合いの女の子が誕生日なんですよー。」
 「ふーん。で、それがどーしたの?」(さらに機嫌わるそーに)
 「そんな嫌な顔するコトないじゃないですかぁ。」
 「それでですねー、今回ちょっと気合い入れてるんで、プレゼント渡そうと思うんですけど、どんなモノがいいかなぁなんて。へへ。」
 「アタシ、リングが欲しい。」(すっぱり言い切る)
 「いや、その。アタシじゃなくて。」
 「アタシには何も買ってくれないのに、相談だけするわけ!?」(意味不明!!!
 「いや、その、そういうんじゃなくてですね…。ちょっと聞いてみただけ…。」

 「女の子が欲しいモノなんて同じなの!!」(睨みを利かせながら)

 「は、ははは。そ、そうなんですか。どうもありがとうございました。」(もう聞くのよそうと逃げ腰気味)
 「あ!!そうだ、次の土曜日あいてる?」
 「え。な、な、なんでデスカ?」(密かに嫌な予感!!兎の感性が逃げろと僕に囁いている!!)
 「買い物に行きたいと思ってたんだけど、彼が忙しいみたいだから、ちょっと付き合ってくれない?」(満面の笑顔!
 「え、えーと、その、そ、そ、そうだ!!土曜日は…」
 「はい決まり!!ついでに指輪も選んであげるから。」

 というわけで、名目上は私の用事に付き合うためにカナちゃんがわざわざ付いてきてくれると、そういう事態になったのである。でも実際は明らかに僕が小間使い。
 とは言え、私にもメリットが無いわけではない。ここはひとつカナちゃんの機嫌をとりながら私の用事をすませ、その後テキトウにいいつくろって早めに帰してもらおうという作戦でいくことにした。だが、コトはそれほど簡単ではなかったのである。
 当日カナちゃんを迎えに行くと、カナちゃんは、まずカナちゃんの買い物をすませるという案を提示してきた。これでは予定が丸つぶれなので、私は必死でカナちゃんを説得しようとがんばった。とりあえず私の用事を先に済ましてしまえばアトは好きなようにできるじゃないか、とカナちゃんに説明した。どうせカナコの買い物など大したモノではないだろう。
 なんとか説得に成功した私は、まず誕生日のプレゼント買いに行くことにした。このあたりカナコはそこそこに働いてくれたと思う。ただ、最後の最後まで私の物も一緒に買えと無茶を言っていたが、さすがにそれを聞き入れるのは不可能だった。(だって金ないもん。)

 そしてそのあとカナコの買い物に付き合うことになったが、私としてはそれほど長い時間を見込んでいたわけではなかった。それどころかカナちゃんの口振りではほとんど買う物は決まっていたような雰囲気だったので、意外にすぐに終わるのではないかという淡い期待も抱いていた。
 しかしそれは大きな間違いだった。女の買い物には付き合うモノではないと世間ではよく言うが、それを遙かに上回る時間と労力を惜しげもなく使うことになった。値段と品物を丹念にチェックし、それを数軒の店で行う。そしてそのなかで最も良い物を買うのである。
 確かにこのような買い物の仕方は女性特有の方法というわけではない。当然私でも同じようなことをするだろうし、また女性ならば多少なりとも時間がかかることは覚悟の上である。が、しかし。しかしである。10時から繁華街をうろつき始めて、昼飯の1時間を除いて、立ちっぱなしの8時間である。丸一日、買うのか買わないのかわからないような物を延々と探し続けるこの苦痛!!しかもその間、恐るべきくだらない会話に終始付き合わねばならない馬鹿馬鹿しさと言ったらない!!普段職場ですらこんなに会話はしないだろうというくらいの会話を余儀なくされ、私は心身共に超疲労状態に陥った。アリナミンVくらいではとても立ち直れないくらいにひどく!!
 会話の内容は実につまらない内容である。私はピンクが好きだとか、赤は似合わないだとか、MR2(※当時私が乗っていた車)は狭いからもっと大きな車に換えろだとか。まったく世の中間違っているとしか思えない。おまけに昼、夜と食事代は私持ち。仕方ナシに付き合ってあげたのだから、ご飯くらいおごれということらしい。(けれども時間的な内容を見るとどちらが付き合っていたのかは一目瞭然である!!)

 午後9時過ぎ、ようやくカナコを家まで送っていき帰路についた私であった。疲労困憊とはこのような状態を言うのだろうとひとり深くうなづいたものである。女性の、特にカナコの買い物には付き合わないと、このときばかりは真剣に考え、以後カナコの買い物には付き合わないことに決めた。誠にもって賢明であると思う。
 ところで、この日カナちゃんは散々ヒトを連れ回したにも関わらず、結局何も買わずに家路についたのであった。ウィンドウショッピングとはかくあるものである。ニンニン。

Library. ▽ Top. ▽ Back. ▽ Next.


Entertained by Teshi.