■◇■ ある理不尽の肖像 ■■■■

 --- すべてのカナコファンに捧ぐ ---

▽ ある男と女の会話その6:(2001/07/16)

 ここひとつきほど、ちょくちょくカナちゃんに呼ばれる。やれエクセルがうまく動かないだの、やれ画面が青くなっただの。マイクロソフトのせいでカナちゃんにこき使われるのはあんまり納得いかない。

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「ちょっと通知文書つくってたら、パソコン固まっちゃったのよぅ。なんとかして。」
「も〜。またですかぁ。せめて動かなくなったら Ctrl+Alt+Delete 試してから呼んで下さいよぅ。ここまで来るのも楽じゃないんですよ。遠いし、暑いし…。」
「それ強制終了でしょー。せっかくアタシが1時間かけて作ったのに全部パーになっちゃうじゃないのよ。」
「仕方ないじゃないですか。固まっちゃったんだから。」
1時間かけたの!
「わかりましたよ。んでも、俺にもどうすることもできないんですよぅ。諦めて下さい。いい?」

ヤダ!!(ヤダ!じゃないっつーの!)

「嫌なのはわかりますけど、どうしようもないんですよ。ホラ、キー入力ナニも受け付けてくんないし。」
「じゃてしくんが打ち直してくれる?」(意味不明!
「なーーんで俺がそんな……」

やるのっ!!!!(遮りながらっ!)

「……。わかりましたよぅ。でも言われるとおりに文書打つだけですよ。猛スピードで打つから、誤字脱字の保証もしません。それでもいい?」
「う〜ん。しょうがないわねぇ。じゃそれでいい。」
「じゃ強制終了します。」
……………………………
「ほいほい。再起動終わり。じゃ打ち込みますから、原稿読んで下さい。」
「はい。じゃいくよ。どれくらいのスピードで読めばいい?」
「んー。そこそこ早めでいいですよ。猛スピードで入力するから。」
「わかった。じゃいきます。大事な書類なんだからなるべく間違えちゃだめよ。」
「はいはい。」

ケーキバイキング大会のお知らせ!

「って仕事関係ないじゃん!!!」
「誰が仕事の文書だって言ったのよ?」
「え。だって普通さぁ…」
誰がシゴトの文書だって言ったのよ????」(おどし?)
「い、いえ。言ってないです。」
「じゃ続けるね。」
「は、はい……。」
”やっほーみんな元気?”
「ってそれ思いっきりハナシかけ口調じゃん!!」
「文句あるの?」
「え、いや、その普通案内状つったらもっとこう丁寧な文書で…。」
「例えば?」」
「んと、”初夏のまぶしい日差しが心地よい6月です。みなさまいかが……”とかさぁ」
「ううーん。それもそうね。じゃあ、てしくん考えて冒頭かっこよくしてよ。」
「って俺、打ち込むだけって言ったじゃないですかぁ。」
いいから!」(ナニがどういいのか…)
「う、うう。なんとなく納得いかないけど…。じゃ、こんなのどうですか?”このくそ暑いのにマジメに仕事しているヴォケなみなさんこんにちは!”」
しばくよっ!!
「じょ、冗談ですよぅ。普通に行きましょう、普通に。えっとそうだなぁ。やっぱ文頭は季節の挨拶がテキトウですよね。んじゃ、梅雨時なんで梅雨の話から入りましょうか?」
「そうね。辞世の句ってやつね。」(チガイマス)
「ではマジメに。えーと”体中を襲う梅雨の不快なジメジメ感が心地よい6月になりました。あの気色の悪い憂鬱感と虚脱感の中、みなさまいかが……”」

どこが辞世の句よっ!!!!」(だからチガイマスって)

「あは、あはは。冗談ですったらぁ。マジメに書きますよ。(ってなんで俺が書かなきゃいけないんだよ、こんなくだらないモノを…。)」
「なんか言いたいことでもあるの!?」(ギロリ!!)
「な、な、ないですよぅ。心の中読むのやめてくださいよぅ。」
「じゃ黙って書きなさい。」
「…はい。」

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 こうして僕はカナコの完全なるプライベートなケーキバイキング大会の詳細について案内状を書かされた。しかもわざわざショートケーキの絵まで張り付けて!!世界広しと言えど、こうまでつくしてくれるカワイイ後輩の男の子なんているだろうか、いや断じていまい!!しかも!!!

何の見返りもナシ!!

 いやむしろ見返りなど求めようモノなら限界を超えた悲惨なイジメに遭うこと間違いナシ!これって拷問とか奴隷とかそういう類の扱いじゃなかろうか。てゆうかここって日本だよね?日本て奴隷制度とかないんだよね?そんで僕も日本人なんだよね?間違いないって誰か言ってよ。

 というわけで、あいかわらずのカナコっぷりに悩まされ続ける僕であるが、この命ある限り、腹いせにカナコの理不尽さを世に知らしめていこうと思うのである。

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