■◇■ ある理不尽の肖像 ■■■■

 --- すべてのカナコファンに捧ぐ ---

▽ コナマイキスト:雑文7 act.10 を一部改訂 (2001/11/21)

 坂田の話もこっちにまとめとこう。って今さらだけど。

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 どこにでも小生意気な小僧というのはいるもので、うちの職場にもいっぴきいます。そういうのが。昨年(1999 年)の4月に高卒で入ってまいりました坂田君、通称さかぼうは、誠にもって小生意気な小僧です。

 イマドキ、初対面で6つ年上の人に対してタメ口を叩くというくらいでは小生意気の称号はあげられません。そんなものは当たり前です。小生意気界では一般常識の中の一般常識です。その程度のコナマイキストは世の中には山ほどいるわけでありまして、当然さかぼうもそれくらいは軽くクリアしています。

 一応僕のことを「てしさん」と呼ぶので、かなり低いレベルのモラルは心得ているはずです。なのに、なぜタメ口なのかはちょっと僕如きのノウミソでは計り知れないのですが、とにかく僕に話しかけるのに「あのさぁ」と言うのです。最初は「僕個人」がなめられているのかとも思ったのでちょっと連れ出して懲らしめてみました。いえそんな非道いことはしていません。グーでなぐっただけです。大丈夫です。

 「顔はやばいよ!ボディにしときな。ボディに。

 ということなので、ボディのみです。絶対ばれません。ま、それはさておき、それくらいしておけば「あのさぁ」は消えるかと思ったら出現率は確かにうんと下がったのですが、やっぱり完全には消えません。しかも、僕だけにそう言っているのかと思いきや、どうやらうちの係長にも同じように話しかけているようなのです。僕専用ならばまだ少しは救いようもあったのですが、やはりコナマイキストとしては、所詮「何年か先輩」というだけで、「肩書きは自分と同じ」程度の僕にタメ口をたたくくらいでは物足りないようです。

 先日見た光景では、係長に起案文書を見てもらおうと「あのさぁ」と話しかけていました。両手はズボンのポケットにインサートしたままです。端から見るとけっこうカッコイイです。イメージ的には、

 「コラ、オマエいったいいくら金借りてると思ってンだ?」

 と言っているようなカンジです。念のため言っておきますけど、さすがに語尾には「ですます」付いてます。付着しちゃってます。おまけみたいなもんなんだろうと思いますが。ただ呼びかけと態度はかなりのコナマイキストです。見ていてハラハラすることも多いのですが、これまたあとで別室に連れていってあげて矯正します。大丈夫です。ボディだけですから。

 まぁ矯正したからと言って、さかぼうが言うことをきくかというとそんなことはないんですが、やらないよりはかなりマシです。僕もさかぼうの将来がかなり心配なので、僕の貴重な時間を費やしていろいろ教えてあげている次第ではあるのですが、なかなか難しいものです。

 ところでさかぼうは今19歳ですが、22歳になる彼女がいます。あ、今むかついたみなさん大丈夫です。ちゃんと愛のムチをくらわしときましたから。もちろんボディに。さかぼうの彼女に一度会ったことがあるのですが、これがまたいい娘です。さかぼうにはもったいないのですが、本人がいいと言っているのでこれは仕方がありません。2580歩くらいゆずってさかぼうと彼女はお似合いということにしておきましょう。

 彼女の話ではさかぼうは彼女に時折格好の良い夢を語るようで、「今にビッグになってやるぜ。」とか「俺はサラリーマンじゃ終わらない。」くらいのことを言っているそうです。彼女ははっきり言ってオトナなので、それをほほえましく見ているのだそうですが、さかぼうはまんざら冗談というわけでも、若気の至りということでもないらしくかなり本気(マジ)です。先日なんか、昼飯をいっしょに食べに行ったときに、僕に向かってこんなコトを言っていました。

 「てしさんも夢は持った方がいいッスよ。こんな職場でつまんない仕事してないで、なんかもっと大きなコトやりたいじゃないですか。人生一回きりですよ。」

 つーか、「こんな職場」で悪かったな。うだつのあがらないサラリーマンで悪かったな。女にモテなくて悪かったな。貧乏で悪かったな。つまんねーホームページで悪かったな。と、そこまでは言ってないですか。そうですか。でも大丈夫。行き場のない怒りはちゃんとさかぼうで発散しておきましたから。重ねて言いますけどボディです。ボディ。だから全然大丈夫。

 小生意気界でも気鋭をあげるさかぼうですが、自覚はまったくないようです。まぁ自覚があるようじゃ小生意気とは言えないので、ある意味当然なのですが、とにかくさかぼうと一緒にいるとキレそうなのを通り越して、笑いが止まりません。そういえば、職場の先輩2人と僕とさかぼうで麻雀をしたときなんかは、先輩がさかぼうの減らず口を叩き直そうとして、いろいろ説教をたれたら、さかぼうは勢い余って「うるせー!」って言ってしまいました。もちろん僕がフォローしておきましたが、その時ばかりは先輩と一緒に別室へ行くことになってしまいまして、僕がずっとボディで我慢していたのに、残念ながら顔に一撃愛のムチをいただいたようです。

 これからのさかぼうの活躍も楽しみですが、ボディじゃ満足できなくなりそうなので、本当はなるべく離れていた方が無難なのかもしれないなと思います。さかぼうへのファンレターは(やっぱやばいので削除)まで。

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