#007 夏休み。 1998/7/17(2001/8/15改訂)
そろそろセミの鳴き声が聞こえてきそうな雰囲気だ。7月生まれである我が輩は、毎年夏が来るのが楽しみで仕方がない。「夏は俺の季節だぁ!」と、勝手に我が物顔で俺の季節呼ばわりして、街を闊歩するが最近夏が短く感じて少し寂しい。気温は文句なく上がってくれるし、行き交う人々の露出度も申し分ない状態だがいかんせん期間が短いのだ。
夏生まれの子どもは夏に強い。と個人的な見解を持っているが、夏に強い夏生まれは、反面冬の弱さにも定評がある。我が輩もその例にもれず冬は親の仇よりも憎い。冬が来る度に南国へ脱出したい欲望にかられるがそう簡単にはいかないものだ。毎朝6時に目を覚ます度にあぁまたこのあたたかい布団から出なければいけないかと嘆くのだ。
さて、夏ともなれば学生たちにはお待ちかねの夏休みが来る。そして同時に試験期間も連れだってやってくるのだ。学校によってまず夏休みがあって試験があるパターンと試験のあとに夏休みがあるパターンと2通りある。前者の目論見はおそらく学生が夏休みに遊びすぎないように試験の勉強もしておけよ。というものだろう。
学生にとってどちらがいいのかは非常に微妙だ。夏休みを目一杯遊ぶつもりなら嫌なことは先にやっておいた方がいいかもしれない。しかしその分確実に夏休みが来るのが遅くなる。それは、まわりの友達の中に夏休み先パターンの学校の学生がいると非常に歴然としてくる。ある日夏休みが先パターンの学生が、夏休み後パターンの学生のところに遊びに行きこう言う。
「あれ。おまえんとこ、まだ休みじゃねーの?え?試験?
そんなのほっといて遊びにいこーぜ!」
こんなのが来る日も来る日も何人も何人も来るのである。そう。我が輩が学生だった頃、見事に夏休み後パターンの我が輩以外、当時連れ立っていた連中全員夏休み先パターンの学生だったのだ。これはもうホントに困る。勘弁してくれ。といいたくなる。こっちは試験だというのに、夜中に数人で訪れてはさんざん麻雀やら飲み会やらをして帰っていく。当然試験勉強などできない。すると当日ぶっつけ本番になってしまうのだが、それはそれ。適当に裏技を使いながら試験をなんとかクリアはするが、それにしても勘弁してもらいたい。だいたい次の日朝早く起きなければいけないのをわかっていて夜更かしするその緊張感。明日は試験だとわかっていて夜遊びするその緊迫感。えも言えぬものがある。しかし、まぁどちらがいいかは微妙である。というより友達次第なのかもしれない。
しかしこれが試験が終わると事態は急変する。立場が完全に入れ替わるのだ。試験さえ終えてしまえば自由。自由。自由。試験の心配をすることもなく、明日の朝早起きしなければいけない。といういわば脅迫観念的思考も要することなく、自由気ままに遊びつづけることができるのだ。逆に夏休みの後に試験がある学生たちは夏休みの終わりが近づくにつれて、だんだんと青筋をたてて勉強タイムに入っていく。いままでの楽しい毎日がウソのように突如としてそれは訪れる。実に愉快だ。そしてある時、試験の時に遊びに来られて迷惑していた学生が、夏休みの後に試験を行うパターンの学生の家へ訪問し、あの時の恨みをはらそうとする。すると・・・。
そう。その頃には我が輩以外の人間は皆試験対策期間に入っているのだ。たったひとりで遊ぶこともできず、誰かを誘おうとも試験だからダメといわれ、あげく強引に遊びに行っても迷惑だと罵られ、まったくもっていいことがない。やはりどちらがいいかは微妙である。というより友達次第である。数的に5分5分であればなんとかなるが、我が輩のように1対9であったりすると、もういかんともし難い状況に陥ってしまうのだ。
学生諸君。どうか夏休みは有効に使ってくれたまへ。