▽ 雑 文 

#029 月が欠けたらうさぎはどうなる。 (2002/8/10 改訂)

 時は世紀末1999年8月。ノストラダムスの大予言は本当にはずれたのだろうかと世間でにわかに騒がれつつあったが、ノストラダムス愛好家たちは冷静な口振りでこう語った。

 『まだ予言は生きている。グランドクロスと呼ばれる占星術上で天体がほぼ十字形に並ぶ
  その日こそ人類の最後なのだ。』

 そして、グランドクロスがおころうとするその日。20世紀最後の天体ショーと謳われた、皆既日食は始まった。それと時を同じくして、ワタシの元へ舞い込んだ1通のメール。それにはこうかいてあった。

 『月がかけるとウサギはどうなる?』

 ワタシはこの質問にこたえるべく、ペンを取ったのであった……。


以下ワタシの回答メールから抜粋:

>Dear ****
>メールどうもありがとう。さっそくだけど
>月が欠けたらウサギはどうなるかお答えしましょう。
>まずその前に、簡単に基礎知識を教えます。
>だらだら文章にするのも何なので、箇条書きにします。
>いいですか。
>
>1.月は地球の衛星である。
>2.地球は太陽系の惑星である。
>3.太陽系は銀河系に所属する。
>4.銀河系は宇宙空間の一角である。
>5.宇宙空間には大気は存在しない。
>
>以上が、宇宙空間の基礎知識です。
>もうひとつ基礎知識。
>引力についてです。
>引力というのは、物体Aと物体Bがお互いに引き合う力です。
>ニュートンという人がリンゴが木から落ちるのを見て
>その存在に気づいたというエピソードはあまりにも有名ですが、
>引力というのは物体の体積に比例します。
>簡単に言うと、大きい物体であれば大きい物体であるほど
>その引っ張る力(=引力)は大きくなるわけです。
>重力という言葉がありますが、これは引力の中でも特に地球が何かを
>引っ張る力のことを言います。
>重力(=1g)は、地球上にあるあらゆる物体を引っ張っています。
>人間も空気もなにもかもです。
>つまり、世の中のすべての物体は、
>常に自由落下(=重力にひっぱられて自然におちる。)しているわけです。
>ところが、引力というのは距離によってその力は小さくなりますので、
>遠くの惑星までは落ちてこないと言うことになります。
>逆に月というのは重力に引っ張られて、落ち続けているわけです。
>
>さて、ここからが本題。
>地球上の空気ももちろん重力の影響を受けていますので、
>大気というのはある程度の高さまでしか存在しません。
>大気が存在するところを大気圏とよびますが、
>上記の理由により、地球上で精製された大気は
>外には流れていきません。
>つまり、いわゆる宇宙空間には大気は存在しないと言うことになります。
>
>そこで、ウサギというほ乳類の話が質問に上がっていますが、
>ほ乳類は大気中に含まれる成分のひとつである酸素をつかって
>エネルギーを得ます。呼吸し、血液中に酸素を送ることによって
>その生命を維持しているわけですのでもし酸素がなくなってしまえば
>生きていくことができません。ここでまではいいでしょうか。
>
>次に月について少し考えましょう。
>月というのは前項でもあげましたとおり、我々がすむ地球の衛星です。
>宇宙空間のなかを重力によってひっぱられ、地球とバランスをとりながら
>地球のまわりをぐるぐるとまわるわけです。
>酸素というのは水がなければ精製されませんので、月は自ら
>酸素を作り出す能力がありません。
>また、先ほどの説明でも結論がでたように、地球上の大気が月の引力圏へ
>流れることもありません。
>要するに月には酸素がないことがわかります。
>ほ乳類が生活するためには酸素は不可欠ですので
>ウサギが生息するには困難な状況なわけです。
>
>さて、ここまでで得た結論を整理してみましょう。
>1.月には空気はない。
>2.ウサギが生きて行くには空気が必要。
>
>この二つより
>「月にはウサギはいない。」
>という結論が導き出されます。
>
>今、与えられた命題は
>「月がかけたらウサギはどうなる?」
>というものですが、この命題ではウサギは月にいますので、
>上記結論をふまえてさらに分析しますと、いくつかの仮説が浮かび上がります。
>
>a)宇宙飛行士の手によって、実験用ウサギが月に運ばれた。
>b)おそるべき怪力な人間(もしくは機械)によって、
> ウサギを月面にむかって放り投げた。
>c)酸素を必要としない新種のウサギである。
>
>しかし仮説(b)には、さすがに無理があります。
>重力に逆らって月面へ届くほどのスピードをウサギに与えるには
>物理的に不可能な天文学的数字が必要です。
>さらにもしそれが可能であったとしても
>おそらく月にたどり着くまでにウサギは死んでしまうだろうと思われます。
>となると、a)かc)の仮説が有力になります。
>
>仮説c)では、新種のウサギとありますが、生命体である以上
>酸素なくしていきていけるわけがありません。
>そうなると、もしかりにウサギの形をしているとはいえ、
>ウサギの進化系とは考えにくいと思いますので、
>ウサギの新種というよりもむしろ、たんなる新しい生命体(?)で
>あるといえるでしょう。
>そうなりますと、これはウサギではなくなるので、
>命題で与えられた条件に反します。
>よって仮説c)は却下。
>
>さて、残る最有力候補の仮説a)をかんがえます。
>世界規模の宇宙ロケット打ち上げとなりますと
>今の時代全世界に衛星放送で中継があるはずです。
>そう考えるとおそらく、極秘でNASAかロシアあたりが行っている
>実験と考えられます。
>極秘で行われた実験ロケット中にウサギを入れ、
>これを月まで飛ばします。
>そして無事月上にたどり着きました。なんの矛盾もありません。
>もちろんウサギには窒息しないよう、酸素マスク等宇宙用の
>装備がしてあります。
>
>さて命題のもう一つの条件
>「月がかけたら」についても考えなければ行けません。
>月がかけるということに対し、いくつか仮説をあげます。
>1.月食
>2.巨大隕石の衝突によって月がかける。
>3.月の風化
>
>3の程度ではかけるという日本語を使うとは思えませんので
>3は却下します。
>すると1か2のパターンにおさまりそうです。
>ですが、2の場合はむしろかけるというより
>穴があくはずですのでこれも状況的にはあてはまりません。
>するといちばん妥当な月食か日食が残ります。
>
>はい。それでは2つの条件で妥当な仮説をつなげますと、
>「日食もしくは月食になったとき、
> 極秘実験によって月に連れられたウサギはどうなりますか?」
>という質問になります。
>
>日食、月食というのはあくまで
>地球上からみてどうみえるか。という現象なので
>今月面上にいる、実験体のウサギには何の影響もあたえません。
>それよりも実験されていることが気になるくらいです。
>
>と、いうことで、結論
>
>「どうもならん。」
>
>です。長かったですねぇ。
>ちゃんと読みましたか?エライですね。
>よくがんばりました。(書くのも疲れた。)


 と、よくこうもまぁ口からでまかせがつぎつぎで出てくるモンです。まともなことも言ってそうに見えますが、乱暴な論理展開+あやふやな知識が露呈しまくってます。しかし、まぁ普通の人をだますにはこれくらいがちょうどいいようです。

 ま。グランドクロスとはまったく関係ありませんが。なんとなくメール整理していたら出てきたので乗せました。だからなんなんだ。

Top. ▽ Back. ▽ Next.


Entertained by Teshi.