真夜中の脳みそ
詩集「半熟卵」(Update:2001.
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コラム「午前3時の天気予報」(Update:2004.
8.21.)
AIBO日記(Update:2003.11. 3.)
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「紺野」とは?(Update:2004.
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1995年
目次
春を待つ
光ある景色は幻となり果て
悲しみにじむ瞳に雨が降る
久遠の城も瓦礫となり
神話も信仰も灰になった
寒く厳しい冬は
春の喜びを増す演出
春を輝かせる演出
今は忘れ去られた草や樹が
陽射しを浴びて輝き出す
喜びの時間が来たら
渾身の力を込めて鐘を鳴らそう
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大樹の傍らで
揺れる桜雲(1.)
薫る囀り
包み込む木洩れ日
歌うせせらぎ
見えているか
聴こえているか
感じているか
生命(2.)の喜びを
循環する糸の旋律
後ろ向きの消えた記憶
透過する無数の分子
上昇する無限の意識
目を閉じ
右手に風を感じている
- 桜雲.....おううん
- 生命.....いのち
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記憶の孤独
記憶は失われることを知っていた
記憶を失うことが恐かった
忘れることが不安だった
忘れまいとして頭の中で繰り返した
何度も繰り返すうちに
記憶が変化することに気付き絶望した
記憶の歪曲を恐れ
夢を見るのが嫌いだった
眠るのが恐かった
失うことを恐れて
夜何度も目を覚ました
薄れたことに気付くと
悲しくて涙が出た
忘れてしまう自分に表現できない焦燥感を抱き続けた
15年以上の月日が経ち
次第に邪念が多くなり
忘れることを当然と思うようになっていた
残っているのは
焦燥感の記憶
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ファシスト達のプロパガンダ
君は翻る旗を見たか
湧きあがる喚声を聞いたか
こみあげる熱気を感じたか
渦巻く歴史の中にいるか
君は曇りのない顔を見たか
割れんばかりの拍手を聞いたか
存在を賭けた願いを感じたか
うごめく時代の中にいるか
前を見よ
惑わされるな
信じよ
拳を掲げよ
神となるか悪魔となるかは
未来が決める
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刻印
うだるような昼下がり
交差点の真ん中で
彼は立ち尽くしていた
突き刺す奇異の視線
クラクションの嵐
飛び交う罵声
彼は微動だにせず
ずっと一点を見つめていた
その方向に何があるのか
多分彼にしかわからないのだろう
気が付くと彼の姿はなかった
辺りにはその痕跡すらなく
人も車もスムーズに流れていた
時間だけを除いて
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初冬
白い息
かじかむ指
色は落ち
半身は影
暖を求め
彷徨い歩く
心は
うつろなまま
空風が運ぶ
秋の断片
瞳が追うのは
空ではない
老いながら
先達となる季節
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雪の朝
-3℃の水
舞い散る微粒子
降り積もる音もなく
大地は密やかに純白
動かざる現在
足跡だけ汚れて
1億5千万kmの光
厚い雲に遮られる
奪い取る全ての熱を
大気は静かに輪廻
鉛色が途切れ
時間が始まる
暝き夜明けに
薄く紅をひく
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