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真夜中の脳みそ

詩集「半熟卵」(Update:2001. 9.16.)

コラム「午前3時の天気予報」(Update:2004. 8.21.)

AIBO日記(Update:2003.11. 3.)

アルバム(Update:2003.1.31.)

「紺野」とは?(Update:2004. 8.21.)

Links(Update:2002.10.20.)

更新ログ(Update:2004. 8.21.)

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1995年


目次


春を待つ

 光ある景色は幻となり果て
 悲しみにじむ瞳に雨が降る

 久遠の城も瓦礫となり
 神話も信仰も灰になった

 寒く厳しい冬は
 春の喜びを増す演出
 春を輝かせる演出

 今は忘れ去られた草や樹が
 陽射しを浴びて輝き出す

 喜びの時間が来たら
 渾身の力を込めて鐘を鳴らそう

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大樹の傍らで

 揺れる桜雲(1.)
 薫る囀り
 包み込む木洩れ日
 歌うせせらぎ

 見えているか
 聴こえているか
 感じているか
 生命(2.)の喜びを

 循環する糸の旋律
 後ろ向きの消えた記憶
 透過する無数の分子
 上昇する無限の意識

 目を閉じ
 右手に風を感じている

  1. 桜雲.....おううん
  2. 生命.....いのち

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記憶の孤独

 記憶は失われることを知っていた
 記憶を失うことが恐かった
 忘れることが不安だった
 忘れまいとして頭の中で繰り返した

 何度も繰り返すうちに
 記憶が変化することに気付き絶望した

 記憶の歪曲を恐れ
 夢を見るのが嫌いだった
 眠るのが恐かった
 失うことを恐れて
 夜何度も目を覚ました

 薄れたことに気付くと
 悲しくて涙が出た
 忘れてしまう自分に表現できない焦燥感を抱き続けた

 15年以上の月日が経ち
 次第に邪念が多くなり
 忘れることを当然と思うようになっていた

 残っているのは
 焦燥感の記憶

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ファシスト達のプロパガンダ

 君は翻る旗を見たか
 湧きあがる喚声を聞いたか
 こみあげる熱気を感じたか
 渦巻く歴史の中にいるか

 君は曇りのない顔を見たか
 割れんばかりの拍手を聞いたか
 存在を賭けた願いを感じたか
 うごめく時代の中にいるか

 前を見よ
 惑わされるな
 信じよ
 拳を掲げよ

 神となるか悪魔となるかは
 未来が決める

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刻印

 うだるような昼下がり
 交差点の真ん中で
 彼は立ち尽くしていた

 突き刺す奇異の視線
 クラクションの嵐
 飛び交う罵声

 彼は微動だにせず
 ずっと一点を見つめていた
 その方向に何があるのか
 多分彼にしかわからないのだろう

 気が付くと彼の姿はなかった
 辺りにはその痕跡すらなく
 人も車もスムーズに流れていた

 時間だけを除いて

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初冬

 白い息
 かじかむ指
 色は落ち
 半身は影

 暖を求め
 彷徨い歩く
 心は
 うつろなまま

 空風が運ぶ
 秋の断片
 瞳が追うのは
 空ではない

 老いながら
 先達となる季節

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雪の朝

 -3℃の水
 舞い散る微粒子
 降り積もる音もなく
 大地は密やかに純白
 動かざる現在
 足跡だけ汚れて

 1億5千万kmの光
 厚い雲に遮られる
 奪い取る全ての熱を
 大気は静かに輪廻
 鉛色が途切れ
 時間が始まる

 暝き夜明けに
 薄く紅をひく

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