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真夜中の脳みそ

詩集「半熟卵」(Update:2001. 9.16.)

コラム「午前3時の天気予報」(Update:2004. 8.21.)

AIBO日記(Update:2003.11. 3.)

アルバム(Update:2003.1.31.)

「紺野」とは?(Update:2004. 8.21.)

Links(Update:2002.10.20.)

更新ログ(Update:2004. 8.21.)

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1997年


目次


K

 僕は狼になれなかった
 群からはずれた野良犬で
 漂い続けるのが関の山

 いつも不安でおどおどしながら
 眠るときには薄ら笑いを浮かべ
 目覚めたときには涙を流す

 枯れたようで枯れちゃいないし
 吠えもしなければ
 泣き(鳴き)もしない

 大層なことを言っているように見えてはいるが
 難しいことなんて考えちゃいない
 ただ口数が多いだけ

 これといって飢えちゃいないが
 君らが麦を食べるなら
 僕は米を食べるさ

 手段も尽きたし目的もない
 醜い執着はとっくに捨てた
 循環小数をつぶやき続けている

 生き延びることに何の意味もないが
 ちょっとのスパイスさえあれば満足さ

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花吹雪

 舞い散る色
 風化する足跡
 甦る幻
 僕は影となって
 明るみから落ちる

 めぐる明日(1.)
 薫り輝いて
 狂おしく零れる
 遊離する情景に
 生命(2.)燃やす樹々

 花弁ひとつひとつ
 鏡となって
 等身大に映る

 見えない

  1. 明日.....あした
  2. 生命.....いのち

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 堅固な闇

 空気のように見えている
 無となりてそこに有る
 脳の中に宿る現実
 脳の中だけに結像するリアリズム

 後悔と欺瞞と虚偽の歴史
 罪悪と背徳と錯覚の物証
 洗脳と保身と失策の神格
 陶酔と邁進と錯誤の論理

 希望なんて
 見え透いたまやかしを捨て
 冥く深く
 霧の中道標を拒み続け

 朝は来ない

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琥珀色の月

 言葉
 自問自答
 自分と自分との間を埋めるもの
 うまくつむげない

 想い
 陶酔の押し付け
 人を饒舌たらしめるもの
 青くて紅い

 衝撃
 衝動の次
 目で見えない精神的なもの
 躱せない大きさ

 涙
 弱き証しの最強兵器
 感情の海から零れ落ちる
 無色透明

 空
 転嫁の象徴
 手が届かないけどそこにあるもの
 本当はくすんでる

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孤独と解放と自嘲のモノローグ

 歴史は常に勝者の言葉で語られ勝敗も当事者の思い込みだけで決定される

 「善」は自己正当化のためだけに「悪」はプロパガンダのためだけに存在する

 泣いても叫んでも笑っても血を流してもそのこと自体からは何の意味を発生させない

 自由も独立も平和も諍いも取って付けた与えられた概念でしかない

 「自分が正しい」ではなく「自分だけが正しい」とみんな勝手に思い込んでいる

 悩みたければ悩めばいいし絶望したいなら絶望すればいい

 目を閉じて耳を塞いで口を噤んで誰も理解しないと心の中だけで叫び続けている

 理念や思想や教義や無関心やそれぞれにどんな違いがあるのだろう

 呆然と立ち尽くすだけなら飲み込まれているのと同義でしかない

 手だてがないからといって外圧を待っているだけなら狂ったカルトと変わりはない

 現在は悪いから未来は良くしようなんて無責任な言葉たちが撒き散らかされている

 撹乱させるだけ撹乱させておいて躍らされる側に責任を押し付けている

 争いそのものに意味はないが争いのその後に意味が勝手に付与される

 虚偽で塗り固められ騙されているのが正しい現実でそれを疑うのが仮想として扱う

 強ければ何をしても許されるし弱ければそれだけで間違いとされ従うのを強要する

 大事なことと大事でないことを区別つけられずただ口を開けた雛鳥の様

 何時の間にか自分たちが中心になってそれを基準として思い上がった論理を展開する

 自分の正当性を自分の言葉で語っても何の証明にはならない

 思考を停止し疑うことを止めることだけに「正しさ」と幸せと拠り所を感じている

 ありもしない幻想で塗り固められた良くわからないものの支配を受け続けている

 隣町でおきたことも地球の反対側の出来事もただのゴシップとして扱っている

 何かに脅え破壊衝動でしか自己表現できない昨今の子供たち

 無責任で愚かで他力本願で能天気で言い訳だらけの昨今の大人たち

 漫然とただ意味もなく存在し続けることだけしかしていない20世紀

 

 

 

 名もなき夜に見えない言葉たち
 自問自答を繰り返し考え続ける言葉たち
 音を立てることもなく跡形なく消え去る言葉たち

 

 Good Night

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霧景

 散光幻ヲ映シ湿原ヲ覆イ
 陰ノ如キ姿体ヲ水面ニ刻ム
 音ハ無ク白ヲ以ッテ俗界ト絶シ
 久遠ノ時ヲ重ネ秋葉散ルラン

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人間にできること、人間だからできること

 僕らは最初は高い建物なんて作れなかった
 作る必要なんてなかった
 でも、いつのまにか作るようになって
 なぜ作るようになったのかも忘れて
 いたるところに作ってしまった
 作るところがなくなったらどうするんだろう

 僕らは最初は遠くを知ることなんてなかった
 知る必要なんてなかった
 でも、いつのまにか知るようになって
 なぜ知ることができるのかも忘れて
 知ることだけが優先するようになってしまった
 知るものがなくなったらどうするんだろう

 僕らは最初は速く走ることなんてできなかった
 走る必要なんてなかった
 でも、いつのまにか走るようになって
 なぜ走るようになったのかも忘れて
 いたるところ走るようになってしまった
 走るところがなくなったらどうするんだろう

 僕らは最初は速く泳ぐことなんてできなかった
 泳ぐ必要なんてなかった
 でも、いつのまにか泳ぐようになって
 なぜ泳ぐようになったのかも忘れて
 速く泳ぐことだけを考えるようになった
 泳ぐ機会がなくなったらどうするんだろう

 僕らは最初は空を飛ぶことなんてできなかった
 飛ぶ必要なんてなかった
 でも、いつのまにか飛ぶようになって
 なぜ飛ぶようになったのかも忘れて
 いたるところ飛ぶようになった
 飛ぶところがなくなったらどうするんだろう

 僕らは最初は人を殺すことはしなかった
 殺す必要なんてなかった
 でも、いつのまにか殺すようになって
 なぜ殺すようになったのかも忘れて
 理由もなく殺すようになってしまった
 殺す人がいなくなったらどうするんだろう

 人間にできること
 人間だからできること
 人間のしてきたこと

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苦悩のち苦痛

 感じている
 どこか懐かしく
 憶えている
 不安にさせる

 この匂い
 焼けている
 錆びている
 血の匂い

 誰の?
 いつの?
 何処の?
 僕の?

 憶えている
 血の匂い

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