新潟県中越沖地震の震源断層  (2007年7月16日 M =6.8)  

震源断層は次の2種類に大別できる。
@プレートとプレートの境 :東海地震、東南海地震、南海地震、宮城県沖地震など、百数十年の周期で巨大地震が発生。
Aプレートの内部の活断層型 :北伊豆地震、阪神大震災、新潟県中越地震など、数十年から数千年で周期は、はっきりしない。
新潟県中越沖地震はAプレートの内部の活断層型と考えられる。
マグニチュード(M)6.8 柏崎付近の震度6強 震源の深さ17Km



第1図 「日本の活断層」東京大学出版会に加筆 




第2図 震央分布図

 中越沖地震を起こした断層は北東から南西方向へ長さ数十Kmの逆断層と推定されている。
 震源断層面は余震の震央分布(第2図)から、西へ傾斜する逆断層と東へ傾斜する逆断層が動いたように推定できる。(第3図  )
ひずみの多いこの地帯は活断層が多く、褶曲構造もかさなり、複雑な地質構造をしている。



第3図 北西(海側)から南東(陸側)方向の垂直断面(模式図 )

地震の揺れについて
ニュートンの運動の第二法則
物体に力(F)が働くと、力の方向に加速度(a)を生じ、その大きさは力の大きさに比例し、物体の質量(m)に反比例する。  F=ma   
地震の揺れはこの加速度をガルという単位で表す。(1ガルは1秒間に1cmの加速度、重力加速度は980ガル)
加速度は力が働いている運動で、時間とともに速度(速さや方向 ベクトル)が変化する。

 中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の揺れは所内96台の地震計で観測された。データの上書き、上限1000ガルで振り切れなどがあった。(朝日新聞7月31日より)
      1号機タービン建屋1階 1862ガル    想定の6.8倍
      3号機タービン建屋1階 2058ガル    想定834ガル
      6号機天井クレーン近く 1541ガル    クレーン破損
設計時の想定を大幅に上回る揺れが観測された。



第4図 6号機に設置された地震計の観測値(朝日新聞のグラフに加筆)

 新潟県中越沖地震で、柏崎は震度6強という大きな揺れになったが、次のようなことが考えられる。
 @ 柏崎は東へ傾斜する逆断層の上盤にあり、震源断層面の上に位置し、直下型の地震になった。(第3図の柏崎)
 A 2004年の中越地震で、この活断層が動かなかったと言うことは震源断層面の固着が強く、蓄えられた歪が大きかったので   はないか。
   震源断層面の面積が小さいと、同じマグニチュードでも局地的に揺れは大きくなる。
 
 第3図の東へ傾斜する逆断層が活動し、上盤が矢印の方向へずれると、この地域は隆起することになる。垂直方向の隆起は柏崎付近で約10cmであった。