富士火山の北麓には東から山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖、と連なる5つの湖があり、富士山と良く調和した、美しい景観をつくっている。これらの湖は北の御坂山地と富士山との間の谷が溶岩によって堰き止められてできたものである。
世界の湖はカスピ海のように面積が大きなもの、水深がバイカル湖 1,523mのような深いもの(本栖湖水深125m)、湖面がチチカカ湖
3,812mのような高いもの(中禅寺湖 1,271m,山中湖
982m)、八郎潟や浜名湖など海抜0mのもの、死海 ー394mのように低いもの、などさまざまである。
湖の成因はきわめて多く、Hutchinsonはこれを76に分けているが、ここでは主なものを表にしてみる。
湖の成因による分類
浸食作用 | 風食湖 氷食湖 河食湖 |
砂漠地方で見られ、風の浸食による。南アフリカのpanなど。 洪積世に氷河が広がった地方に多く、氷河の浸食による。(glacial lake)北米の五大湖 蛇行した河川にできる三日月湖(oxbow lake) |
火山作用 | 火口湖 カルデラ湖 せきとめ湖 |
噴火口に水がたまったもの。(crater lake) 噴火後,陥没したカルデラに水がたまったもの。(caldera lake) 箱根山の芦ノ湖 火山の溶岩流や泥流でせきとめられたもの。(dammed lake)富士五湖 |
地殻運動 | 構造湖 断層湖 |
地殻変動によってできたもの。(tectonic lake)バイカル湖 断層運動によってできたもの。(fault lake)琵琶湖、諏訪湖 |
海の作用 | ラグーン(潟) | 海の一部分が砂州やサンゴ礁によって切り離されたもの。(lagoon) |
富士5湖について
約1万年前に多量の溶岩を噴出する活動があり、その溶岩によって堰き止められ忍野湖、河口湖、セノウミ、本栖湖ができた、と言われている。忍野八海がある忍野盆地には珪藻を含んだ湖成層が堆積しており、最近までここに大きな湖があったことがわかっている。
貞観噴火(864年AD)では、富士山北西麓の長尾山から多量の溶岩(青木ヶ原丸尾)を流出し、セノウミを西湖と精進湖に分断した。西湖と精進湖と本栖湖は湖面の海抜高度がほぼ同じである。高温の溶岩が水の中に入ると急冷し枕状溶岩(pillow
lava)となる。その枕状溶岩が団塊状になり、団塊と団塊の間隙を通して、この3つの湖がつながっているためと思われる。
富士山麓には、富士五湖以外に田貫湖があるが、これは人工的な堤防で堰き止めた湖である。
本栖湖 貞観6年(864年)富士山北西麓の長尾山から、 噴出した多量の溶岩流(青木ヶ原丸尾)は本栖湖にも流れ込んでいる。 (1999年11月21日撮影) |
青木ヶ原樹海と西湖 青木ヶ原丸尾は せの海 と呼ばれていた湖を精進湖と西湖に分けた。 西湖の向こうの山並みは御坂山地dである。 〔紅葉台より1999年11月21日撮影) |
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