高校生の皆さんへ
1.連星の運動から求める。
2つ以上の恒星が万有引力を及ぼしながら運動している恒星を連星といいます。連星の数は多く、全恒星の3分の1は連星だといわれています。
下図のように、明るい主星と暗い伴星の運動を調べてみます。
主星と伴星は共通重心Oのまわりをお互いに公転しています。質量や共通重心までの距離の間には次ぎの関係があります。
M(a−s)=ms ∴ s=Ma/(M+m)・・・・・・@
伴星の角速度をω(rad/s)、公転周期をP(s)とする。円運動の加速度の大きさは sω² ですから
伴星の公転による向心力 Feは
Fe=msω² =ms (2π/P)²
伴星と主星との引力 Fは万有引力の定数をGとすると
F=G(Mm/a²)
伴星の向心力は伴星と主星との引力ですから
ms (2π/P)²=G(Mm/a²) ・・・・・・・・・・・A
A式へ@式を代入してsを消します。
a³/P² = G(M+m)/4π²
近くの連星で主星と伴星の距離aと伴星の公転周期Pが観測できれば、主星と伴星の質量の和(M+m)を求めることが出来ます。
また共通重心までの距離sを観測すれば@式を使ってMとmに分けることが出来ます。
このように近くの連星で求めた質量と絶対等級(恒星の真の明るさ)の間に関係がありました。(質量光度関係)
恒星の質量が大きいほど、温度が高く、放出している光のエネルギーが多いのです。(HR図の主系列星)
2.遠くの恒星の質量の求め方
恒星のスペクトル型を観測し、HR図から絶対等級を求めます。その絶対等級を使って、「質量光度関係」から質量を求めます。
質量光度関係
応用 a³/P² = G(M+m)/4π²を太陽系の惑星へ
太陽の質量をMとし、太陽のまわりを公転する惑星の質量をmとします。
惑星の質量mは太陽の質量Mに比較して非常に小さいので無視できます。したがって、共通重心Oは太陽の中心にあるとします。
太陽とそれぞれの惑星の距離をa,公転周期をPとすると、式は次のようになります。
a³/P² = GM/4π²
この式の右辺は惑星に関係のない一定な値です。
惑星の太陽からの距離 a の3乗を、その惑星の公転周期 Pの2乗で割ると一定な値になるということです。
これはケプラーが観測資料から求めたケプラーの第3法則を示しています。
問 太陽と地球の距離を1とする単位を天文単位といいます。太陽と土星の距離を9.554天文単位とし、公転周期を29.46年として、
ケプラーの第3法則が成り立つことを確めてみよう。(ヒント地球の公転周期は1年です。)