実力主義とは?

近は大不況のためか、テレビのニュースや新聞で、実力社会といった記事が見られます。
また、就職情報誌等では、
「我が社は完全実力主義のため、年齢に関係なく、高収入望めます。」
といったうたい文句が一杯です。
私も若い頃は、
「実力主義かー、年齢に関係なく頑張れば、高収入を期待できるのだなー。よし、やるぞ!」
などといきこんでいましたが、この「実力主義」なかなかのくせもので、良い様に思う反面、悪い面もかなりあります。
今回はこの実力主義に的を絞ったお話です。

どちらかと言えば職人的要素が強いマルチメディア業界では、典型的な実力主義です。
そりゃーそうですね、絵がかけないデザイナーやプログラムがかけないプログラマーなど、会社にとって、雇用する意味が全くないですからね。
悲しいかな、その全く意味のない者が、実は私だったのです。
そんなことは入社した当時から分かりきっていましたが。グス。(>_<)

ここで使える人間と使えない人間で差が出てくるのは、お給料です。
一般の会社では、昇給の査定は1年に1回が一般的ですが、私が入社した会社では、3ヶ月に1回でした。
「3ヶ月に1回、昇給するのかー。いいなー。」
などと、死んでも思ってはいけません。
昇給するのならいいのですが、減給もあるわけです。
会社が社員に払う給料の枠は決まっていますから、昇給する人がいれば、必ず減給する人もいる訳です。
椅子取りゲームみたいなもので、社員同士が競って少ない席を取りあう訳です。
一次的に席を取って、昇給しても、また次回の査定で席が取れるとは限りません。

ここで、
「仲間内で熾烈な戦いがあるだけじゃないかー。」
と思ってもいけません。
枠が決まっていて、椅子取りゲームだけならいいのですが、そうではないのです。
会社の業績が一定なら枠もいつも同じなのですが、業績が悪いと、この取り合う枠がさらに小さくなります。
今まで、
「昇給1人、減給1人」
だったのに対して、
「昇給1人、減給3人」
になったりします。
いや、
「昇給0人、減給3人」
という事態も起こるかもしれません。

されに辛辣な言い方をすれば、ほとんどの人が駄目社員で一部の社員だけが、優秀としてみとめられてしまう訳です。(2極化時代の到来ですね。)
会社にとってなんて良いシステムでしょうか!

この制度、アメリカの様に他民族国家で、小さいころから競争社会で育ってきた、ドライな社会では、受け入れられるのでしょうけれど、日本の様に将軍様がいて、そこで守ってもらって過していた、ウェットな社会ではかなり抵抗がありますね。
現在は昔とは違うと言っても、つい最近(20年前)まで古い日本の精神を受け継いでいる私としては、人情や習慣をどうしても重んじてしまいます。(古い考えと良く言われますが。)

む、好まざるに関わらず、マルチメディア業界は実力主義です。
当然のごとく私の査定があります。

もう、読者の皆さんはお分かりでしょう。
そう、私の査定は最低がつきました。
首がつながっただけでも、めっけもんです。
ただ、減給は痛いですね。

私の事は当然のことなので、それほどがっかりしませんが、かなり良くやっている、仲の良い先輩の査定が悪い事には、納得できませんでした。
下がる因子が全くないのに、なぜ下がったのでしょうか?
査定の評価方法に問題があるようにしか思えません。

仲の良い先輩の他にも、今回の査定で、評価が下がった人がかなりいたらしく、この査定が終わってから、先輩社員の方々の帰宅時間が大幅に遅くなって(もしくは徹夜)、休日出勤も多くなりました。
ますます、悪循環に陥ってしまっているような気がします。

クリエイターの赤ちゃんが
「マルチメディア業界だからこういった事がおこるのでしょうか?それとも会社のせい?」
と、さらに悩み始めた瞬間です。

次回は「ディレクター 再び」です。