去りゆく人々...

や〜な、いや〜な雰囲気が、会社全体を包みこみます。
明日は我が身かと、皆疑心暗鬼に陥ります。
嘘か誠か、
「年末までに、大量リストラを行う。」
と言った話まで持ち上がり始めました。
やはり、私含めて、新人が的にされることは明白です。
バイト君にいたっては、
「次は俺だなー。いくら頑張って、正社員の道を目指しても、駄目だこりゃー。早く新しい会社見つけよう。」
などと、言い出して、さっさと去っていく人もでる始末。

これに追い討ちを掛けるように、
「去年の年末も、大量リストラしたから、今年も恒例行事みたいに、やるみたいだよ。」
などと、とある人も教えてくれたりして、もうめちゃくちゃです。

こうなってしまいますと、今は死語に近い言葉
「企業は人から。」
が、真実味を帯びてきます。
社員が舞い上がってしまっては、仕事の質も下がってしまうことは、誰でも明白です。
人を解雇するということが、ここまで士気を下げるとは、驚きです。
現在、一般的に、リストラすることが一種のトレンディーのように思われがちで、コスト削減の効果大と思われています。
もちろん一時的に、早急に目で見える効果はありますが、その効果よりも、社員の士気の低下の効果のほうが、上回るような気がします。

ういった環境の中で、とうとう仲の良い先輩から
「実は、年内一杯で会社を辞めるんだー。」
といった、言葉が出てしまいました。
「がびーん」です。 さらに、
「○○さんも、年内で辞めるんだよー。」
と、かなり腕の立つグラフィッカーの方も辞めてしまわれることを、教えてくれました。
さらにさらに、
「本当に、バイトはすべて解雇するらしいよ。何年もやっているバイトも関係ないみたいだね。」
と。
下手な社員以上にできて、社員よりも古いバイトをきるなんて、信じられません。
いくら経営が苦しいからといって、あんまりだと思います。

私は考えます。
こんなふうに、いつ解雇されるか分からない状況では、落ち着いて仕事をすることはできない。
また、明るい兆しがあるから、頑張れるのであって、馬車馬みたいに希望がない場所では、頑張れない。
遅かれ早かれ、私も解雇されるだろう。(現在でさえ、辞めるように仕向けられているのに。)
歳も歳だし、遅すぎたのかと。
でも、世間一般的には、20代で遅すぎなんて、聴いたこともないぞ!
この業界だけだぞ。
いや、この会社だけだぞー。

などと、色々な声が聞こえてきます。

んなムードの中、上層部がにわかに動き始めます。
どういう訳か、夜の9時過ぎになると、上層部がいなくなります。
帰宅するには、早すぎる時間です。
会議なら会議室で行えばいいのに、全員が全員、外へ出かけて行きます。
しかも、人目をはばかるように、一人また一人と。
結局残るのは、退職する人とバイト、そして下っ端連中です。
「絶対なにか、企んでいるね。」
と下っ端同士で話しあいます。

次回は「 死刑執行 」です。