デジタルクリエイターになったけど

回のタイトルは、表紙と同じ「デジタルクリエイターになったけど」です。
表紙のタイトルを、そのまま使うくらいですから、今回は筆者の体験の意見が中心です。
(会社によって、かなり違うと思いますが。私はこうだったです。)

前回までは、私がデジタル業界の入社から解雇までを綴ってきました。
その間約1年。
想像していた業界とは、かなりかけ離れていました。

先ずは、技術です。
私は学校へ行ってから入社しましたが、学校の知識だけでは、プロの現場では全く歯がたちませんでした。
自分一人で絵やプログラムをつくっていると、どうしても得意な分野や好きな分野に、技術が偏ってしまって、嫌いな分野は、敬遠しがちです。
また、プロとしてやっていると、無理難題をクライアントから要求され、こんな使い方もあったのかと、勉強になることが多々あります。


二つ目ににコスト感覚です。
プロとしてやっていくにはどうしても、お金がからんできます。
作品のクオリティーを上げることも必要ですが、時間を短縮して作業をこなしていくこともかなり重要です。
いや、時間のほうが重要ですね。
儲からなければ、意味がないですからね。


三つ目に勤務時間です。
私は一般の会社から、この業界へ飛び込んだ訳ですが、この業界は一般と比べて、かなり長かったですね。
例えば、普通労働時間は、1日8〜11時間程度ですが、この業界は1日11〜36時間と恐ろしく長いです。
労働基準法など、どこ吹く風です。
徹夜して当たり前です。

時間もさる事ながら、休日もほとんどありません。
完全週休2日といっても、休めず出勤することがほとんどです。
また、夏休みやゴールデンウィークにしても、あっても休めません。
休んだら首にされます。
とにかく、長長長労働時間です。
一般のサラリーマンの3倍くらいは、長いでしょう。


四つ目に給料面です。
とにかく、安いです。
長長長労働しても、残業代0,祝日出勤代0、徹夜手当て(深夜手当て)0、なのですから、勤務時間から換算したら、めちゃくちゃ安いです。
そして、1ヶ月の給料もこれまた安く、大学の新卒並みですね。
はっきりいって、男は妻子を養うことは難しいですね。
いや、できません。
子供を大学へやることなど、夢のまた夢です。
また、ボーナスも安く、ボーナス1回払いで、パソコンも買えません。
買えるのはせいぜい、ストーブ1台くらいでしょう。


五つ目に技術革新面です。
このデジタル業界(通信業界)は、昔から言われていますが、とにかく変化が激しいですね。
1年で一般の業界の4年分くらいの速さで、革新しています。
OSのアップはもとより、ソフトのアップ、記録メディアの大容量化、マシンスペックのアップ、新技術など、とにかく早いです。
大学1年で、情報を学んで、卒業する4年生の時には、1年生に学んだ知識は、もう古い技術になっているくらい早いです。
(いつまでも、古典文学を教える学校教育は、時代に逆行しているとしか思えませんね。)


六つ目に転職率です。
かなり転職率は高いです。(独立しやすいという事の他に、待遇面の事もあるのでしょうけれど。)
会社は、独立するための知識を身につける場所であり、そこで一生、会社に命を預ける人はいないですね。
命を預けられる会社なら、よほど良い会社ですね。
ちなみに、私がいた会社の死亡率は、2年間でほぼ100%でした。
2年後には、社長以外、ほぼ社員が変わっているという、会社でした。

デジタル業界の死亡率って、ガンの死亡率よりもすごいのかもしれませんね。

あ、いろいろ言いましたが、余程好きでない限り、デジタル業界には、就職することはお勧めしませんね。
でも、どうしても、どうしてもデジタル業界が好きなら、そういう人は絶対お勧めします。
そういう人なら、つらくてもきっと、頑張れるはずだから。
頑張ればきっと、待遇も良くなるはずだから。

上で言った言葉は、デジタル業界だけでなく、一般の会社でも、通用するのかもしれませんが。

次回は涙涙の最終回。「そして誰もいなくなって」です。