就職活動の落し穴

事に学校を卒業することができまして、
「さあ、これからいよいよ就職活動だー!!」
といきこんでいた頃、世間では不況の嵐。

テレビでは連日連夜、
「今年の就職率は何パーセント。内定率過去最低。大手何とか会社が何百人リストラしました。」
等のニュースの話で持ちきりです。

しかし一年間、学校という温室で育ったため不況の深刻さを、さほど感じてはいませんでした。

て、そんな就職状況の最中、私が最初に起こした行動は、学校の就職ガイダンスで教えてもらったとおり、自分の作品をまとめて作品集をつくったことです。
作品集といっても、学校の課題で作った作品が中心で、レコードのジャケット、フライヤー、3DCG、ディレクタームービー、HP、写真、ビデオといった所で、まとめると、
紙媒体の作品集−3冊
ビデオ−1本
MO−1個
の作品集が出来上りました。(就職戦争用のメイン武器の準備完了!)

次に履歴書と職務経歴書の作成です。
これは、一般的な書き方をして、あっさり作成することができました。(就職戦争用の補助武器の準備完了!)

以上、2つの武器を作成して、めでたく就職戦争を戦いぬく準備は整いました。

器がそろったら、次は敵(会社)の情報収集です。
先ずは、学校が持っている求人情報です。

学校へ行き、就職検索用のコンピューターを陣取りまして、採用形態、希望職種、希望職業、採用条件等を入力します。
さて、いよいよ検索です。
検索ボタン、クリック!!

ちょっとしてから学校のサーバーへアクセスし、結果がでました。
「おおー!あるある求人情報が!!意外とあるね。不況だから無いかと思っていた。」
「なに、なに。給料が○○円か。休日が日曜だけかー。」
などと、一人3時間ほど検索しまくって約10社ほどめぼしい会社を探し出しました。
その情報を持って就職課へ行くと、受けたい会社の電話番号を教えるので、自分でかってに就職活動してくれとのこと。
学校が誠意を持って就職のあっせんをしてくれると思ったので、ちょっとがっかりです。

気を取り直して、受けたい会社へ電話してみました。
「あのー、就職の件でお電話したのですが?」
「は?当社では採用していませんが?」
「でも、学校の紹介なのですがー?」
「いつの話ですか?去年までは採用していましたが、今年は採用を見合わせております。」
「はあ、そうですか。お仕事中、申し訳ございませんでした。」
「ガチャ。」
何なんだー、今のは?

次、行こー。
「あのー、就職の件でお電話したのですが?」
「うちでは、採用して無いよー。
いったい何処の学校?
一昨年は募集していたけど、今は採用して無いよ!
困るんだよねー、いつまでも採用情報を掲示されるのは。
君みたいに電話かけてくるの多くて。」

「すみません。」
「ガチャ。」

何だーこりゃー。もしかして情報が古いのでは?
再び、学校の就職検索コンピューターを陣取って検索してみました。
今度は掲載日時までじっくり見てみました。
そしたら、ほとんどの情報が1年〜3年前の情報です。
「ふ、古すぎる。全く使えないではないかー!!」

慌てて、就職課へ行くと、
「通年採用です。」
とのこと。
全く、非を認めません。

ついでに掲示板の情報も見てみますと、新しくても2〜3ヶ月前の情報です。

以上のことを友達に相談すると、学校の就職情報は古くて使い物にならないとのこと。
世間では求人情報がでたら、求人情報が出た日か次の日には電話しないと、面接さえしてくれないとのこと。
デジタルクリエイターなら、腕がよければ1ヶ月後でも面接してくれるかもしれないが、学生はまずダメとのこと。
まして、1年前の求人情報など全くダメで、使用しているソフトが変わったしまうことさえあるとのこと。
1年あれば少なくとも、ソフトのバージョンは変わってしまうだろうとのこと。
どうしても学校を使うなら、3ヶ月に1回くらいに学校へくる求人をいち早くキャッチして申し込むしかないとのこと。

全に打ちのめされた私。
学校がダメなら、就職情報誌、インターネットでさがしてみようと試みたところ、いくつか面接までしてくれる会社がありました。
しかしながら、結果は惨敗。

自分なりに原因を探ってみました。
すると、気がついた点がいくつかあります。

@ 自分にはプロとやっていくには、絵の才能が無いこと。

A マルチメディア業界では、学生をいきなり正社員で雇うことはなく、ほとんどがアルバイトから始めるということ。

B マルチメディアをやっている多くの会社は、世間一般的にいわれる零細企業がほとんどです。
そのため、会社としても即戦力になる実務経験者が欲しく、一から教えなくてはいけない学生はできるだけ敬遠する傾向にあるということ。

C これだけマルチメディア学校が乱立し、年間何千人も卒業生が存在する今日、フォトショップやディレクター、ソフトイマージュなどのソフトが操作できるだけでは、話にならないということ。

D コンテストや学校で良い成績をとっても、実社会では職務経験がものをいう。



平たく言えば、卒業したての学生では、正社員の就職はほとんど無いということです。

ここにきて、大きな落し穴にはまってしまった私。
学校に入学する時に、
「就職率はどうですか?」
と聞いて、
「集計は取っていないんです。」
の言葉をまともに受けてしまった自分の愚かさに気がついても、後の祭りです。
集計を取っていないのではなく、あまりにも就職率が低くて言えなかったのですね。
おそらく、世間一般の芸術関係の専門学校と、さほど変わらない就職率(10%)だったのではないでしょうか。

マルチメディアという世界に、あまりにも「お金」と「時間」をかけすぎてしまい、取り戻そうにも、犠牲が大きすぎてしまって、取り戻せません。
もっと、早く気がつけば犠牲が少なくてすんだと、悔やまれます。

写真関係で良く言われることに、
「本気で写真家になる気がないのなら、最初からやらないほうが良い。」
と、あります。
この言葉の裏には、
「写真は他の芸術関係(デザインやイラストなど)の専門学校と違って、必要機材が著しく高く、機材を購入してからもフィルム代や焼付け代とうの諸経費がかかり、卒業してからも1年〜2年はただ同然の給料だから、本気でやらないなら時間とお金を捨てるものだ。」 という意味が隠されています。

この言葉、そっくりマルチメディアにも当てはまるとおもいます。
マルチメディアも卒業するまでに、マシン・ソフト・受講料にかなりの費用がかかります。
中途半端な気持ちなら、やらないほうが良いと思います。(誰にいってんだ?(^_^;))

年も28歳になっていたため、バイトで一から覚える訳にはいかず途方にくれていました。

次回は「思い込みが現実に」!です。