思い込みが現実に

が入校したマルチメディアスクールは、3DCGをメインに教える学校だったため、就職先の矛先を主に、デザイン関係に向けていました。
しかしデザインで職を探しても、デザイン専門学校の生徒にはかないません。
また、3DCGで職を探しても、かなり限られた会社しか使用していません。
そういった中で、職探しをしても、落ちるのが当然のことです。

そこで改めて自分自身の武器は何か?自問自答します。。
「デザイナーとしては素質がないし、プログラマーとしてはプログラミングセンスは無い。 他に武器はないのか?」

「ありました!」
絵心がなくて、プログラミングセンスが必要でないものが。
ディレクターのオーサーです。(一般にはマルチメディアタイトルの作成と呼ばれている職です。)
何も競争率の激しいデザイナー職ではなく、なりてが少ないオーサーで勝負すればいいのです。(本当は3DCGデザイナーになりたかったのですが(^_^;))

さっそくオーサー職をHPで探してみますと、皆無をといっていいほどありません。(だから穴場なのですが。)
しかし、タイミング良くといいますか、偶然といいますか、一個だけあったんですよ、オーサー職が。
その名を○○○○。
募集内容はデザイナーとオーサーの2業務。
さらに、奇跡的にその週の就職情報誌にも、○○○○の求人情報が載っていたのです。
ここまでお膳立てができてて、うけない訳にはいきません。
さっそく応募すると、「明日面接に来てくれとのこと。」(本当は今日来てくれといわれたが、いきなりだったのでことわった。)

の日、戦闘武器を携えて○○○○の門を叩きました。
「たのもう!!」
などとは、間違っても言いません。
「すみません。」((^_^;))
と言いながらドアを開けると、いきなり目の前にパーティションがドン!!
受付は何処?ここは何?(いきなりかますな!)

一瞬ひるんだものの、周りを見回すと一人黙々とパソコンに向かっている人、一人。
その人に向かって
「面接を受けに来たものですが。」
と言うと、なれているのか
「こちらへどうぞ。」
と、会議室へ案内してくれました。
あたりを見回すと、棚はCD−ROMで一杯です。(この「○○○○」という会社、CD−ROMのコンテンツ制作をメインで行っている会社です。)
しばらくすると、髭をはやした30才後半か40才前半の男性が来ました。

面接なれしているのか、いきなり
「作品、一杯持ってきたね。ちょっと見せてよ。」
と、初めの挨拶もそこそこに作品集を見ています。
パラパラと手慣れた手つきで、ページをめくっていきます。(おい!おい!苦労して作ったのに、もっとジックリみてよ!)
一通り見終わると、
「ムービーもあるの。見せてくれる?」
とのこと。
無表情でムービーを見ています。

ムービーも見終わっても、いまいち反応悪し。
何かもっと別のものを見せてくれといわんばかりです。
そう思っている中、
「3DCGではなく、もっと手書きの作品が見てみたかったなー」
と、言われます。
「こりゃー、よそと同じく3DCG等の、デザインには価値をもっていないなー」と思い、デザイナー職として入社することは難しそうです。

ここで引き下がっては落ちるのは確実です。
そこで
「ディレクターゲームがあるのです、マシンを貸して欲しいのですが?」
と頼むと、反応が良いではないですか。
「ぜひ見てみたいなー」
と言いい、制作の現場で見るとのこと。

ここまで露骨に表情で表されると、今回の採用のメインはオーサーだとバレバレです。
やはり、デザイナーは無理かと思いながら、オーサーとして入社するにはどうしたらいいか頭のコンピューターをフル活動させながら、会議室を後にしました。(この時は、まだデザイナーに、こだわっていました。)

作の現場の広さはコンビニエンスストアを、ちょっと大きくしたぐらいで、一人に1台もしくは2台、MacintoshやWindowsがあてがわれていました。
働いている人は20才〜30才ぐらいでしょうか。
中には寝ている人もいます。
いままでの会社経験の中で、職務中に寝ている人を見たことがなかったため、すごく違和感を覚えました。

さて、伝家の宝刀のディレクター作品の出番です。
ツインモニターのマシンを借りていざ出陣。
プロジェクターのアイコンをダブルクリック!!
問題なく動き始めました。
このディレクター作品、トータル6面あるミニゲームで、1面クリアするごとにムービーが見れるというものです。(どうしても3DCGの色が抜けませんね。(^_^;))

1面問題なくクリア。
続いて2,3,4,5,6面も無事クリア。
後はエンディングロールのみ。
まさにその瞬間、かたまった。(>_<)
動かん。
沈黙が...。(汗)

すると
「再起動してから、会議室へ戻ろう。」
と、その面接官が言ってくれました。
まあ、スクリプトエラーがでなかっただけましか。と自分に言い聞かせながら会議室へ戻りました。

その後、会議室へ行った後は、あのプログラムの判定はインターセクトとか、かなり細かく突っ込んで話をしたりして、会社が求めているのはオーサーだと、決定ずけました。
こちらとしても、とにかく実務経験を付けたかったので、オーサーとしてなんとか入社することに必死です。

最後に面接官が
「当社に入社するなら、デザイナーそれともオーサー?」
の質問に
「ぜひ、オーサーで入社したいです。」
と元気よく答えました。(デザイナーといったら、落とすくせに。)

その日はこれで終わって、もしもご縁がありましたら、連絡するとのこと。
まあまあの手応えで初戦をかざりました。

接してから数日後、リンリンと電話が鳴ります。
「○○○○ですが、2次面接をお願いしますとのこと」 もちろん断わる理由は無く、再び○○○○へ出かけていきます。

○○○○へ行くと、前と同じ男性が面接をしてくれました。
今回は面接というよりも会社説明がメインで、会社の規定集を用いて説明してくれましたが、概ね読んでおいてくれとの事。
次に給料の話です。
会社としては、給料の話がメインだったらしく、こちらはジックリ給料の仕組みを説明してくれます。
さて、給料の話が終わると、あっさり面接が終わってしまいました。
この間約15分。
一次面接と比べると、恐ろしく短い時間です。

次回の面接は、今日渡した会社の規定集についての質問を受け付けるので内容を確認しておいてくれとのこと。
(やれやれ、まだ面接があるの?という気持ちです。でも実質内定か。(^○^))

終面接(3回目)を受けにいくと、例のごとく前と同じ男性が面接してくれました。
(実はこの男性、この会社の社長です。大企業と違い、面接は、社長自ら行うのですね。)

さて、面接ですが、
「規定集について、質問はありますか?」
とのこと。
「ありません。」
と言うと
「じゃー、3月1日から出社して下さい。」
とのこと。

決定です!!
受かりました!!
「クリエイターのひよこ」
の誕生です!

「思い込み」「現実」になった瞬間です!!

そう言った訳で、なんとかマルチメディア業界に潜り込むことができました。(ヽ(^o^)丿、ヽ(^o^)丿)
しかし、入社してから、本当の試練が待ちうけていたのです。

次回は「入社当日」!です。