仕事ができないクリエイター!

社3日目以降。
某会社の教育ソフトのオーサリングを引継げと言われても、引継ぎたくても引継げない私にとって、ゆういつできる事といったら、ディレクターのLingo(プログラム言語みたいなもの)の勉強です。
引継いだプログラムの中身を解析しようにも、プログラムそのものが分からないのだから、しょうがありません。
ただただひたすらLingoの勉強をすることに、時間を費やします。
Lingoの勉強といっても、業務で忙しい社員の先輩達が、手取り足取り教えてくれるはずもなく、本屋で、ディレクター関係の書物を全部買い込んで、独学でやるしかありませんでした。

私が苦しんでいる最中、同期入社のOGIさんは、ちゃくちゃくと仕事をこなしてゆきます。
また、その仕事をこなすスピードも、早いこと早いこと、神業です。
まだ、入社したて私としては、頼れる人は先輩社員の方よりも、この同期入社のOGIさんだけでした。
それはそれは、大変お世話になり、OGIさんが、産みの親といっても言い過ぎではありません。(本当に感謝しております。ちなみにこのOGIさん、仲間内で別名「ディレクターの巨匠」と呼ばれています。)

今思うに、この勉強している間、他の社員の人は変な目で見ていたことでしょうね。
何せ、変なおっさんの新入社員が入社したと思ったら、新品のディレクターの本を大量に買い込んできて、机の目の前に「でん!」と積み上げて、業務そっちのけで、くる日もくる日も会社で勉強しているのですから。(^_^;)

実作業そっちのけで、ひたすら勉強している訳ですから、そこは小さい会社、いやでも社長の目につきます。
つくな!と言ったって、つきます。
つかなほうがオカシイ。
当然、社長も
「馬場君、引継ぎはどうだね。」
と聞いてきます。
ここは素直に
「全然分からないので、一から勉強しています。」
とは、口が裂けても言えません。
「見た事がないLingoがあるので、調べています。」
と言う他ありません。(全部見た事がないのですが。)

もちろん、誰が見たって全くディレクターが使えない事は、明白です。
社長も内心
「とんでもないやつを、雇ってしまったなー。俺の見る目もいいかげんだなー。」
と思った事でしょう。

社1ヶ月頃、OGIさんはもとより、他の先輩方の協力があったおかげで、一応ディレクターの基礎知識(ディレクターの使い方、Lingoの文法の仕組み等)は分かって来ました。
もちろん、業務そっちのけで勉強している私を、社長が1ヶ月間も、暖かく見守っていてくれたことが一番大きいことですが。((^_^;))

さて、引継ぎのプログラムですが、勉強して判断した結果、先輩のプログラムを解析するよりも、自分で一から作ってしまったほうが良いと判断したため、早速作り始めました。
入社1ヶ月後にしてようやく、引継ぎ開始です。(社長もきっと、呆れていたことでしょう。本来なら、入社してすぐに引継いで欲しかったはずですから。迷惑かけてスミマセンでした。m(__)m)
もちろん一から作るといっても、誰にも聞かずに1人で作れるはずがありません。
先輩社員の方々に聞きまくりました。
そして、とうとう作れちゃったんですよ。
引継ぐはずのプログラムが。ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿

しかし時すでに遅し。
作り終わった頃には、社長や係長の上層部が下した決断は
「馬場君には、仕事をまかせられない。」
ということです。
当たり前と言えば当たり前です。
学校でたての生徒が、1ヶ月間勉強して作った作品を世に出すなんて、誰が見たって自殺行為です。
私が社長だったら、絶対世にだしません。(きっぱり。)
結局、この仕事は同期のOGIさんがやることになりました。

目なやつとレッテルを貼られてしまった私。(現にそのとおりなのですが。)
次にどんな仕事がくるのかなーと思っていると、全く仕事がきません。
「仕事はありませんか?」
と言っても、社長は
「馬場君はいいから。」
と言って、仕事を与えられません。

普通の人だったら 「こりゃー、いよいよ首だなー!!いつまでこの会社にいられることやら?」
と思うか、自分から辞めていくのでしょうけど、そこは能天気な私、
「こりゃー、「もっと勉強しろ!」と渇を入れられているんだなー」
と、いい様に解釈して更に勉強を始めてしまいます。

この当時は分かりませんでしたが、マルチメディア業界のような実力勝負な業界では、入社してから仕事を覚えるといった、日本古来の会社のやり方では、会社の経営は成り立ちません。
会社に入社してから、すぐに使える即戦力になる人が求められます。
もしも人を育てていたら、会社が潰れてしまいます。
そういった訳で、私に仕事が与えられなかった訳は、辞めてくれと言っていたのだなーと、今になって思います。
それを、
「さらに、勉強しろー!」
と勝手に解釈した私に、社長はきっと驚いていたことでしょう。(汗)

次回は「やけに多い退職者」です。