やけに多い退職者

般的なCD−ROM制作現場では、絵を制作する時間に多くの時間を取られるため、必然的にグラフィッカーの数が多くなります。
しかし、私が配属された課には、グラフィッカーが4人、オーサーが7人いまして、
「オーサーの数が極端に多いなー。」
と、入社当時感じたと記憶しています。

グラフィッカーが7人、オーサーが4人なら話しが分かるのですが、人数比が逆とは一般的には考えづらい人数比です。
ここらへんの人数比にも、この会社がオーサーにウエイトを置いて、デザインセンスよりもプログラムのテクニックや技術を売りにしたいという事が、垣間見れます。(人数比の話は、社長の経営方針の話ですので、どちらに重点を置いた方が良いとは、一概には言えませんが、ちょっと、グラフィッカーの数が少ないような気がしますね。オーサーで就職して良かった。ヽ(^o^)丿)

がひたすら猛勉強している最中、会社に奇妙な事がおこり始めます。
時期的には、前回の第6話と同じ、入社〜3ヶ月目あたりの話です。

入社当時、オーサーは、会社全体で、計10人(私の課だけだと7人です。)いました。
私が入社した時点で、15日後にはオーサーの方が1人辞めることになっていたので
「オーサーはトータル9人になるんだなー」
と思っていました。
しかし、これはほんの序盤戦だったのです。
ただいまのオーサーの数:10−1=9人です。(チャリン)

私の課の中で、オーサーとしては一番古株のSIさんという人がいました。
入社して間もなくだったでしょうか、一緒に昼食を取っていると、
「俺、来月で会社を辞めるんだ」
と言うではありませんか。
引継いだ人が辞めたばかりなのに、また1人辞めてしまいます。

また1人、退職するのかと思っていたら、隣に座っていた別の課のYAさんも、
「俺も、辞めるんだ」
と言うではありませんか。
いきなり、2人たて続けに退職です。
「何、皆なんで辞めてしまうの」
と言った感じです。
結局、一緒に仕事をしないで退職されてしまったため、どういった方かは分かりませんでしたが、人が辞めていくのは悲しいですね。(T_T)
ただいまのオーサーの数:9−2=7人です。(チャリン、チャリン)

入社した当時、オーサーの数がやけに多いと思っていましたが、何てことはない、今回の採用は、オーサーの大量退社に伴う人員補充だった訳です。
それにしても同時期に、これだけの人員が一度に退職するとは、一体この会社に何があったのでしょうか?

天気な私としても、離職する人を目の当たりにすると、少々不安を感じます。
もう年も年ですし...。
私もいつか、ああなるのかしら.....?(@_@)

○○○○に入社する前の会社は、日本の典型的な会社を絵にかいたような会社だったため、退職するといっても定年で退職する人が殆どで、離職する人はもとより、中途入社してきた人は、そう多くありませんでした。
そういった、古い体質の会社にドップリと浸かっていた私としては、退職者がいるということに少なからず違和感を覚えました。
退職者が結構いるような事を、学生時代の友人達に話すと、
「何かあるんじゃないの?よく調べた方がいいよ。」
とか、
「ある本に、「退職者が多い会社は、何かあるから敬遠したほうが良い。」とあった。」
とか、冗談半分に助言してくれます。

一般のサラリーマンの友人に聞いても、酒の肴にされるだけなので、デザインをやっている友人、カメラマンの先輩、絵の先生、音楽を教えている知り合いの先生、俗に「芸術」と呼ばれている世界に生きている人の意見を聞いてみます。
すると、退職者が多いことは別に珍しいことではないそうです。
むしろ、当たり前のようです。

聞きかじりで恐縮ですが、カメラマンを例に取ります。
カメラマンになるには、写真専門学校を出てから、スタジオやプロカメラマンのアシスタントになり、そこで腕を磨いてプロのカメラマンになるのが一般的だそうです。(カメラマンも、企業に属しているカメラマンとフリーでやっているカメラマンではなり方が全く違うらしいですが。)
腕を磨くといっても、それは精神的にも肉体的にも辛いそうです。(腕を磨く環境によって、天と地ほど差があるそうです。)
一年毎日仕事だそうです。
たまの休日でさえ、用件をいいわたされて、無いそうです。
また、特に金銭的な面は、かなりつらく
「金もうけをしたいんだったら、絶対になるな!」
と言われました。
プロとしてカメラマンで食っている人でさえ、休日アルバイトをして妻子を養っている人も、けして珍しいことではないそうです。
そういった訳で、最初はカメラマンで食べていても、妻子をもったりすると、この世界から去る人も後をたたないそうです。
もちろん、カメラマンになれる人はまだ幸せで、環境、金銭、才能等の理由により、結局慣れないで去る人もかなり多いそうです。

ちょと、デジタルクリエイターと離れてしまいましたが、ようは
「デジタルクリエイターの職種も、カメラマンと同じで環境、金銭、才能等の理由により去る人が多いではないの?」
ということを言いたかったのでは、ないのでしょうか?
カメラとコンピューターの違いはありますが、同じなのでしょうか?
今回退社されたオーサーの方々も、そういった理由なのでしょうか?
果たして私はデジタルクリエイターとして、やっていけるのでしょうか?

デジタルクリエイターの赤ちゃんが、入社そうそう悩みはじめた瞬間です。

次回は「初めての仕事の後には...。」です。