初めての仕事の後には...

社に迷惑をかけながらも、何とか首にならずに3ヶ月間が過ぎました。
3ヶ月の間にやった仕事といったら、引継ぎのオーサリング、デバッグ、電話番、コピー取り、掃除くらいなもので、めいいっぱい駄目社員をやっていました。
相変わらず会社も、私に仕事をまわさないで、辞めさせようとしていましたが、一向に辞める気配がない私に、諦めたのか、とうとう3ヶ月目に、初めて仕事を振ってきました。(ここでいう仕事とは、直接製品になって、お金を得ることができる仕事のことです。)

初めての仕事は、
「ある企業が顧客の前で、スライドを使ってプレゼンを行うので、そのプレゼンする時の資料を作って欲しい。」
という依頼でした。
納期は一週間。
初めての仕事としてはうってつけの仕事で、内容は、
「次へボタンを押すか、もしくは5秒ほど待てば、次のスライドへ行く。戻るボタンを押せば前のスライドへ行く。」
という、難易度が極めて低い仕事でした。

難易度が極めて低いといっても、初めての仕事、なにから手をつけていいか分かりません。
取りあえず、出来る所から組み始めます。
「スライドショーだから、スライド全部をキャストへ取り込んで。
メンバーを変えるには、set the member of sprite だったかなー。
このスライドは長めに表示させるから、チックを長めにしてと。」
などと、
「あーだ! こーだ!」こねくりまわして、ようやくできた頃には、2日間。
しかも、徹夜しての2日間。
目の下には「熊が、がオーッ!」と吠えています。

初めてとはいえ、めいいっぱい時間をかけてしまいました。(この間、同じものを創ってみたら、2時間で出来てしまいました。改めて、何も知らなかったのだなー、思います。)

出来上った製品は、先輩方にみっちりデバッグして頂いて、問題なく納品することができました。
クライアントのプレゼンも、問題なく終了したそうで、めでたし、めでたしです。

<一口メモ>
●デバッグ:出来上ったCD−ROMを、実際に製品と同じ様に動作させ、プログラムが正常に動作するかチェックしたり、グラフィックに間違った記述がないかチェックする作業のこと。(ゲーム等の面白いものなら、半分遊びみたいなものですが、教育ソフト等の頭を使うもののデバッグは、凄まじい睡魔が襲います。(ーー )zzz-!)

めての仕事をこなしてから1ヶ月後。
再び同じクライアントから、
「今度は、別の仕事をやってくれないか?」
とお呼びがかかりました。
今度の仕事は、受付に置く端末の、コンテンツ制作の仕事です。
プログラムも難易度が高く、前回2日もかけて制作した私では、力不足と判断されたため、この仕事は先輩のオーサーがやることになりました。
ちょっと、残念ですが、仕方がないですね。
技量がないのですから。(*_*)

さて、引継ぎのオーサリングの仕事は、先輩に持っていかれ、されにこくめいに、駄目社員の刻印を刻みこまれた私は、仕事を与えられず、会社へ行っても手持ちぶさたです。
ぶらぶらしている訳にもいかず、
「仕事はありませんか?」
と尋ねても、私ができる様な仕事はないとのこと。
たまに、オーサリングの仕事があっても、先輩の手伝いでワンコーナーだけとか、コピー取りのような雑用ばかりです。
(ワンコーナーといえでも、大変な仕事とは思いますが。)
要するに、完全に相手にされていないわけです。グス、グス。

「こりゃー、いよいよ完全に首かな?」
と、思っている最中、社長に呼ばれました。
「馬場君。はっきり言って、期待外れだ。今のままではかなりヤバイ。」
と言われてしまいました。
自分の力量が無いと分かっていながら、恐る恐る
「仕事をまわして欲しいのですが?」
と言うと、
「仕事は他人を殴ってでも、奪い取るものだ!」
言われます。
まあ、一理あるのですが、それはできる人の話。
私の場合殴って取っても、全くできないのですから、たちが悪いです。
排水の陣です。
やばいです。

こうなったら、うるさいくらいに仕事をまわして貰おうと声をかけますが、駄目社員に仕事をふる人はいません。
なんとか取っても、相変わらずワンコーナーだけです。
ワンコーナーばかりやっていては、全く評価されず、仕事をやればやるほど、評価が下がってしまいます。
自分個人としは、ワンコーナーでもやればやれほど、技量がついていく事分かるのですが。
他人様には見えないようですね。

やはり、実務経験が全く無しで、この業界に飛び込んだことが、間違いだったのでしょう?
正攻法にバイトから入り、次に社員になることが正しかったのでしょうか?
業界も分からず、いきなり社員は危険だったのでしょうか?
歳をとりすぎていたのでしょうか?

デジタルクリエイターの赤ちゃんが、再び悩みはじめた瞬間です。
就職情報誌を再び買い始めたのも、この頃からです。

次回は「グラフィッカーの道へ」です。