そこで会社法の施行に伴い非公開会社については、定款で、取締
役、監査役ともに任期を、選任後10年以内に終了する事業年度の
うち最終のものに関する定時総会の終結の時まで伸長することがで
きることとされました。
これで2年目の登記を忘れて過料を支払うリスクは大幅に減りました。
しかしです。今度10年先に登記をすることを、覚えていられるでしょ
うか。私は不安を覚えます。10年先に登記をする必要があることは
覚えていても、9年後に来年登記する年だったなと思い出していた
だけるかどうかということです。まあ忘れてもそれは自己責任というこ
とで、適宜過料をお支払いいただければ、それはそれでよしと思い
ますが、できればそんなことにはかかわりたくありません。
この点に関して、会社は登記を延ばしたい要望を持ち、一般の人
は会社内容の公示である登記について、リアルタイムでの反映を
要望するので、どのあたりに落としどころを作るのか、これから先、
実務的な洗練がなされて、大体何年間に1度登記をするというような
形に、まとまってくると思います。
それまでは利用者の側で考えなければいけないと思います。
登記の期間を延ばせば延ばすほど、違法ではありませんが、現状
維持色の濃い会社というカラーが出ることになり、逆に短ければ短
いだけ法律の監視の目が入っている会社というカラーを持つのは
事実でしょう。
そのカラーを会社のお客様がどのように判断するかを推測すること
が大切であろうと思います。
実際のところ、10年一昔といったように、10年間の間には役員を
退職したり引っ越したりの出入りは相当程度あるはずですので
それを全く反映していない会社というのも、考えものです。