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2001.3.15



というわけで、トクトクが完全に沈黙してしまった今、我々に残された砦はもはや
ここbiglobeのミラーサイトのみである。
って、そんな大げさなことでもないような気もするけどな。

それ故に、というわけではないのだが、ちょいと、この週末の土日、プライベート
で宇都宮を離れる運びと相成ったため、土日はこの講座は休みをいただく。
そして、その翌日、月曜日であるが、この日も、職場の飲み会があるため、高い
確率で休ませていただくことになると思う。ごめんしてちょ。


さて、今日は、昨日の続きで、縦隔腫瘍としての食道疾患である。

まずは、アカラジアという微妙なところから行こう。
acharasia。charasiaが「弛緩症」という意味らしく、「a」はその否定である。
よって、アカラジアを無理に日本語にするならば「無弛緩症」ということなるな。
その名の通り、食道遠位端の括扼筋の弛緩不全に伴う、下部食道の蠕動欠除と
食道全長に渡る拡張をきたす疾患である。
ちなみに、後縦隔腫瘍が拡張した食道である場合、それを見破るのは比較的簡単
である。縦隔腫瘤内にairを認めたら消化管と考えるのだな。
で、この疾患の場合、何が問題なのかというと、本当にそれはアカラジアなのか、
もしかしたら他の原因に伴う食道拡張ではないのか
ということである。
つまり、食道下部や胃噴門部の腫瘍、また逆食・潰瘍・膵炎の波及などによる
炎症性狭窄を除外する必要があるのだ。
内視鏡で覗くのと食道バリウムはやるのは当然として、それら内腔からの観察
では分からない病変を見つけるために、CTは大きな役割を負っている。
また、例えばPSSなどの全身疾患に伴う食道拡張、迷走神経切除を伴う術後の
食道拡張なんてのもあるから頭の片隅に入れとけ。

それでは、食道疾患の花形、食道癌である。
俺は放射線科「診断医」の二次試験を受けようとしている人間であるから、それを
念頭に入れた論議を進めていくわけであるが、診断医の二次試験で食道癌が
からむとしたら、恐らく胸部単純写真と食道バリウムの読み、あるいは後縦隔
腫瘤の鑑別
としてであろうと予想するのである。
治療の先生方の試験は、恐らくプランニングの仕方や照射量の話まで行くのでは
ないかと思うが、診断医の試験では多分そこまでは行かないし、第一に俺にそれを
振られると容易に撃沈するのでやめてくれ。(汗)
だいたい、ステージングが出来るぐらいに極めれば文句はないわけであり、俺も
一応それを目標に勉強するわけであるが、腫瘍の部位により、どのリンパ節が
どの群のリンパ節となるかを覚えるのが結構厄介である。頑張らねばなるめぇ。
あ、ステージングはここには書かないよ。お手持ちの、あるいは職場の食道癌
取り扱い規約を読んでくれ。

ただだな。
もし、いきなり胸部CTを出してきて、食道下部に腫瘤様のものがあったら、
もちろん食道癌や他の腫瘍性病変を鑑別に出すのは当然として、もうひとつ、
罠のように我々を待ち受ける良性疾患がある。食道裂孔ヘルニア
一応鑑別にあげといた方がいいかも知れない。

あと、ヘルニアつながりで、昨日やらなかった疾患をもうひとつやっとくか。
ボホダレク(Bochdalek)孔ヘルニアな。横隔膜後部の欠損で起こるヘルニア。
成人男性の6%に起こる、なんていう研究結果もあるぞ。意外と稀ではない
ようだ。


というところで、食道をさらっと流して今日は終わり。
週明け(恐らく火曜日)は大血管だな。ここは濃いので気合いを入れねばな。


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