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 『横笛(大島本)

 男君も寄りおはして、「いかなるぞ」などのたまふ。うちまきし散らしなどして、乱りがはしきに、夢のあはれも紛れぬべし。
 「悩ましげにこそ見ゆれ。今めかしき御ありさまのほどにあくがれたまうて、夜深き御月愛でに、格子も上げられたれば、例のもののけの入り来たるなめり」
 など、いと若くをかしき顔して、かこちたまへば、うち笑ひて、

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  第二章 夕霧の物語 柏木遺愛の笛  [第六段 夢に柏木現れ出る]

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