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 『若菜下(明融臨模本)

 かの人は、わりなく思ひあまる時々は、のやうに見たてまつりけれど、宮、尽きせずわりなきことに思したり。院をいみじく懼ぢきこえたまへる御心に、ありさまも人のほども、等しくだにやはある、いたくよしめきなまめきたれば、おほかたの人目にこそ、なべての人には優りてめでらるれ、幼くより、さるたぐひなき御ありさまに馴らひたまへる御心には、めざましくのみ見たまふほどに、かく悩みわたりたまふは、あはれなる御宿世にぞありける。

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  第九章 女三の宮の物語 懐妊と密通の露見  [第一段 女三の宮懐妊す]

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