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『若菜上(明融臨模本)』
「あやしくひがひがしく、すずろに高き心ざしありと人も咎め、また我ながらも、さるまじき振る舞ひを、仮にてもするかな、と思ひしことは、この君の生まれたまひし時に、契り深く思ひ知りにしかど、目の前に見えぬあなたのことは、おぼつかなくこそ思ひわたりつれ、さらば、かかる頼みありて、あながちには望みしなりけり。
横さまに、いみじき目を見、ただよひしも、この人一人のためにこそありけれ。いかなる願をか心に起こしけむ」
とゆかしければ、心のうちに拝みて取りたまひつ。
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第十二章 明石の物語 一族の宿世
[第五段 源氏の感想]
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