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 『人魚の祠』 青空文庫

 青膨《あをぶく》れが、痰の搦《から》んだ、ぶやけた声して、早や行掛つた私を留《と》めた……
(見て貰えたいものがあるで、最《も》う直ぢやぞ。)と、首をぐたりと遣りながら、横柄に言ふ。……何と、其の両足から、下腹《したばら》へ掛けて、棕櫚の毛の蚤が、うよ/\ぞろ/\……蟻の列を造つてる……私は立窘《たちすく》みました。

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