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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 あッと腰を抜いて、手を支《つ》くと、その黒髪を掻掴んだ。
 御免なせえまし、御新姐様、御免なせえまし、と夢中ながら一心に詫びると、踏躙《ふみにじ》られる苦悩の中から、目を開いて、じろじろと見る瞳が動くと、口も動いて、莞爾する、……その唇からが流れる。

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