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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 肘掛窓の外が、すぐ庭で、池がある。
 白雪の飛ぶ中に、緋鯉の背、真鯉の鰭の紫はしい。梅も、松もあしらつたが、大方は樫槻の大木である。朴の樹の二抱えばかりなのさへすつくと立つ。が、いづれも葉を振るつて、素裸の山神の如き装だつたことは言ふまでもない。

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