検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 年上の五年級が、最後に静々と出払って、もうこれで忘れた花の一枝もない。四五人がちらほらと、式台へ出かかる中に、妙子が居た。
 阿嬢《おじょう》は、就中活溌に、大形の入友染の袂《たもと》の端を、藤色の八ツ口から飜然《ひらり》と掉《ふ》って、何を急いだか飛下りるように、靴の尖《さき》を揃えて、トンと土間へ出た処へ、小使が一人ばたばたと草履穿《ばき》で急いで来て、

 1570/3954 1571/3954 1572/3954


  [Index]