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 『雛がたり』 青空文庫

 そんなら孝行をすれば可いのに――
 鼠の番でもする事か。唯台所で音のする、煎豆《いりまめ》の香に小鼻を怒らせ、牡丹の有平糖《あるへいとう》を狙う事、毒のある胡蝶に似たりで、立姿の官女が捧げた長柄《ながえ》を抜いては叱られる、お囃子の侍烏帽子《さむらいえぼうし》をコツンと突いて、また叱られる。

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