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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 憎さも憎しと得三が、地踏〓《ぢだんだ》ふんで縦横に刃を打掉る滅多打。声は漸々遙になり、北の台にて哀《かなし》げに、「あかアぎさん、とくざうさん。――四辺《あたり》は寂然《しん》。
 此より以前《さき》得三が人形室を走り出でて声する者を追ひける時、室の外より得三と入違ひに、鳥の如くに飛び込む者あり。突然下枝の被《かづき》を外して之を人形に被らせつ。其身は日蔽の影に潜《ひそ》みぬ。

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