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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

「馬鹿な人間は困つ了ひます――魚が可哀相でございますので……然うかと言つて、夜一夜、立番をしても居られません。旦那、お寒うございます。おしめなさいまし。……そちこち御註文の時刻でございますから、何か、不手際なものでも見繕つて差上げます。」
「都合がついたら、君が来て一杯、ゆつくりつき合つてくれないか。……私は夜ふかしは平気だから。一所に……此処で飲んで居たら、いくらか案山子に成るだらう……」
「――結構でございます。……もう台所は片附きました、追つけ伺ひます。――いたづらな餓鬼どもめ。」

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