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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
はたと、これに空想の前途を遮られて、驚いて心付くと、赤棟蛇のあとを過ぎて、機を織る婦人の小家も通り越して居たのであつた。
音はと思ふに、きりはたりする声は聞えず、山越えた停車場の笛太鼓、大きな時計のセコンドの如く、胸に響いてトゝンと鳴る。
筋向ひの垣根の際に、此方を待ち受けたものらしい、鍬を杖いて立つて、莞爾ついて、のつそりと親仁あり。
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