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 『日本橋』 青空文庫

 飴屋が名代の涎掛を新しく見ながら、清葉は若い妓と一所に、お染久松がちょっと戸迷いをしたという姿で、火の番の羽目を出て、も一度仲通へ。どっちの家へも帰らないで、――西河岸の方へ連立ったのである。
 けれども、いずれそのうち、と云った、地蔵様へ参詣をしたのではない。そこに、小屋と云う苺が甘そうな水菓子屋がある。二人は並んでその店頭。帳場に横向きになって、拇指の腹で、ぱらぱらと帳面を繰っていた、肥った、が効性らしい、円髷の女房が、莞爾目迎えたは馴染らしい。

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