検索結果詳細


 『人魚の祠』 青空文庫

 却説《さて》、日が暮れて、其の帰途《かへり》である。
 私たちは七丁目の終点から乗つて坂の方へ帰つて来た……あの間の電車は然《さ》して込合ふ程では無いのに、空怪しく雲脚が低く下つて、今にも一降《ひとふり》来さうだつたので、人通りが慌《あわたゞ》しく、一町場《ひとちやうば》二町場《ふたちやうば》、近処へ用たしの分も便つたらしい、停留場毎に乗人《のりて》の数が多かつた。

 24/122 25/122 26/122


  [Index]