検索結果詳細


 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 人相と言ひ、場合と申し、ズドンと遣りかねない勢でございますから、画師さんは面喰らつたに相違ございますまい、(天罰は立処ぢや、足四本、手四つ、二つのさらしものにして遣るべ、)で、代官婆は、近所の村方四軒と言ふもの、其の足でたゝき起して廻つて、石松が鐡砲を向けたまゝの、其のあり状をさらしました。――夜のあけ方には、派出所の巡査、檀那寺の和尚まで立会はせると言ふ狂ひ方でございまして。学士先生の若夫人と色男の画師さんは、恁う成ると、緋鹿子の扱帯も藁すべで、彩色をした海鼠のやうに、雪にしらけて、ぐつたりと成つたのでございます。

 271/330 272/330 273/330


  [Index]