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『古狢』
青空文庫
同時に、蛇のように、再び舌が畝《うね》って舐め廻すと、ぐしゃぐしゃと顔一面、山女《あけび》を潰《つぶ》して真赤《まっか》になった。
お町の肩を、両手でしっかとしめていて、一つ所に固《かたま》った、我が足がよろめいて、自分がドシンと倒れたかと思う。名古屋の客は、前のめりに、近く、第一の銅鍋の沸上った中へ面《おもて》を捺《お》して突伏《つっぷ》した。
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