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『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む
男はとにかく、嫁は真個に、うしろ手に縛りあげると、細引を持出すのを、巡査が叱りましたが、叱られると尚ほ吼り立つて、忽ち、裁判所、村役場、派出所も村会も一所にして、姦通の告訴をすると、のぼせ上るので、何処へも遣らぬ監禁同様と言ふ趣で、一先づ檀那寺まで引上げる事に成りましたが、活証拠だと言張つて、嫁に衣服を着せることを肯きませんので、巡査さんが、雪のかゝつた外套を掛けまして、何と、しかし、ぞろ/\と村の女小児まであとへついて、寺へ参つたのでございますが。」
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