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 『雛がたり』 青空文庫

 賤機山《しずはたやま》、浅間《せんげん》を吹降《ふきおろ》す風の強い、寒い日で。寂しい屋敷町を抜けたり、大川の堤防《どて》を伝ったりして阿部川の橋の袂へ出て、俥《くるま》は一軒の餅屋へ入った。
 色白で、い半襟をした、人柄な島田の娘が唯一人で店にいた。
 ――これが、名代の阿部川だね、一盆おくれ。――

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